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竜の少年  作者: 津田花
15/16

十四、えええぇぇっ…!?あたし?

イユ!!

…声が出ない。

イユ!

…何で?

 

「イユ…」

 

出た!!

 

「とこの女が言っているが?」

 

あたしの意志を無視して言葉が次々と出る。

 

「おまえがイユか。」

 

あたしの目がイユを捉えた。

 

「…シーナちゃん?」

 

「シーナ。」

 

「お前は…!!」

 

あたしのゼンを見る目が険しくなる。

"まさか…ゼンか?"

誰かの声!?

 

「イユよ、覚醒前の私が失礼した。」

 

目を見張るゼンに涙目のシーナ。

でもこの動きはあたしの意志じゃない。

もしかして…バテバリーギ!!

私が選ばれた?

なんで?

 

「あいつは私の若い頃の記憶しか持ち合わせていないからな。」

 

「何でシーナちゃんを選んだのよ!?…シーナちゃんが…シーナちゃんが…」

 

イユ…。

 

「仕方のないことだ。イユの体が、覚醒前の私と竜との戦いに耐えられなかったんだろう。」

 

そう。

もう二度と見たくない。

 

「バテバリーギ…貴様二度も…」

 

ゼンはあたしから顔を背ける。

 

「お前には本当に申し訳ないことをした。」

 

「それがシーナに取り付いて吐く言葉かっ!!」

 

あたしが今まで見たこともない顔で…あのときよりも怒りに満ちた顔で、あたしを見るゼン。

その瞳からは綺麗な涙がこぼれていた。

 

「ゼン。」

 

あたしの声が出た。

 

「なかなかやるなこの娘は。」

 

また違う言葉、勝手に笑う顔。

 

「貴様!!」

 

「私はお前を呪いから解き放とう。忌々しき過去の過ちを許せとは言わない。だが私はこの為だけに、子孫を犠牲にし、自らの精神力を削り、存在を保っていた。」

 

あたしの頬を伝う涙。

"悔やんでも悔やみきれなかった。どんな謝罪の言葉も足りない。"

バテバリーギ…。

 

「"今解き放とう。我が過ち、この魂と共に消し去らん!!"」



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