邪魔するものは一刀両断
距離の単位 cm=フラ m=フラット km=フレイ
といった感じです。
あの洞穴を後にした僕らは、オレングス方面の方に来ていた。
視界が暗い為よく見えないが、ガロが、壁が見えてきたよ~と言っていたので
もうすぐだろう。
僕にも壁が見えてきたあたりでガロが急に立ち止まる。
そのせいで僕も急に立ち止まっが、ぶつかりそうになり後ろに尻餅をついた。
「レイ、此処をよ~く見て、結界が使える君ならこれが見えるはずさ。」
そう言われて僕は目を凝らす。
すると言っていたものが見えてきた。ほとんど僕が使う結界と
似ているけどこれは見たことがない。僕が使う結界と比べて、使われている神気が薄い、
つまり、たまに敵の攻撃を通したり、通り抜けてしまえるということだ。
「これは審判の結界、誰か一人が中に入れば、その結界は何も通さなくなる。
君にも使えるけど、練習が必要だね。」
ガロは、洞穴を出てからはいつもの緩い口調ではなく、声は、いつもの声だが、
口調は真剣だ。
「レイにはここに入ってもらう。僕はなぜか入れなくてね。力業でも無理そうなんだ。」
僕は、此処に入るということより、付け加えられた一言に疑問を感じた。
矛盾している、と言うのはまさにこれかな。
「まあ、やることは簡単さ、此処に入れば守護者が出てくる。
レイがそれを倒すだけ。」
「ん~、分かった。そのあとは?」
「僕もこの先は詳しく知らないけど、あの壁に入れそうな穴がない?
その中は地上への階段らしいよ。」
「じゃあ、とりあえずこの中の守護者を真っ二つにすればいいんだよね?」
それならば話が早い。僕は結界へと歩を進める。
「ちょっと待って、.......はい、これお守り、僕はもう行かないといけないから。」
そう言って、ガロがポッケトの中からネックレスを取り出して
渡してきた。どういうことか聞こうとすると。
「いつか君の役に立つもの、分かった?じゃあ、行ってきなよ。」
ガロが僕を結界の方に向けさせて、背中をドン!と押してきた。
「おっとっと。」
そのせいで僕は結界の中に入ってしまった。
なんてことを、と思い後ろを振り向くと、もうそこにはガロの姿がなかった。
「仕方がないな~。」
そう呟きつつ振り返る。
そこには全身が鎧に包まれた騎士が立っていた。
割と警戒していた僕はすぐに抜刀する。
「居合[疾風一閃]」
まずはあいさつ代わり。
しかし騎士は、左手にある重そうな盾を構え防いでくる。
だけど、そのぐらいの予想はついている。
「納刀・[滝登り]」
返す刀で斬り上げ、そのまま刀は宙へ。
今は、刀が戻る時間さえ惜しいので、騎士の構えている盾を踏みつけ宙へ飛びあがる。
「居合[流星一閃]」
別に刀をしまう必要はないが、此処で機転の利く技はこれぐらいだけだから仕方ない。
ついでに抜刀術なので、もちろん速度は上がっているが。
すれ違うように斬りつけるがこれもまた盾で防がれる。
そしてすぐさま反撃が飛んでくるが、此処は結界を使った。
一応、[防壁]のみ無詠唱が可能だ。
剣には意外と力がこもっていたようで、物理攻撃になら恐ろしいほどの防御力を持つ
[防壁]のおかげで、剣は大きくはじかれた。
隙ができたので刀を振るうと、騎士は剣がはじかれた反動を生かして剣をそのまま投げ、
盾を構えて防いできた。
「え!?」
そして、僕の前には盾で体当たりしてきた騎士の姿が見える。
意表をついた行動で頭が追いついていないレイはそれをもろにくらう。
「ぐはっ。」
大きく飛ばされ結界に当たり崩れ落ちる。当たった場所であるおなかを軽くさすりつつ
立ち上がり、刀を構える。
「どうしようかなぁ。」
今までにはなかった敵。あの盾を突破するには.....。
「友よ、我は願う、契約に従い、その力を借りて、我の敵を凍りつかせる
吹雪を願う。巫術[吹雪]」
騎士は思ったよりもはるかに遅く、十分な時間があった。とりあえず、
こういった、メディが使う技だけなら、部分的に力を引き出して使える。
問題は神気も使うことだが、魔法が使えない僕にとっては十分だ。
ちなみにこの吹雪は凍らせることに特化しているため、周囲が凍り付き、
騎士が持つ盾もところどころ凍っている。
「居合[地走リ刀]」
僕が放った吹雪で凍り付いた場所はほんの少しだが、神気があるので、
それを利用し、威力を引き上げる。
思ったより威力がでた様で、騎士は大きくのけ反った。
そのすきを逃さず、追撃していくがすぐに盾を構えなおされて、失敗するが、
今度は辞めずに攻撃し続けてみることにした。
すると、騎士は盾を構えたままだが、少しずつ壁際に追い込んでいくことに成功し、
今もなお追い込んでいる。
そして、あと壁まで5フラットというところまで追い込んだ。
「これで....終わりだ!竜巻鎌乱舞!」
とどめとばかりに魔力の刃を振りまき一気に攻める。
その時、騎士の周りに、いや、中心とした半径1フラットの
半透明な球体の壁、つまり結界が展開された。
恐らく[魔結界]だろう。
仕方がないので刀による攻撃に切り替える。このままじゃ魔力の無駄だ。
「居合[刹那一閃]」
なので[刹那一閃]を試みるが騎士の盾がそれを阻む。
[防壁]を使わないのは魔力などの温存か、使えないのか、できれば使えないが
嬉しいが、[防壁]結界の中で一番簡単だ。恐らく使えるので、
攻め方を変える。
「神刀[一刀両断]」
神気の刀、神刀。
[一刀両断]は完全結界などの、必ず一回以上防ぐもの以外の結界や、
防御魔法などを完全に無視して両断する。
練習していた神気を使った技、後、抜刀術はこれらの応用ようなものになった。
騎士はこれを受けてはならないと感じたのか、最小限の回避で避けた。
刀はかなりの速度だが、なぜ避けられたのだろう。
神刀は神気を多く消費するので早く決めたい。
すると、いつの間にか騎士は投げたはずの剣を回収し構えなおした。
誘導でもされていたのかな?
「連撃」
いきなり、機械音のような平坦な声、それと共に繰り出されたのは、
片手剣の中では有名な技、扱いやすく、極めれば相手の不意を突くこともできる。
だが、重い鎧を着こんでいることもあってか、かなり遅い。
まあ、戦いなれていない人から見ればかなり早いだろうけど。
さらっと避けて反撃。
そこからは、ひたすら剣と刀を交えるだけだが、ほとんどは避けている。
素早く反撃したいからだ。
そして、剣と刀がぶつかること20回目ぐらいのこと、
僕はは普通の攻撃とおもわせつつ、
当たる寸前で[一刀両断]を発動させる。
騎士は盾で受けた。
盾が両断される。さらに、[滝登り]で刀をしまうことも兼ねた追撃。
盾を壊されたことに動揺したのか、棒立ちだ。持っていた剣は、[滝登り]
でもう一度弾き飛ばす。
「さあ、そろそろ終わらせないと...。」
「居合[光速一閃]」
光の速さは秒速約30万フレイらしい。お父さんがそう言っていた。
そんな速度は出せないが、あまりにも速くてまだ制御できない、が、
[刹那一閃]だといきなり加速する騎士に当てられないかもしれない。
どちらにせよ、僕は邪魔する物を両断し進まねばならないのだから。
もう一話間に合うかな....。