表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボーリングアビリティ  作者: 失恋たきこみ
12/20

聴こえ始める接続曲(メドレー)3

過去編です

「む?二人が来る意味?」


俺はミノアの意味のない質問に少し思考を巡らす。


「では、俺とこの二人とのエピソードを話そうか」


「それ何の意味あんの……」


二人とのエピソードを話せばこの二人が来た理由も明確になるので意味が無いわけではない。というかむしろそっちの方がいいのではないかと思った。


「僕とリク君との出会いかぁ……」


ブラフガが懐かしむように顔を上げる。

俺はブラフガを見てその次にレダを見るとレダも何か思い出すように目を閉じた。



俺が中学の頃だ。


一人で自分の能力の研究をしていたため特に親しい人間は居なかった。


しかし能力の干渉を誤って一般人にかけてしまうとその時から噂になり始めていた能力者喰いに狙われる可能性があったので研究自体はそんなに細かいところまで見るわけでなく、あくまで大まかに調べる程度だった。


別に能力者喰いに恐怖していたわけではないし、負けることはないのだが迷惑ではあったので能力者喰いには注意を払っていた。


ある日の夕方、普段通りに家に帰宅する途中だった。

上からがしゃんっという音がしたかと思うと、男が上から俺に向かって落ちてくるではないか。


「あぁぁぁああぁ!!」


俺は咄嗟に能力を発動しその男を受け止めた。


「あああ?ぶ、無事だ……」


男を地面に降ろすと男は俺に


「いやぁ、貴方が居てくれて助かりました。ところで貴方はユークですか?」


とまるで俺がユークだと気付いたように問いかけた。

俺はこいつが能力者喰いだと理解した。

俺がユークだということに気付き、

上から襲おうとしたのだ。


「あ、僕ブラフガ=ラブラントって……ちょおおぉぉ!?」


俺が奴の頭に放った蹴りは間一髪のところで避けられた。


(この反応速度……噂以上か?)


俺は臨戦態勢をとり奴と距離をとった。


「やる気満々なんですね〜……。やだなぁ、またこういう人と出逢っちゃったよ……。逃げられるかもしれないけど相手もユークだし……」


何かブツブツ言っているのを見ると味方への連絡かもうすでに分析されているのだと感じ俺は奴に飛び込んだ。


勢いよく放った右拳は奴の回避によって空を切った。俺は後ろに下がった奴の顔が少し焦っているような表情をしているのを見逃さずさらに距離を詰め右膝を奴の無防備な腹に叩き込んだつもりだった。

奴はまるでたまたま石に躓いて後ろに転けたような態勢になった。

俺の膝は奴の顎を掠め奴は俺の下を通過するように背後に回ってきた。


しかし奴は仕掛けてこないで俺と距離をとるとくるりと俺に背を向け走り出した。


俺は奴に顔が割れてしまっているのでこのまま帰すのは厄介だと思い奴の後を追いかけた。

しかし、奴は幸運にも俺が向かった方には居らず俺は奴を見失ってしまった。


少し辺りを歩いて探してみたが見つからないので帰ろうとした時。

曲がり角から一人の男が現れた。

その男は身長が高く20代後半位の顔つきで右手にメリケンサックのようなものをつけている別にどうという事のない男だった。

男は俺に気がつくと胸から一枚の写真を出してそれを俺に見せた。


「この男を見なかったか?」


そこに写っているのは先程俺と交戦していた能力者喰いであった。


「ふむ、奇遇だな。俺もその男を捜していたのだ」


一人よりも二人で探したほうがよいと考えた俺はその男に自分との利害が一致していることを告げた。

男はほぅ、と呟くと携帯を取り出した。

俺もポケットから携帯を取り出し男と連絡を交換する。


「リク=アイネスだ。次は君が名乗る番だ」


「レダ=マイガス。短い間だが宜しく頼むぞ」


俺達は軽く自己紹介をするとしばらく並んで歩き始めた。

しばらく無言で歩いていたが俺はレダに一番気になることを聞いてみた。


「お前もユークなのか?」


レダが驚いたようにこちらを向いたが少し考察するような姿勢をすると納得したように


「ああ。お前も奴に見つかったのか」


と俺に問いかけた。


やはりレダも能力者喰いに見つかったのだろう。俺は少し安心して奴の問いに答えた。


「まあな。いきなり上から来た時は流石に驚いたが、いつか来るものと思っていたからな、すぐに対処は出来た」


レダは俺を感心した様に見ると


「奴にあった瞬間にユークだと見破られてな」


と言ったので。

大体俺も一緒だ、とニヤリと笑いながら答えた。

レダはつくづく境遇が似ているなと口角を吊り上げた。


しばらく来た所で分かれ道があり、レダと分かれて捜すことにした。

しばらく捜していると一つの公園の前でレダと合流した。

そこにまるでタイミングを合わせたかの様にスーパーの袋を持った一人の男が近づいてきた。


「「「あっ」」」


その男は俺とレダが捜していた能力者喰いだった。


俺とレダは即座にそいつの腕を掴むと拘束し公園に連れ込んだ。

レダがスーパーの袋の中身を確かめたが特に珍しいものはなく人参、ジャガイモ、玉ねぎなどの明らかにカレーをつくる材料が入っているだけだった。


「能力者喰い。お前は誰の命令で動いている」


俺は能力者喰いに尋問を開始したしかし帰ってきたのは期待していたものではなかった。


「ひぇっ!?ぼ、僕は能力者喰いじゃないよ!?」



男の名はブラフガ=ラブラント。

話を聞く限り本当に能力者喰いではなかった様だった、俺とレダは無駄足を踏んだことに大きな溜め息を吐いた。


「どうする、こいつ」


「うむ。紛らわしいことをしてくれた罪は償うべきであると思うがな、何をさせようか」


「ひっ!命だけはご勘弁を!!」


俺は辺りを見回すとブラフガの持っていたスーパーの袋を見る。そしてスーパーの袋を片手にもち


「ならば、夕飯を頂くかな」


とスーパーの袋を少し持ち上げた。


ブラフガの家まで来たがどうやら一人暮らしらしく、かかっている制服から同じ中学であることがわかった。しかもネクタイの色は緑色、俺と同じ学年だということがわかった。

レダもその制服を見ると


「これ、うちの中学の制服か。しかも同じ学年とはな」


と言ったので俺は驚いた。

この男、明らかに俺よりも年上だと思っていたがどうやら俺と同い年らしい。


「今、見た目によらず若いとか思ったろう」


レダは俺の顔をちらりと見てそう言うと背の低い丸机の前に腰を下ろした。

それは的を射ていたので「すまないな」と少し視線を落としていうと、言われ慣れているといった表情でレダは苦笑いした。


「前髪を切ればいい」


と言うと、少し部が悪そうに口を歪ませ


「コンプレックスなんだ、昔妹に泣かれてな」


と視線を少し上に上げた。

その時に隠れた目が笑った様な気がしたので俺も合わせるように苦笑いした。


台所からカレーの良い匂いが漂ってくるとブラフガが顔をちらりと覗かせ俺達を見ると諦めたように


「なんかもう……友達の家に居る様な感じだね……」


とため息を吐いた。


「不服なのか?この俺が居ることが不服なのか?全くもって失礼な男だ、リク=アイネスが貴様の家に居ることに感謝してほしいものだな、ブラフガ=ラブラントよ」


「愚問だよ……」


利益を生まない質問では無かったと思うが、まあ俺がここにいる事に不満がないというだろう。確かにそうなると愚問でしかないからな。


「早計だったな。すまない、次は気を付けよう」


「そう思うならなんで家に来たの……」


「お前が紛らわしいことをしたからじゃないか?」


「この世に神も仏もあると信じてたよ……」


ブラフガは盆を丸机に置くと俺とレダの前にカレーの入った器とスプーンを置き、最後に自分の前にカレーとスプーンを置きため息をついた。


「「「頂きます」」」


口に運んだカレーは熱かったがその他に別の温かさを感じて何故か胸がくすぐったかった。


「辛っ……」

文章に納得がいくものがいつも書けるとは限らない。

ええ、言い訳です



読んで頂きありがとうございました。

次はいつになるんでしょうね……。

リクは中々にキャラが複雑なので文や台詞から彼の心を読み取って頂けるとありがたいです。

別に表現力がないから読者に読み取って貰えばいいじゃんと投げっぱなしにしている訳ではありません。ありません、ええ。


次回も読んで頂けると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ