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竜の少年  作者: 津田花
2/16

ニ、もうあたしの運命どうなってんの!?

ばかでかい家。

中にはあたしのいた部屋に、姉様や妹のいた部屋。

父様の仕事部屋に母様の占い部屋。

メイドさんの部屋に使ってない部屋。

慌ただしく行き交う人々。

ここにいたのがすごく前の事みたい。

その懐かしの本家、父様の仕事部屋であたしは衝撃の事実を知る。

 

「この少年が伝説の人間?あの昔話のですか?」

 

どう見ても人間には見えない。

透き通る青い髪に同じ瞳。

色素の薄い肌。

それに人間はもっと醜いと教えられた。

本人は話の内容をつかめずきょとんとしてるし。

 

「そうだ。バテバリーギ様と戦い、石にされた元人間の竜、君だゼン。」

 

何で名前知ってるの?

そんな有名な話だったっけ?

 

「でも五百年も前の話でしょ?」

 

今更そんな…。

 

「古き話だが事実だ。」

 

「俺は五百年も眠っていたのか…。」

 

暗い横顔…。

五百年も眠ってしまうなんてどんな気持ちだろう?

一晩で世界が変わる。

 

「ようやく封印が解けたのだ。ゼンと共に鱗を探せ。」

 

は?

何を突然?

 

「少年と共に旅をせよと?」

 

「そうだ。母様の占いに出た。バテバリーギ様も、そう望んでおられる。」

 

バテバリーギ…か。

 

「…でも、そもそもはバテバリーギ様と戦おうとした少年が悪いんです。断ります。」

 

なんであたしがこんな餓鬼と二人旅?

いくらかわいそうだからってそれとこれは話は別。

ちらっと隣を盗み見るとひざまづいていた。

なにしてんの?

 

僭越(せんえつ)ながら申し上げます。鱗は私にとって力の結晶。共に探して下さるというお気持ちは有り難いです。ですが、我が身の為に他人の手を借りるなど、もっての他。お断り願います。」

 

うわっ!!

こんな堅苦しい言葉、どこで覚えたのよ少年?

 

「そうか。ならば私も願おう。」

 

このおやじ、ゼンがひざまづいたりなんかするから調子に乗ってるよ。

 

「我らアコンス家はバテバリーギ様の血に恥じぬよう、十六で一人立ちし、己を磨くのだが、我が娘は自分の住む場すら守ることが出来ないようだ。旅で鍛えてやってくれ。」

 

「しかし…」

 

行け少年!!

父様をやつけろ!!

 

「魔物一匹倒すだけでその様子ではこれから大変だ。せめて無傷で倒せるようになるまで娘を側に置いておけば良い。不必要と判断すれば捨ててかまわん。」

 

やっぱり父様は家の繁栄しか考えてない。

 

「ですが…」

 

「足手まといにはなるまい。なあシーナ?」

 

なによその言い方!

 

「当たり前です。魔物一匹など大したことはありません。」

 

本当は魔物と戦ったことないけど!

 

「それならばよい。」

 

…しまった!!

乗せられた…。

口のうまいおやじ!

 

「ゼン、我が家にある鱗を渡そうか。」

 

「はい。是非。」

 

そうやって物で釣る。

はぁ。

何でこんな餓鬼と。



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