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竜の少年  作者: 津田花
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十五、さようなら……。忘れない。

「さらばだ。」

 

あたしの口から放たれた言葉を最後にバテバリーギの気配が消えた。

 

「シーナちゃん。」

 

それを悟ってか安心した表情を見せるイユ。

いつの間にか、ゼンの周りには無数の鱗が集まっていた。

鱗はゼンに向かって貫く勢いで突き進み、溶けていった。

呪いの解けたゼンの髪は、茶色く染まって、ゼンの、人間の持つ本来の美しさを纏っている。

 

「シーナ。」

 

そんなことにはお構いなしであたしを呼ぶ声。

 

「ゼン。」

 

ゼンの腕に吸い込まれるように包まれて、これほど幸せなことは無いと感じた。

 

「シーナごめん。」

 

でもゼンは悲しみでいっぱいの表情だった。

 

「俺の、人間としての体は五百年も、保たなかったみたいだ。」

 

ゼンがかざした指が、薄く透けている。 


「どういう…こと?」

 

尋ねておいて、答えは聞きたく無かった。

何となく分かっていたから。

 

「今まで竜だったおかげで俺は生きてこれた。竜の呪いが解けた今、俺は…もうもたない。」

 

どんどん薄くなる影、かすれる声、苦しそうな笑顔。

 

「じゃあなシーナ。俺のことは……忘れろ。」

 

切ない瞳が近づく。

 

「ゼン!!」

 

唇を寄せた瞬間、ゼンの姿は消えた。

 

消えてしまった。

 

あたしに残ったのは、この気持ちと、ゼンが残した鱗だった。


 







あれから何年の時が過ぎただろう。

姉様達は相変わらずそれぞれ自由にしてるみたいだし、イユは家に戻って魔法の特訓に励んでいる。



あたしは、もう鱗を持ち歩かなくなった。



あのゼンの残した鱗は、慰霊碑の中に眠っている。

アコンス家の先祖であるバテバリーギの過ちを残すために、父様がたてた碑。

今日もあたしは花を供える。

いつかゼンに貰った花のように、あたしの気持ちと共に渡す。 

「忘れろ……なんて、最期の最期に嘘つかないでよね。」

 

あたしは絶対に忘れない。

 

また会えるその日まで。





























未熟で読みづらい文に最後までお付き合い下さって有り難うございました

 

余談ではありますが、私はこの話の中ではラークラがお気に入りです。

 

気が向いたらまた、遊びに来て下さい(*^ー^)ノ

有り難うございました。

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