6.蘭の一日目 前編
【――〈移ろう世界〉を開始します――】
《はい》
【――Now Loading――】
【――Now Loading――】
【ようこそ、移ろう世界へ。新たな可能性を歓迎します】
【――キャラクターを作成開始――】
《はい》
【――読み込んでいます――】
【――容姿データがあります。利用しますか?――】
《はい》
二人から一日遅れて蘭はゲームを開始した。
キャラメイクはVR機以外でも作成出来たのであらかじめ用意しておいた。イメージは魔法少女である。
【――読み込んでいます――】
【――読み込んでいます――】
【――これでよろしいですか?――】
《はい》
【――ステータスを振り分けてください――】
【◆筋力 〈 − 4 + 〉】
【◆素早さ 〈 − 4 + 〉】
【◆抵抗力 〈 − 4 + 〉】
【◆魔力 〈 − 4 + 〉】
【◆器用さ 〈 − 4 + 〉】
【残りポイント 0】
はいを選択すると視界が白んで、何もない正方形の部屋に立っていた。
目の前にはパネルがあり、ここでステータスを振り分けるらしい。
そう、立っていた。自分が作った通りであろう姿で。
普段より一回り小さい指でパネルを触る。
【◆筋力 〈 − 3 + 〉】
【◆素早さ 〈 − 4 + 〉】
【◆抵抗力 〈 − 4 + 〉】
【◆魔力 〈 − 4 + 〉】
【◆器用さ 〈 − 4 + 〉】
【残りポイント 1】
4×5……全部で20ポイント。
魔法使いになりたいから、魔力に半分……あとは魔法に関係しそうなものに多く振りたいところだ。
筋力はいらない。素早さと器用さは詠唱速度や燃費に関係あるかもしれないから少し振る。抵抗力は…………なくてもなんとかなるかな。
【◆筋力 〈 − 1 + 〉】
【◆素早さ 〈 − 3 + 〉】
【◆抵抗力 〈 − 1 + 〉】
【◆魔力 〈 − 10 + 〉】
【◆器用さ 〈 − 5 + 〉】
【残りポイント 0】【〈決定〉】
こんな感じかなー。出来ればもう少し魔力に振りたいのだけれど……。
決定を押そうとしてハッとする。
……なんとなく最低値を1だと思っていたけど。
とんとん、と筋力の-をさらに触る。
【◆筋力 〈 − 0 + 〉】
【残りポイント 1】
さすがにマイナスの値にはならなかったけれど、0には出来るらしい。
【◆筋力 〈 − 0 + 〉】
【◆素早さ 〈 − 3 + 〉】
【◆抵抗力 〈 − 0 + 〉】
【◆魔力 〈 − 12 + 〉】
【◆器用さ 〈 − 5 + 〉】
【残りポイント 0】【《決定》】
0って大丈夫なのだろうかと思いつつ決定を押す。
【キャラクターの作成が完了しました】
【――ゲームを開始しますか?――】
《はい》
【称号〈軟弱な体〉、〈虚弱体質〉を獲得しました】
早速不安になる称号を手に入れた。