出会いとは突然に
申し訳ないです!
少しだけだけど、文字数増やしてみました。
「ん.....。」
目を開けると草原が広がっていた。
「うっ、眩しい。」
あの暗闇に慣れすぎたせいか、辺りを照らす太陽の光に目を閉じづには
いられない。
そんなわけで、一度座り込み、しばらく目を開けたり閉じたりを繰り返しつつ、
現状を確認する。
何とか目を慣れさせながら周りを見るが辺り一面草原が広がっている。
確か、ガロに聞いた話によると。オレングスは、
ビュルンデル方面に行ける天と地の峡谷の門番ともいえるらしい、
まだ、天と地の峡谷はまだほとんど解明されていない未開の地だ。
そのため、警備も厳重で兵力も高く、冒険者ギルドの本部も置かれている。
一方、ビュルンデル方面では、こういったちゃんとした防衛線のようなものが無い。
代わりに、町、村、それに王都トライアル。
これらの間隔は長くて4~5フレイ程しかない、なのですぐさま援軍が駆けつけることが可能だ。
ちなみにオレングスに近いところはどこも15フレイ以上ある。
それに、ビュルンデルが一番天と地の峡谷に最も近い為か、
設備は充実し魔石を使った兵器があるらしい、なぜそんなことを知っているかと
聞くと、誤魔化されたので深くは追及しなかった。
とりあえず、目も慣れてきたので辺りを探索するところから始めようかな。
立ち上がって周りを見る。
やはり辺り一め.....なんか戦ってる?暗いところにいすぎたせいか、
遠くまで見える。
恐らく1フレイ程先のようだが、何か馬車のようなものがあり、
その周りを人間ではない何かが囲っている。
人間では無いとわかるのは、見た感じだと四足歩行のようだからだ。
もし襲われているのなら助けるべきだろう、情報も欲しいところだし。
そうと決まれば全力でダッシュ、峡谷の底とかつての雪山で
走り回っていたときに鍛えられた身体能力で、あっという間にとはいかないが、
2分ほどでついた。
持ち乱近づいているのでだいたいの様子はつかめた。
たぶん、あの馬車はグリーンウルフに襲われているようだった。
レッドウルフと同じほどの攻撃性を持つが、必ず群れを組み、
なるべく損害を出さないように狩りをするずる賢いウルフだ。
しかもレッドウルフより噛みつきの力は弱いがその分早く、単体ではそれほど脅威ではないが、
結局のところ、ウルフなので噛みつきは決して弱くなく、
群れなら一気に脅威度が増し、非常に嫌われている。
対する馬車側は、護衛なのだろうか、大剣を構えた人と、魔法使いかわからないが、
杖を構えた人が二人で馬車の前面に展開しているグリーンウルフから馬車を守っているが、
速さに特化しているので、機転の利きにくい大剣は不利なようで魔法使いの人も
魔法か何かを唱えようとしているが、定期的に邪魔されあまり強くないものしか使えないでいる。
ただ、それを支えているのは馬車の中にいる人であり、
三人の人が馬車から石を投げていた。見たところさっきからずっと投げているので
ここからは見えないが、誰かが魔法で石を出しているのだろう。
ようやくたどり着いた僕は、存在を教えるために大声で呼びかける。
「大丈夫ですかー!」
どう見ても大丈夫じゃなさそうだが、言葉が出てこなかった。
僕の呼びかけに、馬車にいた人たちがこっちに顔を向ける。
グリーンウルフたちもチラリと顔を向ける。
「助けか?誰でも構わない!助けてくれ!!」
大剣使いの人がそう返してくる。
予想は的中。遠慮なく刀を振るわせてもらおう。
「居合[疾風一閃]」
あいさつ代わりだ、だけど敵は思ったより弱く、2匹ほど切り裂いた。
僕を脅威と判断したのか、こちらに5匹飛びかかる。
五匹なら.....。
「部分解放!居合[桜ノ舞・鬼]」
一時的に鬼技のみ使えるようにできるようになったので使ってみた。
詠唱もなしに鬼技を使えるのは大きいが、神気を鬼人化するときの半分ほどの神気を使う。
一撃目、一番先に飛びかかってきた奴にすれ違うように。
二撃目、回転しながら場所を少しずらしてもう一度すれ違うように。
三撃目、残りの3匹は一斉に飛びかかってきた。これまたちゃんと三方向から来たが、
狙っているのは僕一人、桜の花びらのようにひらひらと舞い上がり、ついでとばかりに正面から来た
奴の首を切り落とす、
四撃目、標的に噛みつけなかったグリーンウルフたちは僕に背を向ける形に、僕は左右に舞いつつ一撃。
五撃目、返り咲くように反対側にも一撃。
さらりと倒しているが、少し返り血を浴びているため綺麗かどうかは微妙だ。
だが、人命がかかっている以上、そんなことは言ってられない、別にいつも気にしないけど。
「(あれ使おうかなぁ?)」
敵を殲滅するためだけに作られた死の舞。
周りにも被害が及ぶので、二人には下がってもらう。
「少しどいてください、危ないですよ~。」
そういわれて下がる二人、大剣使いの方は少し迷ったみたいだけど、魔法使いの人が引っ張っていった。
「鮮血ノ斬舞」
わざと強く発光する刀を血が多く飛び散るように切り裂く。
すると血が鈍く光り、刀の光は、血に吸い取られたかのように消える。飛び散った血は
他のグリーンウルフたちにも付着するかと思えば、その体を切り裂き、また血が飛び散り、
その地に光が移り他のグリーンウルフたちにと連鎖的に広がる鮮血の華。
それは美しく咲く死の赤い花だ。
連鎖が止まったころにはほぼグリーンウルフは全滅状態。
「ふう。」
少し息をつく、そして振り向くと、目を見開いた護衛の二人組がいた。
「素晴らしい!!」
そんな二人とは裏腹に馬車から飛び降り僕の元へ走ってくる。
少しぽっちゃりとした人だ。
「あっという間にこいつらを壊滅させるなんて、素晴らしいじゃないか!」
とてもハイテンションでついていけない....。
「しかも君は見たところまだ子供だろう?君は誰なんだい?」
その言葉に、馬車にいた残りの二人もうなずいていた。
「ええ~と....。」
どう説明するべきか悩み、言葉が出ない。
「こんなところで話すのもあれだし、こいつらの皮でも持って行って、オレングスの近くまで
行きましょう。その子も疲れてるかもしれないし。」
言葉に詰まる僕に助け舟を出してくれたのかな?
かなりのグリーンウルフがいたようで、僕はまだ解体できないので黙ってみていたが、
暇なので馬車へ行くと、馬車にいたのは三人ではなく、やはりもう一人いた。
女の人のようで、うう~とうなりながら倒れている。
「クレアがどうかしたの?」
声を掛けられた。
「えっと、あなたは?」
身長は男性の平均身長より10フラ高い178、9フラほどの優しそうな男の人だ。
「ああ、言ってなかったね。僕は、モルト。あそこで寝ているのがクレア、そこの馬車の一番前
にいるのがコロさん、その横のさっき君に話しかけたのがプルさん。覚えた?」
「え~と、モルトさん、クレアさん、コロさん、プ、プ、プルさん。よし!」
全員いえたことに安心する。
「あ、ごめんなさい、僕はレイです。」
「ふむふむ、レイ君か、君は強いんだね。」
「う~ん、まだまだですよ、できるだけ強くなりたいんですよ。」
「でも君はあの数のグリーンウルフを難なく倒せるなら、相当な強さだと思うけど?」
「せめて、いざという時に仲間を守り切りたいんですよ。」
その言葉に含みを感じたのか、モルトさんが何か言いかけようとして止めた。
「心配は無用ですよ、恐らく無事だと思うので、ただ、自らを犠牲にしてでも
仲間を守ることは、仲間にとってもあまりよくないかもしれないので。」
思い返すように上を見上げつつそう言っておく。
「そ、そうなんだね、それはよかった。でも君はどうしてここに?」
どう答えればいいのだろう、正直に言うべきか。
「答えにくいなら今はいいよ、命の恩人に根掘り葉掘り聞くのはよくないからね。」
やっぱりいい人だな~。
「ありがとうございます。」
その後、いろいろと話したところ、モルトさんたちはいろんなところの絶景など旅して
いる達らしい、だけど、一々護衛を雇ううのも大変なので、年単位での契約できる
護衛を探しにオレングスへ行く途中だったらしい。今の護衛の人たちは、此処から18フレイほど離れた
町、ルルート、そこからオレングスまでの護衛らしい。
「え~と僕をそこまで乗せてってくれませんか、護衛を手伝うので。」
「確証は得れないけどコロさんに聞いてみるよ、多分大丈夫だと思うよ、
支払いは出来ないけどいい?」
全然大丈夫だ。寧ろありがたいなぁ。
「全然構いません。」
「分かった。聞いてみるよ。」
そう言って、馬車の前列の方へ行き、コロさんにしゃべりかけに行った。
その間、僕は馬車の窓から見える草原と澄んだ空を眺める。ゆっくりと流れる雲と、風に揺らされる
草木を見ながら、深く息を吐く。
ここまで長かったなぁ。久しぶりに自分が最も落ち着ける時間を堪能しつつ、
そう思う。
「こんな一日を過ごしたいなぁ。」
こんな草原でのんびり昼寝でもしながら一日を過ごしたい、そう願うレイだった。
来月から、月の初めのころの投稿の際に、その月のスケジュールを
活動報告に記載します。
来週はいつも道理です。