猛吹雪
すいません。前の投稿が土曜日になっていました。基本書き上げたのは毎週日曜日投稿です。
「居合[猛吹雪一閃]」
受け止めれる、そう確信していた。だが、予想を斜め上に上回る出来事が起きた。
レイが放った一閃は斬撃として飛んでいった。周りを吹雪かせながら。
老人から放たれた巨大な炎の玉、だいたい直径100フラットの大きさ、
しかし、吹雪を起こしながら突き進む一閃はそれを凍らせた。
「何!?」
これには老人も驚いたようだ、凍らせた炎の玉は斬撃に切り裂かれ、砕け散る。
それでも尚斬撃は止まらない。しかし老人は冷静に刀を正眼の構えをとると。
「[三日月]」
その構えのまま斬撃に突っ込んだ老人は、刀を動かしたかと思えば、斬撃は消えていた。
「ふむ、今のは中々じゃな。しかし、こんな奥の手を持っていたなど思わなかったぞ。」
素直に喜べない、意図して放った訳ではないが、今までの中で最高の一撃のはず。
これで中々か....。今の一撃で、ほぼすべての神気を吸われ、そのまま後ろに倒れ込む。
「すみません....もう...無理です....。」
そう言ったレイは力尽きた。
目を覚ませば見たことのある天井が...。
「はっ!ここは....?」
いつの間にベットにいるのだろう、しかし、神気の使い過ぎで頭が回らない。
目をこすりながら起き上がる。
「あれ?吹雪がない。」
この部屋は寝室みたいなところで、ベットが二つある。大雑把に言うと、
入口から、左に進めば台所兼倉庫、右に進めば寝室、奥に行けば老人と戦った地下室、
といった感じだ。
寝室の中を探し回ったが何も見つからない、あるのは見た感じ薄汚れたフカフカベットのみ。
「ん?」
台所からいい匂いがする。
その匂いに誘われるように台所に行くと、ガロがいた。
「あ~おはよう~。」
「うん、おはよう。ところでこの匂いはそれ?」
レイの指さす方向には、何かの丸焼きがある。
「うん、そうだよ~、グランドウルフの丸焼きさ~。」
こんがりと焼かれて元の色がわかりにくいが、レッドウルフに似ている。
ただ、僕の記憶にはウルフ系は焼くといい匂いがするが、味は全く美味しくないはず。
それを思い出し複雑な気持ちになる。
「こいつはね~、此処にしかいないウルフ系の一つなんだけど~、
こいつだけは少ないけど食べるととても美味しいところがあるんだ~。」
「ほ、本当?」
家にいた頃、ホワイトウルフを狩って、その場で丸焼きにしてあまりの不味さに
それごと投げて、匂いにつられてやってきたロロゴがたくさん寄ってきて
追いかけられた記憶もよみがえる。ロロゴは見た目はただの大きな石だが、
直径200フラット程の石が雪山でゴロゴロと転がりながら追いかけてくる。
「うっ...。」
その記憶を鮮明に思い出し、頭を抱え込むレイ。こうするのは、ロロゴから逃げるときに
小さな穴に隠れたからだ。
「よいしょっと、食べないの~?美味しいよ~?」
「えっと....とりあえず一口だけ。」
ガロがレイの分を取り分けてナイフとフォークも一緒に出してくれた。
そして、迷ったが、一口食べる。
「.......お、美味しい....。」
普通のウルフ系の肉は、思うように嚙みきれない、その上味がせず、噛めば噛むほど不味くなる。
しかしこれは、その逆で、とても柔らかく、噛めば噛むほど、肉汁が出る共に美味しくなっていく。
「.....」
無言で食べ続ける。もともと食べれる部分は少ない為、あっという間になくなる。
「どう~?美味しいでしょ~?」
ガロが微笑みながら、ではなく、いたずらが成功した子供のような笑みを浮かべて聞いてくる。
「うん!!」
それに対し笑顔を返す。
その後、2~3分も経たぬ内にガロも食べ終えた。
ガロが食べ終えたのを見計らって一言。
「ごちそうさまでした。」
「何それ~?」
ガロが普段は聞かぬ言葉に首をかしげつつ聞いてくる。
「お父さんが教えてくれたんだ。食べる前もあるけど、言い忘れていたから。」
「ふ~ん。」
そこまで興味はなかったようだ。
「あ!思い出した!レイ、さっき僕が帰ってきたときに、おじいさんが立っていたんだよ~。
その時に、これと、おじいさんからの伝言があるんだ~。」
そう言って取り出した一振りの刀、それを渡しながら、そのおじいさんからの
伝言というのをしゃべりだす。
「えっと、明日の明け方頃に地下室に来い。だってさ。」
「分かった、ありがとう。」
そう言いながら、吹雪に何か異常がないか調べる。
「ん?」
全体的に色合いが違う気がする。もう一度よく調べる。
すると、吹雪とほられている部分が猛吹雪に変わっていた。
手に持つと、前より手に馴染む。
じっくりと調べるのはまた後にしよう、そう思いながらベットに向かうことにした。
「ふう、疲れたな~。」
その声の主は少年。
「後、10年。それまでにあれを渡さないと....。」
『ググアアグ。』
「黙れ。」
先ほどの少し高い声から一変、とてつもなく低い声。すると、
ノイズのような鳴き声が止まる。
「あいつをいつ送り返すか...。でもここからビュルンデルは反対側の
オレングスからこの峡谷を渡らせないと...。」
そうぶつぶつ呟やく少年。
ドシン!ドシン!
大きな足音が聞こえてくる、その音に少年が振り向くと、グランドオーガがこちらに歩いてきていた。
グランドオーガは通常種であるオーガの希少種。その力は腕を一振り振れば城が簡単に崩れ去り、
自分より数倍も大きい魔物も薙ぎ払える。パッと見は人族より大きく、普通のオーガより
小さい鬼。色もオーガが赤に対し朱色とかなり似ている。だが、なめてかかればその身は一瞬で肉塊
に変わるだろう。しかし少年はその姿に似合わぬ笑みを浮かべる。
「今はいいか、獲物も見つけたし。それっ、飛んでいけ~。」
少年は何か唱えたかと思えば数百のナイフを出現させる。
そしてそれらを飛ばす。
「オオオォォォ!」
グランドオーガは雄たけびを上げながらナイフを薙ぎ払おうとする。
しかし、ナイフがグランドオーガの腕に当たった瞬間爆発しそれに続くようにほかのナイフも
爆発し大爆発を引き起こす。煙が引くと一寸も動かないグランドオーガが姿を現した。
いや、グランドオーガではなく、その形に似た肉塊が.....。
文字数....増えない.....。