プロローグ2
プロローグ1から来ていただいた方々、ありがとうございます。
初めましての方々はプロローグ1から見て頂けると嬉しいです。
人間とは単純な生き物だ。
私はもう使われてはいない埃の積もった廃工場に響く自分の足音を一つ一つしっかり聞くために少し歩みを遅くする。コツン、コツン、という心地よい革靴が鳴らす音は私の荒んだ、暴力的な心を癒す。単純に心を癒すというだけで私は歩みを遅くする。行動の一つ一つが単純。理由を探すまでもなく単純。
強くなるために修行をするのも、将来のために勉強するのも、スポーツで上手くになるために努力するのも、結局は単純である。
別に単純なことが悪いと言うわけではない、人間らしいとさえ思う。だから持つ者が持たざる者に力を見せつけることも私ーーカリン=クロモンドは単純で人間らしい行為だと妥協している。
カツン、カツン、と硬い靴底が汚いリズムで音を立てそちらを私は向く。そこにはジャラジャラと金属品を下げた下品な男。
「いきなり着いて来いって言ってこんな無人の廃工場に俺を連れてきて、嬢ちゃん誘ってんの?嬢ちゃん可愛いしこういうの慣れてんのかな。俺は良いぜ、嬢ちゃんみたいな女は結構タイプだしな。」
汚くニヤリと笑う男に私は自己紹介する。
「初めまして。ラークナーの能力者喰いです」
その特徴的過ぎる挨拶は言った私本人も少し恥ずかしい位だが、男はその名を聞いて一瞬で青ざめる。
「う、嘘だろ。てめーがあの能力者喰いだってのか?」
男の口調が一気に変わるがまだ信じてないらしい。ならば信じさせてやろうじゃないか。そのやり方は単純だ。
「無能力者への能力干渉は禁止されてますよ。能力者の違反行為はラークナーによって管理されています。よって罰を与えましょう。やり方は野蛮ですが、これが私のやり方で黙認されてるんで」
男が足を引いた瞬間に一気に間合いを詰めるそして足を横に薙ぐ。ほら、単純だ。
「ぎゃあぁっ!」
横に吹っ飛んだ一人のユークの声が廃工場に響いた。
とりあえず二人の少年少女のプロローグが終わりました。
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