七、姉様…そこまで興味なかったのね。
トピシー姉様はシュリス姉様とは正反対の男たらし二十八歳。
今日もばっちりメイクしてる。
誰かドピシー姉様の素顔を見た人はいるのかな?
姉様は頭の良い何でも屋。
「で?その男は?」
いつものように煙草を吹かしてえらそうにソファに横たわる。
「だからバテバリーキに呪われたゼン…」
さっき説明したじゃん!!
「それは聞いた。そうじゃなくてあんたの男なのかってこと。」
「違う!!」
何でそうなるの!
「そこまで否定することないだろ?俺はお前が好きだ。」
え?ちょっと!!何普通に言ってんの!?
「あら?じゃあ口説くのは無駄ね。」
「えっ?あの…。」
あたしの意見は無視?
っていうかトピシー姉様は、本当に男にしか興味ないの?
「まあ良いわ。本題に入るわよ。」
「鱗はね…」
姉様の言葉でその場にいる全員が固唾を飲む。
「あげちゃった。」
「なっ!!」
「だって必要ないし。」
確かにシュリス姉様もトピシー姉様もツタ姉様もヨルス姉様も、あたしの姉様達はみんな鱗を必要としないくらい力がある。
大切に鱗を肌身離さず持ってたのはあたしだけ。
効果も何もないけど、持ってれば優しい気持ちになれて安心できた。
「でもあれは…」
「分かってるわ。」
うわ、面倒くさそう。
「今はどこにある?」
「カフレイ山奥に住む一人暮らしのおばあちゃんよ。依頼されてね。あげちゃった。」
「カフレイ山って…」
確か…。
「飛ばそうか?」
え?
「頼む。」
「でもあそこ急斜面だから帰りは気を付けてね。」
やっぱり。
「大丈夫だ。」
えぇっ絶対無理!!
「じゃあ飛ばすわよ。」
あたし移動魔法使えないんだってば!