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ボーリングアビリティ  作者: 失恋たきこみ
7/20

出逢いまでの奏鳴曲(ソナタ)3

リク=アイネス過去話です。

ガラリと音を立ててそれは傾き落下する。

少年が気付いた時にはもう遅かった。

上を見た時にはもうーーー。



俺は驚きガバッと起き上がる。嫌な記憶をみて重くなった頭を手で支える。


(何故今になってあんな事を…)


夢とはいえ自分が体験した事を思い出すとは全く笑い話にもならないもので、すっかり目が覚めてしまい再び眠ることの出来なかった俺は仕方なく板書をとるのだった。



「珍しいじゃない?あんた授業中にペンを持つなんて」


全く失礼な女だ。


「ペンはいつも手に持っているぞ、その方が先生にばれないからな」


(俺がペンを持っていないだなんて全くそんな考えなしな事をする筈がない。やはりミノアはその点において見ても俺の天才性を理解していないと見えるな。)


「あんたって本当くだらないことだけには無駄に努力するわよね……」


「ふっ、生まれてこの方努力などしたことがないな」


「言うと思ったわ」


(ミノアに心を読まれるとは心外だ……。)


「そんな憤慨した目で見ないで。それで?なんであんたが板書なんかとってたのよ」


「ああ、少し昔の事を思い出してな……」


「何を思い出したの」


「なに、つまらん昔話だ。ふむ、ミノアには話たことがなかったか、いい機会だし話してやろう」


「聞いてあげるわ」


相変わらず生意気な口を聞く奴だとは思ったが寛大な俺はミノアを許し、話を始めた。


「あの日は陽射しが眩しかったーーー。



「俺はまだ小さかったが周りに同調せず、自我を貫いて生きていた。

「山に登り。

「川を下り。

「河に流され。

「木々を掴んで遊んでた。まあ、いわゆる外でよく遊ぶ健全な子供だったわけだ。

「何?今とは大違いだって?本当に失礼な奴だなミノア=クリフレイン。

「……まあいい、話を続けよう。その頃から俺は自分の天才性に目覚め始めていたんだろう。日を重ねる毎に自分の中の何かが成長していくのが解った。

「何かきっかけがあればその何かが開花することがなんとなくだが理解していた。子供ながら天才である俺にしか出来ないことだな。

「結局それはなんだったのかだって?まあそう急くな。今からそれを話してやる。

「きっかけは唐突に訪れた。

「いつものように山に行った俺は身の危険に対する悪寒といつもと違う様な違和感を覚えていた。

「俺が行く山はそんなに高くはないが為にそんなに目立つものでもなく人っ子ひとりいない様なマイナーなものだ。

「山には細い山道があるのだがそこをいつもの様に歩いている時だ。少し上の方からガラリと音が聞こえたんだ。

「俺は気になって上を見たら……岩が落ちてきたんだ。そんなに大きなものではないが子供を一人殺すなら十分な大きさのものだ

「俺が顔を向けた時にはもう目と鼻の先だった。俺はそのまま岩に打たれて気絶した。

「次に起きたのは病院だった。俺は奇跡的に運良く助かったのだ。

「話を聞かされた時にはホッとしたし、ゾッとした。俺が唯一恐怖と呼ばれるものを感じた時だ。今でも思い出すと少し、本当に少しだけゾッとする。

「二ヶ月ほどで退院はしたが俺はその時から違和感を覚えていた。

「言ったろ?きっかけは唐突に訪れたって。

「俺はユークになっていたんだ。頭の中に上から下へ動くものの流れが見えた。映像として流れた。そして俺は今の能力を手に入れた。



「ふーん、結局のところそれが今日起きてたことと直接関係あるの?」


「貴様、話を聞いていなかったのか?岩が落ちてくるのを思い出したんだぞ、そりゃあ驚いて目がさめるに決まっているだろう」


俺は飽きれてミノアの顔を覗き込んだ。するとミノアは顔を真っ赤にして俺の身体を押しのけた。


「ちょっ!近い近い!」


恥ずかしがるミノアは中々どうして面白い。最近わかったがミノアはあれだな、巷で有名な「ツンデレ」という奴であろう、と俺は軽く息を漏らして笑った。


「……何よその顔は」


「気にするな。ミノアの事だが気にすることはない」


「私の事だと言われるともっと気になるんだけど」


ミノアは俺を少し睨む様に視線を向けた。そして少し探るように俺の顔をジロジロと見るとため息をついた。


「はぁ、まあいいわ。今日は面白い話が聞けたしチャラにしてあげる」


「チャラにするには安過ぎやしないか?そうだな……お前が能力を発現した時の話をはな……」


と言いかけたところをミノアに「それは……無理な話だわ」と遮られた。その時のミノアの顔はいつもでは考えられない様な部が悪いといった顔をしていた。


俺はしばらく無言でミノアを見つめ、「そうか、それは残念だ」と答えた。


まあ、あまりミノアの過去は詳しくは知らないが大変だったようだからあまり詮索しないのがミノアの為なのであろうと俺はそれ以上ミノアについては聞かなかった。


そんな感じでお互いが傷つかないよう気を遣い変な空気になっているところ、


「二人ともおはよう!」


と風船を割るように元気な声が飛んでくる。


レニーの言葉に俺とミノアは突然の事でびっくりして直ぐには対応できなかった。


「もしかしてお取り込み中だった?」


彼女は俺達から一歩距離をとると疑問と何かを含んだ顔をして俺達二人を見た。


「もう、びっくりさせないでよレニー……」


「ああ、おはようレニー。別に取り込み中ではないしレニーを邪魔者扱いするわけではないから安心してくれ」


「ふーん、ならいいんだけどね」


レニーはそう笑うと両足でぴょこっと距離を詰めるようなにジャンプした。


「で?何の話をしてたの?」


「能力が発現した時の事を話してたのよ。リクは過去に落石が当たったってのが発現した時らしいわ」


「へぇ。私にもその話聞かせてくれないかな?」


ミノアの能力発現の話は聞けなかったが俺は何故かわからない安堵に包まれていた。

投稿遅れてすみませんでした!

色々立て込んでいたもので(苦し紛れの言い訳)。


次回はミノア=クリフレイン過去話です。


次回は早めに…なるべく…早めに。

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