【転生吸血鬼さんコラボ番外編】転生ドラゴンさんはお昼寝がしたい 前編
こちらは、ちょきんぎょ。先生作「転生吸血鬼さんはお昼寝がしたい」とのコラボ短編です!
ちょきんぎょ。先生およびアース・スターノベル様の許可を得て執筆しております。
もし、「転生吸血鬼さん達はそんなこと言わない!」などの苦情は道草までお願いいたします。
ではどうぞ、お楽しみくださいっ。
私はドラゴンである。
この世界で何よりも強いチート種族であるのだが、地球の元ぼっちな女子大生だった私にとっては、ドラゴンについていたぼっち万歳属性というのはどうしても受け入れられなかった。
と言うわけで途中で多少めげても友達欲しさに頑張った結果、なんと最愛の伴侶と子供に恵まれて、幸せな生活を送っていた訳なのですが。
気がついたら迷子になっていましたとさ。
「……」
現実逃避を終えた私は、とりあえず左右を見渡してみた。
ええと、確か、いつも通り我が家から離れた知行地でレイラインに潜って整備をしていたはずなんだけど、戻ってきたら見知らぬ森。
うん。困っためっちゃ困った。
一瞬レイラインに潜っている間に百年単位で時が過ぎていたのかと青くなったけれど、私がいたはずなのは山岳地帯で、ここは平たくてうっそうと木が生い茂る森である。
さすがに寝ている間に地殻変動が起きれば分かるから、時が過ぎたとは考えづらい。
と言うことは半自動モードの私が、レイラインの整備がしやすい環境を求めて無意識に移動したのだろうけど、現在位置が分からないほど移動してしまったとは我ながらびっくりである。
とりあえず、おうちに帰らなければならないのだが、さらに困っているのは。
「くう、すぴー」
ドラゴンの私のお腹を枕に眠っている、女の子の存在なのであった。
さあ、落ち着こう、私。
私の真っ黒鱗に銀色の長い髪を惜しげもなく散らして、すんごく気持ちよさそうに眠っている彼女は、だいたい、13,4歳くらいだろうか。
アールよりもほんの少し大人な感じの少女は全体的に小作りで、うかつに触れたら壊れてしまいそうに華奢だ。
桜色の唇は柔らかく閉じられ、透き通るような肌は触らずとも柔らかさが分かるようなきめ細やかさ。要するに超絶美少女だった。
フード付きのローブに白を基調とした女の子らしい可愛い服がよく似合っている。
ただ、バロウ国でも近くの国でも見たことないデザインなのが不思議だけど。
まあともかく、私が意識を取り戻したときにはすでにこんな感じで眠っていたのだが。
晴れ渡った空の太陽の位置からして時刻はお昼頃、お昼寝にしては素晴らしいガチ寝っぷりである。
鼻ちょうちんまで作ってるし。
一体全体なぜ私を枕に眠っているのかは分からないが、これでは身動きがとれないから人型をとれないし、話を聞くこともできない。
……まて、人型をとれない?
その事実に気がついて、私はさあっと青ざめた。
自慢じゃないが、戦闘力がめちゃくちゃ高そうなドラゴンをこんな女の子が見れば、良くて悲鳴、悪くて気絶。中道行ったら逃走である。
ここがどこだか教えてもらうことなどできるはずがなかった。
「いや落ち着こう。ぼっちだったのは遙か昔、コミュ能力はドラゴンナンバーワンを誇っているんだ。きっとドラゴンのまんまでも怖がられずに円滑に意思疎通ができるはず。ああでもドワーフの時は失敗したし……」
「んにゃ」
自信と不安で悩んでいるうちに、そんなかわいらしい声が聞こえて、私は全身を震わせた。
どうやら、迷っているうちに尻尾が揺らめいていて、その振動が伝わっていたらしい。
ぎ、ぎ、ぎ、と首を動かして自分のお腹を見てみれば、そこでは女の子が目をこすりつつ身を起き上がらせていた。
ひどく眠そうな赤の瞳と目が合う。
透き通るような鮮やかな赤は綺麗だなあと思ったけれど、内心はだだ焦りである。
「あーええっと」
私が今まで培ってきたコミュ力を総動員して、刺激しない言葉を探していると、こちらを見上げる彼女は鮮烈な赤の瞳をぱちりぱちりと瞬いて、桜色の唇をひらいた。
「おはようございます。おやすみなさい」
「できれば起きて欲しいかな!?」
ナチュラルに二度寝の体勢に入ろうとする彼女に、なにもかも忘れて全力で願ったのは仕方がないと思うのだ。
早くも私のお腹に預けて目を閉じようとしていた彼女は、少し不本意そうにしつつもまぶたを開いてくれた。
「適度に弾力があって温かい最高のお昼寝スポットを見つけたので、あともう3日ほど眠っていたいのですが」
「そのお昼寝スポットは私のお腹だからかなり困るというか、3日眠るのは物理的に無理だよね……?」
確かに、本日はお日様は温かいけど空気はちょっと冷たくて、その点私の黒い鱗は熱を適度に吸収して絶妙な寝心地になってたんだろうというのは分かるのだけど。
それでドラゴンのお腹で眠り込むって、どれだけお昼寝にこだわりがあるんだろう、この子。
私が戦慄していれば、女の子はぱちりぱちりと赤い瞳を瞬いたあと、ぺこりと頭を下げた。
「失礼しました。大変良い寝心地でした。ぼっちドラゴンさん」
「ぼっちは昔のことだからね!?」
「そうなのですか?」
「そ、そうだよ。旦那いるし、子供もいるし! 友達いるし! というか私の独り言聞こえていたのかい!?」
「はい、とりあえず眠かったのでスルーしましたが」
「そこは起きよう!?」
彼女の寝ぎたなさに戦慄しつつ、古傷をえぐられつつも、私は内心ほっとしていた。
体を起き上がらせて地面に座り込んでくれた銀髪の女の子は、私を一切怖がる様子がないし、何より言葉がちゃんと通じる。
言葉、とっても、だいじ(まがお)。
けれど、よく見れば、彼女の長い髪の間からのぞく耳は少しとがっていた。
森人かなと思ったけど、それにしては人族以上に魔力が多いというか、人の気配をしてない。
どちらかというと精霊や私のようなドラゴンに近くて、内心首をかしげつつ、とりあえず友好的な彼女にこれ以上心に痛いあだ名で呼ばれないためにも自己紹介をした。
「私はラーワ。とりあえずそう呼んで欲しい」
「僕はアルジェント・ヴァンピールと言います。アルジェで結構ですよラーワさん」
あっさりと名乗ってくれた彼女には悪いけど、私はちょっと戸惑った。
ヴァンピールというのは、地球でゲームやアニメなどのサブカルに浸っていれば結構聞く単語だったからだ。
アルジェント、と言う響きもどこかで……そうだ、確か銀色って意味だった。
しかもあくびをかみ殺す彼女の口に見えた牙は、まさに。という感じで。
「吸血鬼、かい?」
「はい。吸血鬼ですが」
「吸血鬼ってお日様に当たっちゃまずいんじゃ」
「僕、日照耐性技能が10あるので」
分からない単語があったけど、ごくあっさりと肯定されて、たらりと背筋に冷や汗が伝った。
いや、ドラゴンだから汗が出る機能はないのだけれど、心情的に。
だってだよ?
私の知っている吸血鬼は前世も今世も伝承だけの存在で、実際は吸血行為での魔力譲渡を好む魔族がそう呼ばれているだけなわけで。
だと言うのに彼女は魔族じゃないのは確かで、んでさっきからレイラインが妙ちくりんというか見覚え感じ覚えがない、この世界の違和感みたいなものが説明がついてしまうと言うか。
私は猛烈に感じる嫌な予感のまま、アルジェと名乗った女の子にばっと頭を近づけた。
「アルジェちゃんでいいかな。ものすごく聞きたいことがあるのだけれ……」
と、私の優秀な聴覚が複数の足音と人の気配を拾う。
『っユグドラシル級のドラゴンですって!? デマだと思っていたのに本当にいるなんて』
『アルジェさんから離れてくださいですの!』
現れたのは、茶色い髪をサイドで高く結い上げた左右の目の色が違う女性と、黄金色の髪に頭頂部に同色の鋭くとがった狐耳が生えた女の子だった。
ただし、巫女服っぽい服を着た女の子の腰から生えている、ふさふさの尻尾は全部で3本。
狐人である美琴から、尻尾が増える話は一度も聞いたことがない。
二色の瞳の女性の手からほとばしる、魔力の高まりも全然知らない術式だ。
さらに言えば、彼女達から紡がれる言葉も理解できなくて。
……さあ、それよりも現実逃避はやめようか。
今の私はアルジェを頭から丸かじりしかけているようにしか見えない。
その証拠に新たに現れた彼女たちから溢れるのは、百パーセント敵意だった。
私のお馬鹿ー! どうしてもっと早く人型を取っていなかったー!?
誤解を解こうにも、すでに狐耳の女の子はかまいたちのような鋭い風の刃をはなってきた。
複数の風の刃はやっぱり知らない術式で、涙目になりながらもせめてアルジェを守ろうと翼を下ろす。
けど、その前に銀髪を揺らすアルジェが進み出た。
「アルジェっ!?」
「風さん、お願いします」
二色の瞳の女性が動揺するのもよそに、彼女がつぶやいたとたん、風が吹きすさんだ。
風の刃を押し流す。
これもまた分からない魔術だけど、ものすごくでたらめな術なのはなんとなく分かった。
『アルジェさん!?』
『クズハちゃんフェルノートさん、このドラゴンは敵じゃありませんよ。僕のお昼寝に付き合ってくれました』
『ああ、それは……』
突然言葉が変わったアルジェに何か言われた二人は、臨戦態勢を解いてくれた。
私にすごく生ぬるい視線を向けてくるのがあれだけれども。
というか、ナチュラルに話をしていたけれどもアルジェも言葉が違ったのか。
それはおいといて、いいかげん警戒させてしまう外見をどうにかしよう。
私はそこでようやく人型を取ってアルジェの前に降り立ったのだけど、逆にめちゃくちゃ驚かれた。
うん?いつも通りの赤い房が混じった黒い髪がパンキッシュな、女子大生風のはずだけど。
『ドラゴンが人になりましたの!? それとも人がドラゴンでしたの!?』
狐耳の女の子がぴんっと耳を立てていたり、傍らの女性も紫と金色の瞳をまん丸にしている。
そういえば、どこがとは言わないけどすんごく大きいなあ。
この短い付き合いでもアルジェが結構冷静な子だと実感していたから、彼女まで赤い瞳がまん丸に見開かれているのに戸惑いつつ。
けど、覚悟を決めた私は銀色の彼女に問いかけた。
「アルジェちゃん。ここがどこだか教えてくれないかい?」
「……サクラノミヤから西に位置する森の中ですね」
「……サクラノミヤは街の名前かい?」
「はい、ヨツバ共和国の首都ですよ」
サクラノミヤという地名も、ヨツバ共和国という国名にも心当たりは全くない。
つまり私、世界をへだてて迷子?
*
世界をへだてて迷子と発覚してから、しばらくたった。
「ラーワさん、これを四番テーブルにお願いしますわ」
「はーい!」
私は、金色の狐耳の少女、クズハちゃんからお盆を受け取ると、黒のスカートを揺らして店内を歩いて行った。
私が着ているのは、黒のワンピースに白のエプロンだった。
頭はフリルのついたカチューシャ……ホワイトブリムというもので飾られている。所々あしらわれたフリルがかわいいそのワンピースは、どっからどう見てもメイドさんである。
ふわりひらりと揺れるフリルが足に触るのが落ち着かないが、お客さんは待ってくれない。
テーブルの一つに注文の品を運んだ私は、お客さんに向けて笑顔を浮かべた。
「お待たせいたしました、レアチーズケーキと紅茶になります」
ここはヨツバ共和国首都、サクラノミヤにある喫茶店メイ。
今の私は、そこの店員さんだったりするのだ。
あのあと、銀髪の吸血鬼なアルジェに、私が迷子であると説明してもらうと、二人、フェルノートさんとクズハちゃんはものすごく同情してくれた。
そして、彼女の知り合いとも連絡を取って、あれよという間に、帰り道が分かるまで彼女たちも世話になっている喫茶店で私も居候させてもらえることになったのだ。
うん。まさか身分なし素性が怪しい私がするっと街へ入れるとは思わなかったよ。
それもこれもぜんぶ、お世話になっている喫茶店の店主であるサツキさんのおかげだ。
「ふむふむ、ドラゴンが人になるなんてびっくりですけど、かわいい子は大歓迎なのです。これも何かのご縁、サツキちゃんにお任せあれ!」
と言うなりするするっと手はずを整えてくれたのだった。
なんでも、ヨツバ共和国のお偉いさんと知り合いなんだとかなんとか。
頼れる人もいない中、ありがたいばかりなのだけど、まさか異世界迷子になるとは思わなかったよ……。
呆然としつつ、とりあえず、居候する代わりにお店を手伝わせてもらっているのだった。
喫茶店メイはサクラノミヤでも人気店らしく、真っ昼間の中店内は満席に近い。
メイには店主のほかにも厨房に一人、従業員が二人いるのだが、アールとそうかわらないクズハちゃんも「尾獣分身」という術をつかって、三人に増えてなんとかまわせる感じだ。
そんな中、私が足を引っ張るわけにはいかない。
とはいえ、人生で初めての接客業は覚えることばかりで、足手まといにならないのが精一杯なのだ、はふう。
「アルジェちゃんクズハちゃんラーワちゃん。お昼にしましょうか」
昼のピークが過ぎた頃、私はこの店の店主であるサツキさんに声をかけられて振り返る。
女性としては背の高く、滑らかな黒髪に花の髪飾りをつけた彼女の服装は緑の和服だ。
そこは東和と似ていると言えば似ているのだけど、ところどころ意匠が違って、やっぱり別の世界なんだなあとしみじみ思ったものだ。
この喫茶店が、茶屋ではなく喫茶店と称していることや、街並みに煉瓦造りの家が混ざっているところからも向こうとの違いは感じられた。
はんなりとどこか雅に笑うサツキさんも、アルジェと同じ吸血鬼らしい。
ほかにも、調理係のアイリスさんも吸血鬼なもんだから、こっちではありふれた種族なのかなと思ったくらいだ。
けれど、どうやら彼女たちも偶然知り合っただけで、すんごく珍しい種族らしかった。
「お疲れ様でした。サツキちゃん眼福でしたよ!」
ものすごく良い笑顔のサツキさんがぐっと親指を立てると、はだけた和服から見える双球がたゆんっとゆれた。
うーむ。リグリラも結構おっきいけど、この人のは別格だなあ。
しみじみ考えつつも、私は苦笑してしまう。
脳みそをフル回転させて学習した結果、日常会話では困らなくなっていたから、サツキさんの言っている言葉が分かってしまったからだ。
「眼福ってほどじゃないと思うのだけどね。ついでに「ちゃん」をつけられると、ちょっと……」
彼女が用意してくれた喫茶店の制服は、私の体にもびっくりするくらいジャストフィットしているけれど、かわいらしいデザインのメイド服は少々気恥ずかしかった。
それに、実年齢は500歳こえなので、ちゃん付けされることなんてなかったからなんとなくこそばゆい。
「いいえ、可愛ければちゃん付けするのは当然! そして可愛い子には可愛い服を着せるのも当然なんですよ! そしてラーワちゃんは可愛いんです」
「ええと、前にも言ったけど、私これでも長生きだし」
「サツキちゃんは永遠の十七歳なんです!」
「理由になってない気がするよ?」
とはいえ、どやっとしたサツキさんは満足そうなので、それ以上突っ込むのはやめにした。
まあね、ちょいと恥ずかしいけど、可愛いって言ってもらえるのは嫌いじゃないしね。
ネクターが今の私を見たら、全力で念写を頼んでくるだろうからいなくて良かったと思う。
……ちょっと寂しいけどね。
そうしてお昼ご飯として出されたものに、私は言葉を失っていた。
「こ、これ、これは……!」
「オムライスですの。ラーワさんの故郷にはありませんでしたの」
ぴこぴこと狐耳を動かしながら、小首をかしげるクズハちゃんに返事をする余裕もなかった。
目の前にあるのは、こんもりとした黄金色の半熟ふわとろ卵に真っ赤なケチャップで幾何学な模様が描かれたそれは、まごう事なきオムライス。
はやる気持ちを抑えて、そうっと、スプーンを入れてみれば、中からケチャップの赤を纏ったご飯が現れた。
おそるおそる口に入れてみれば、ほろりとご飯がほぐれ、ケチャップの酸味と甘み、お肉の弾力にくわえ、タマネギとピーマンのおいしい食感が口の中をおどった。
「~~~~!!!」
まごう事なきオムライスの味に、私は震えて身もだえた。
東和国でお米は食べたけれど、こういう洋食は未だになかった。
久々の懐かしい味にこんなところで出会えるとはと思いつつ、夢中でスプーンをはこんでいると、隣に座っていたクズハちゃんが突っ伏しているアルジェを揺すっていた。
「アルジェさん、アルジェさん、ご飯ですの。起きてくださいなっ」
「んにゅ……」
ようやく起きたアルジェの口元からは、よだれが流れていて苦笑した。
ここ数日でよく分かったのだが、アルジェは本当に暇があればどこでもよく寝る。
なにもなかったら丸一日寝ているんじゃないかと思うくらい眠っているのだ。
そんな彼女をクズハちゃんが起こすのは、もはや定番の光景になっていた。
「クズハちゃんは偉いなあ」
「私はアルジェさんのお友達ですもの!」
片手にスプーンを持ちつつ、胸を張るクズハちゃんは可愛くて、私はその頭を撫でた。
アールと同じくらいで頑張っているのを見ると、思わず応援したくなっちゃうし。
戸惑いつつも嬉しそうに三本の尻尾を振るクズハちゃんに和みつつ、私もアルジェに声をかけた。
「アルジェ、オムライスおいしいよ。温かいうちに食べようよ」
「そうですね。おいしいものはおいしいうちに、ですから。いただきます」
今にも夢の世界へ行ってしまいそうだったアルジェだったが、そう言うとスプーンを取る。
クズハちゃんがほっぺにいっぱいほうばってもぐもぐするのとは違い、丁寧に食べ進める彼女は品が良い。
吸血鬼でも、普通のご飯もちゃんと味わえるようだ。
ちょっとびっくりしているのは、これだけお昼寝第一でぐうたらと言っても過言ではない彼女が、きちんと働いていることだった。
むしろ私なんかよりもスムーズに接客するし、営業スマイルすら浮かべる姿はメイドの鏡とすら言えるほど。
過ごした時間はわずかとはいえ、出会いが出会いだけにそのギャップに面食らって、一度理由を聞いてみた。
そうしたら、アルジェは少し考えた後、「僕が休んだら、クズハちゃんとラーワさんに迷惑がかかりますから」と答えて、なんだか心がほんわかしたものだ。
銀の髪、赤の瞳。桜色の唇をした整った容貌は、表情が薄いけれど、ちゃんと思いやる気持ちはあるんだなあと。
にまにましつつ、私は至福のオムライスを堪能したのだった。
ちょきんぎょ。先生の「転生吸血鬼さんはお昼寝がしたい」はこちらのURLからどうぞ!http://ncode.syosetu.com/n0407cz/





