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静かが好きな結界使い  作者: 蒼色
一章 神に仕える一家の息子
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野外訓練 その2

「はあ~、どうしようかな~?」


対面する竜を見上げながらそう呟く。


「.....レッサードラゴンの翼は比較的脆い......壊して落とせばいけるかも...?」

「無理よ!あんなのにどうやって近づいて破壊するのよ!?」

「あるじゃないか、魔法という武器が。」

「でも、炎は効かないし、風だと、みんなを巻き込んじゃう。」


マナが得意なのは炎と風だからな~、でも。


「じゃあ、皆に被害が出なきゃいいんだよね?」

「そうだけど....ど、どうやって?」


負けず嫌いであるマナも、生態系の王者とも呼ばれる竜種、下位ではあるがはるかに

強い存在にかなり弱腰のようだ。


「それは僕が何とかするから、隙を見つけたらよろしく。」

「....マナ、頼んだ......」


僕とフーラはマナが魔法を放つ隙を作るため飛びかかっていった。


「神よ、我は願う、祈りの対価に神速を望む、巫術[神速化]」


出し惜しみは出来ない、全力で戦う。


「居合[刹那一閃]」

「貫き、魔法剣[ストーム]」


速度で惑わすことにした僕らは一緒に斬りかかる。全く同じ方向だと二人まとめて

やられてしまうため、僕は先に駆け出して反対側に行ってから斬りかかる。


ガキン。


「はじかれた!?」


あまりの硬さに、刀が食い込むどころかはじかれてしまった。

フーラの方も同じことが起きている。

レッサードラゴンは体ごと回って尻尾で薙ぎ払おうとしてきたので撤退する。


バサッ、バサッ、バサッ、ドシン。


飛びあがったかと思いきや、落下してきて大きく地面を揺らす。

さっきのはじかれたときに大きく下がったフーラと違い、尻尾がギリギリ当たらない

位置までしか下がっていない僕を隙ありとにらんだのか、ブレスを吐いてきた。


「結界[炎絶結界]」


ゴオーーーー、炎に包まれても暑さすら感じないというのは変な気分だ。

やがて、炎が収まる、炎に包まれても生きていた僕に驚いたようだが、

冷静に標的をフーラに移した。噛みつきと爪による攻撃を華麗にかわしている。

此処から見ると紙一重だが、ちょこまか動くフーラにイラついてきた

レッサードラゴンは段々攻撃が単調になってきた。

そのすきをを狙って刀で応援するが、やはりはじかれてしまい

どうにもできない、そこへ。


「タイフーンゲイズ!!」


マナの事前に詠唱しておいた風の上級魔法であるタイフーンゲイズ

が翼に命中した。もちろんフーラには僕が[魔結界]をかけている。


「グアアアアァ」


レッサードラゴンの悲鳴が聞こえるが、翼は破壊しきっていない、

しかし、何か見覚えのある影が飛んできた。


「流星!!!」


そう叫びながら、大剣に白い光を宿し、翼を見事に切断した。

その声の元はエインだった。


「待たせたな。」

「ああ、ずいぶん待ったよ、エイン」


そんな喜びもつかの間、レッサードラゴンの怒りのブレスが飛んできた。

皆に炎絶結界を展開し、防ぎきる。

だが、ブレスはなかなか終わらず、下手したら破れてしまいそうだ。

こうなったら、自爆覚悟であれを使うしかないかな、峡谷のそこに落ちるのは怖いけど

このままじゃ皆もやられる。


「エイン!聞こえるか!」

「ああ、どうした?」

「ごめん、ちょっと、峡谷の底に落ちてくる。」

「はあ!?お前こんな時に何を言って...。」

「あいつごと巻き込むから後はよろしくなエイン、いつか戻ってくるから。」

「そんな無責任な事を「じゃあね」おい!!ぐああ!」


エインには申し訳ないけど、危ないので、マナ達の方に蹴飛ばさせてもらった。


「神よ、我は願う、昔、すべてを滅ぼした刀を祈りの対価に

 願う。巫術[全テヲ滅ボス巨大ナ刀]」


僕の持っていた刀がみるみる大きくなり、山一つあるのではないかと

思うほどおおくくなった。恐らくこの後僕は気を失うだろうが、仕方ない、

生きて帰れるかな~?そんなことを考えながらそれを振り下ろした。




僕のいた場所は刀により崩れ去った。皆のいる場所は無事なはずだ。

レッサードラゴンは真っ二つになって落ちていった、僕も落下で

ペシャンコになるかもしれないが、最後の力を振り絞って結界を使った。


「結界[完全防壁]」


一度だけなら、どんな物理攻撃も防ぎきれるこの結界を張ったが

仮に生きていたとしても気を失っているはずなので、何かに食べられるなどされるかもしれない。

でも、その時はその時だ。そう割り切って、僕は目を閉じた。








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