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ボーリングアビリティ  作者: 失恋たきこみ
11/20

聴こえ始める接続曲(メドレー)2

前回の続きです

「もう、リクが変態とかいうから焦ったじゃない」


「焦って殺意満々に他人の首締め上げるやつはいないぞミノア」


俺達はあの後気絶し、そしてブラフガだけ拘束されて今にいたる。


「とりあえず僕の拘束を解いてくれませんか?」


「駄目よ」


懇願するブラフガを容赦なく一刀両断しミノアはジロジロとブラフガを観察し始めた。

レニーはというとミノアの後ろに隠れながらチラチラと様子を伺い目が合うとビクッと身体を縮こめていた。

普段勉強ぐらいしか苦手なものがなさそうだが変態は駄目なのかと思ったが女性ならば変態が苦手なのが普通で強気な態度のミノアが異常なのだと気付いた。


「まあ、彼は変態だが実害はない。この俺の顔に免じて拘束を解いてやってくれ」


「怪しいわ」


今度はフォローに行ったレダがミノアに一刀両断されていた。俺は内心「顔の事だけはやめとけ」とか思ったが俺には暴力をしてくるので余計な口を出さんでおこうと思った。


「ミノア、紹介しよう。こっちがレダ=マイガス、かなり老けているが俺達と同年代だ。

そしてこのすまきのがブラフガ=ラブラント、多少妄想癖はあるが実害はないし手を出す勇気もない小物だ。二人共俺の友人かつ下僕だから仲良くしてやってくれ」


「嘘ね、リクに友人がいるはずないわ」


「ミノア、それは流石に失礼なんじゃないかなぁ……」


「レニはどう思うのよ、あのリクに友人?」


「そ、それは……」


レニーよ、そこは迷うところではないぞ。

全く持って失礼極まりない二人に俺は少し呆れながらもわかりやすいように説明をした。


「いいか二人共。俺は天才であり特別ではあるが別に孤高でいるわけではない。俺は他人に敬われ、慕われる天才であるのだ。そんな俺に友人の一人や二人、いても何もおかしくはないだろう?」


「……はぁ、その様子だと本当みたいね」


「だねぇ」


俺の言い分に納得したのか二人は呆れたような、安心したような顔をした。

全く持って失礼極まりないが二人共この俺の天才性を理解したようで満足だ。


「私はミノアよ、ミノア=クリフレイン。この馬鹿の突発な行動にちょっと錯乱しちゃったけど二人共よろしくね」


前言撤回。この女は理解していないようだ。


「私はレニー=オイコット、この家の者だよー。二人共よろしくねー」


レニーもいつもの調子に戻り俺も少し安心した。


二人に自己紹介されるとすまきのブラフガとレダが挨拶を返した。


「は、初めまして。ブラフガ=ラブラントです。なんか急に押し入っちゃってすみません」


「レダ=マイガスだ。こう見えてリクと同い年だ。押し入ったことすまなかったと思ってる」


俺が二人の挨拶に感心しているとミノアが俺に尋ねてきた。


「そういえばこの二人呼び出した理由ってなんでだっけ?」


「む?俺は変態ではなくブラフガが真の変態だということを言う為にだ」


そういうとミノアはすまきのブラフガを抱え窓を開けた。


「やっぱり出すわ!」


「えっ?いやいや!危ない危ない!レダ君、リク君!助けて!」


それを見たレダが止めに入った。まあ、あいつなら能力使って助かるしいいやと俺は傍観だ。


「いや、待て待て実害はない。数を数えるんだ、そうすれば落ち着く」


「5…4…3…」


「ひぃい!?カウントダウンが始まっちゃったじゃないか!」


窓際でそんなやり取りを見ていた俺と、あわあわと戸惑っているレニーは顔を合わせると自然と笑顔を交わしていた。


まあ、レニーは苦笑いだったが。



少し経ってやり取りが落ち着くとブラフガは拘束されたままだったが皆机を囲むように座った。


「あ、忘れてたっ」


レニーは思い出したように台所に向かうと少し経って皿を手に戻ってきた。


「クッキー焼いてたの忘れてたや」


俺とミノアが来た時には作ってる様子が無かったのできっと来る前に作っていたのだろう。


「む、では一つ頂こう」


俺は一つ手に取り口に運んだ。


クッキーを口の中で砕くとハーブの香りとうっすら蜂蜜の香りが広がる。サクサクとした食感が硬すぎず溶けていった。


レニーは少し心配そうに


「ハーブクッキー……苦手だったかな?」


と聞いてきた。


「いや、美味しいぞ。やはりレニーは料理が上手だな」


「うん、美味しいわ」


「美味いな、これは」


「うん。僕にも下さいお願いします」


満場一致て皆が美味しいと答えるとレニーは少し気恥ずかしそうに照れた。


「うん。みんな意気投合みたいな雰囲気は凄くいいんだけどちょっと待って?僕だけたべてないから!美味しいのはみんなの表情からわかるけど僕だけ味わってないから!」


なんか五月蝿いと思ったらブラフガがなんか騒いでた。

レニーはハッとしてブラフガの存在忘れてた、みたいな顔をするとクッキーを一つ手に取っ


「ご、ごめんなさい!ラブラント君は一人じゃ食べられなかったよね。でも拘束は怖くて解けないから」


そういってレニーはブラフガの口にクッキーを寄せて……から俺に渡した。


「リク君、食べさせてあげて?」


「一瞬期待した僕が馬鹿だったと思い知らされたよ……」


ブラフガは涙を流しながら悔しそうにしていた。そこまでか……。


「口を開けろ」


ブラフガは泣きながら口を開けた。


「あー、ムグムグ」


ブラフガは誰得だよ、と呟きながらクッキーを食すと悲しそうに


「美味しい、だからこそレニーさんに食べさせて貰ったらもっと美味しかったんだろうなーって……」


と涙を流した。


「美味しかったんならいいじゃないか」


全く我儘な奴だと思いながらもブラフガは期待していたのだろうなと思うと慰めの言葉しか出てこなかった。

レダもブラフガにクッキーをあげて


「……いっぱい食え」


などと慰めの言葉をかけていた。


「ていうか……勉強しに来たのになんでこんなことになったのよ」


そんなこんなで二人が来て馴染み出した頃に大分遅いツッコミをミノアがしているのだった。


このまま続きます


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