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静かが好きな結界使い  作者: 蒼色
一章 神に仕える一家の息子
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野外訓練 その3

お盆休みということで2連続投稿です。

俺が目を覚ますと、目の前には大きな穴が出来上がっていた。


「みんな~、どこだ~?」

「ここよ、エイン。」

「ウィズ先生!!無事だったんですか?」


まさかレッサードラゴンの攻撃をまともに食らってその傷、大きく引き裂かれた痛々しい

傷が残っているが、裏を返せばそれだけというのもすごい。


「.....エインも起きた。」

「おうフーラ、その様子だと無事みたいだな。」

「....ん、”私達”は、だけど。」

「言われなくてもあいつは戻ってくるさ俺にそう約束したんだからな。」


今は、せっかく命を張ってまで助けてくれたレイの思いを無駄にする訳にはいかない。

とにかく、今は学校に戻る、これ以上の損害を出さずにだ、悲しむにしても無事に帰れてからだ。


「そういえばマナは?」

「マナちゃんならそこで火を起こしてくれてるわよ。」


指を指された方を見ると、マナがまだ回復しきっていない魔力を振り絞り、火を起こそうとしている。

マナも多少の傷は負っているので魔力の回復が遅い、レイが言っていたが魔力は、生命力の

あまりもの?みたいなものらしく、生命力が低下すると魔力」の回復が遅くなるとか

何とか、あまり覚えていないが...。


「よしっ!みんな~火が付いたよ~!」

「お疲れさまマナちゃん。はい、水どうぞ。」


声のする方向を見ると、マナが火をつけることに成功したようだ。

そしてそれを労い、水を渡すウィズ先生。翼を破壊するほどの実力を見せたマナだが、

上級魔法を使い、疲労しきった状態で風がそれなりの強さで吹き付けるこの峡谷

で火をつけるのは苦労したんだろうとエインは思う。


「(あいつはどうなったんだろう....。俺らを残して死んじゃ困るぜ、レイ....。)」


ドン!!


背中に軽い衝撃、誰に押されたのかと後ろを見るとマナがいた。


「後ろ向きなこと考えてたでしょう。猪突猛進のあなたがそんなんじゃこの先どうすんのよ!

 レイが怒るよ、せっかく体を張って、ううん、命をかけてまで守ってくれたのに

 それを無駄にしちゃだめでしょう。エイン!しっかりしなさい!!」

「(そうだったな、俺がこんなんじゃ雰囲気が悪くなるな。)」


ぱしん!と自分の頬を手で挟むように一回叩いて、表情を変えるエイン。


「ああ、あいつのことだ、ひょこっと帰ってくるに違いない!

 俺も気を取り戻したよ。だが、猪突猛進は聞き捨てならんな~、マナー!」

「ちょ、ちょっと!私いいこと言ったのに~!!」


エインがいつも道理の調子に戻り、しれっと馬鹿にしてきたマナを追いかけだす。


「.....あの二人意外とお似合い?」

「かも知れないわね~、じゃあ、フーラちゃんはレイ君とくっつくの~?」

「違う!.....かも。」


即答するフーラだが、結局は自信なさげだ。まだ、その感情が恋愛としてかは

分からないが。





辺りは暗くなり、マナが火を起こした穴倉で寝る支度をする。

見張りは一人の予定だったが、その間がかなり暇なので、寝れる時間は減るが、

二人ずつということになった。

ちなみに、マナが勝手に決めてしまったのだが、フーラとウィズ先生、

マナとエインという組み合わせになった。





フーラ&ウィズ先生


「やっぱりあの二人はくっついていると思うのよね~、少なくとも

 マナちゃんはエイン君のことが好きなはずなのよね~。」

「......それは同感。」

「でも、マナちゃんがエイン君のことを好きになったのはいつなのかしら?」

「.....う~ん。」

「フーラちゃんもわからないみたいね、でも、まだマナちゃんは自分の気持ちに

 気づいていないのかもね。今のメンバーはエイン君以外女の子だからね~。

 そこになんとなく危機感を抱いたのかもね。」

「......先生は女の子じゃない。大人......女性だよ。」

「そこ!?」


そんな、年頃(?)の女子&女性の恋バナ(?)は続く。


「ここの学校って17歳までなんだよね。15歳は成人だから割とこういう話は

 よく聞くのよね~、しかも、成人になって卒業するから、そこで告白する子も

 いるだけどね。卒業して生活が安定したり時間ができたり、

 職に就いたり何かおめでたい事、今なら結婚や告白が成功した時とかに

 ここにきて私や、ほかの先生たちに会いに来たり、報告しに来たりするんだけど、

 たまに結婚していてなおかつ二人ともビュルンデル学校出身だったりするから

 その二人のきっかけやらを聞いたりするんだよね。意外とこれが私の

 教師としてのやりがいの半分がこれなのよね~。」

「......そんなことがやりがいなの?」

「教師になって5年目だけど、最初はいろんなこと教えるぞ~って、

 燃えていたんだけれど、その時の私、だいたい1年目の私の授業は割と

 生徒たちにはきつかったみたいでね、評判が悪かったのよ、特に貴族の生徒達にはね。」

「......貴族?」

「私は回復系の魔法を使う生徒に授業をしていたんだけれど、よくやる教科

 じゃないから時間の都合で時々混合でやるけれど、その時に貴族たちがうるさいのよね。

 平民と一緒に受けるのが嫌だとか、なんで平等というか、同じ扱いを受けるのだ!

 とかね、私にとって平民と貴族の違いなんて、地位と権力、たったそれだけ。

 たとえ幼少から英才教育を受けていても、平民でも努力や才能で覆せる。

 実力だけなら、私達平民にも全然勝機はある。実際、貴族と平民は教室を

 完全に分けてるからあなたたちは分からないでしょうけど、貴族たちとほとんどすべて授業

 のやることは変わらないのよね。」

「......そうなの?」

「ええ、別にこの学校は腐っているわけじゃないから、貴族にもいい奴は半数以上いる

 でも、さっきのように文句を言うのは、無駄に地位が高いのよね、だから周りも

 強く言えない。そんな感じ。私達教師が少しきつく言えば、怒られるのに

 慣れていないからすぐ黙るから、今のところは問題なさそうだけどね。」

「.....いろいろあるんだね。......そろそろ時間かな?」

「そうね、交代しましょうか、フーラちゃん私の話を聞いてくれてありがとうね。」


その後エインとマナに変わったのだが、何か面白そうなことがあるかも、と思い

二人を覗いていたウィズ先生がいうには、二人はレイから教えてもらった

しりとり、というのをしていたようだ。と述べていた。

そういう彼女の顔はすごく残念そうだとか....。

 

 


 


翌日。

 

「さて、皆出発するよ~。」


そう声をかけてくるウィズ先生。

全員、疲労しているため声は返さなかったがすぐに支度を整えることで

いつでも構わないことを示していた。






その後、エインたちは無事にたどり着き、レッサードラゴンを倒したことにより学校内で

有名になったが、いつでもレイを迎えれるように、また足手まといにならないようにと

めきめきと実力をつけていった。しかしレイが帰った来たのはあれから5年のことだった。

しかも、卒業式に行われる、卒業生トーナメントの時に.......。


これで1章は終わりとなります。

次章! 空白の5年間!レイが5年間の間何をしていたかの章になります。

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