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竜の少年  作者: 津田花
6/16

六、あぁもう!!訳分かんない!

「お前のその反応が見たかった。」

 

低くて男らしいドキドキするくらい綺麗な声。

笑顔には少年の面影が残る。

あたしより年上の人。

 

「服が使い物にはならないわね。」

 

姉様の言うとおり、破れてあちこち裂けてる。

机で下半身が見えないのが救いだわ…。

 

「しょうがないわね。」

 

シュリス姉様が目を閉じると一瞬にしてゼンが服をまとった。

 

「あたしの男友達の古い服。あげるわ。」

 

姉様は良い年して男女共にたくさん友達が居るのに独身。

こんなに綺麗なのに結婚できないのはなぜだろう?

っていうか、勝手にあげていいの?

似合うけど。

白いシャツに黒い綿のパンツという楽な格好なのに、なぜか気品が漂う。

そしてその髪と瞳の青。

 

「ゼン?…だよね?」

 

「ああ。」

 

「一体いくつなの?」

 

「二十一歳。」

 

ヨルス姉様と同じ!?

 

「なんで?」

 

いきなり…

 

「シーナ、ゼンはね…一、バテバリーギに変化で竜にされた」

 

自慢げに人さし指を突き立てる姉様。

 

「二、竜にとって能力である鱗を奪われた。」

 

今度は中指も。

 

「三、石にされたのよ?」

 

薬指もたててにこやかに笑う。

 

「知ってるよ。それで石のまま五百年眠ってた。」

 

それくらい昔教わった。

 

「そうね。じゃあ、竜が最も得意とする人間の擬態は?」

 

え?何だっけ?確か学校で習ったはず…

 

「あ、"少年"。」

 

「そう。今までは竜だった。そして今の鱗はゼンの肉体という能力だった。肉体を取り戻して呪いが解けたのね。」

 

呪いが?じゃああたしは…!

 

「いや、解けてない。姿は取り戻したが呪いはかけた本人しか消せない。」

 

「まだ呪いがあるの?」

 

解放されたと思ったのに。

 

「鱗だ。呪いが解ければ一気に俺の元へ集結する。それにまだこの状態じゃ、竜の体と人間の肉体を一つの魂でつなぎ止めていることになる。」

 

えっと…難しくてよく分かんない。

バテバリーギめ、余計なことを!!

 

「呪いを解く方法はあるわ。バテバリーギはまだ生きているもの。」

 

「姉様!!」

 

まさかイユのことを?

 

「アコンス家は代々一人をバテバリーギに捧げるの。魂の器として。」

 

「姉様!!」

 

「今はそれが末娘のイユ。シーナの双子の妹。」

 

「だめ!」

 

「でもまだバテバリーギは覚醒前よ。直接話してみると良いわ。」

 

あたしの反応を無視して淡々と語り続ける姉様。

 

「バテバリーギ…」

 

またあの目…

 

「やめて!イユを傷つけないで!!」

 

お願いだからこれ以上は!!

 

「ごめんなさいね。シーナはイユの事となると…」

 

「…ごめん。」

 

いつの間にか涙まで落としてしまっていた。

ゼンはそんな人じゃないって分かってる。

 

「ゼン、とりあえず鱗をある程度集めてからにしなさい。覚醒前のイユはかなりやっかいよ。」

 

「わかった。」

 

イユはあたしの双子の妹。

10歳でバテバリーギの器になった。

 

「とりあえず今日はうちで休みなさい。明日トピシーの家まで飛ばしてあげる。」

 

移動魔法も使えない落ちこぼれのあたしのせいで、奴に選ばれてしまった。



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