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竜の少年  作者: 津田花
14/16

十三、イユ!!

イユがいる。

目の前に。

合うのは八年ぶり。

イユがバテバリーギにとりつかれて以来隔離されて、合うことは許されなかった。

イユのことを忘れたことはないけど…

 

「人間か。」

 

声も髪も仕草も、すべてがバテバリーギのもの。

ストレートの長かった髪を乱雑に首の付け根で切り捨ててある。

目の前にいるのはイユじゃない。

 

「死ね!!」

 

綺麗に育ったイユは、そのシュリス姉様にも似た綺麗な顔を歪めて、繊細な指をかざしてゼンを倒す為に魔法を使う。

燃えたかる炎に降り注ぐ氷の刃。

 

「バテバリーギ!目を覚ませ!!」

 

ゼンはただそれをよけるだけ。

 

「イユ!!やめて!」

 

「無駄だ!!娘は私に支配されている!」

 

イユは見えるし聞こえるし感じることも出来る。

でもバテバリーギとしか話せない。

バテバリーギはなんだかすごく苦しそう。

 

「イユ!!」

 

あたしはどうすればいいの!?

 

「やめて!」

 

あたしと同じ黄金の瞳で、ゼンをにらむ。

 

「人間が…ゼンが何をしたって言うの?」

 

イユの体が動きを止めた。

 

「……ゼ、ン…?」

 

「イユ!?」

 

「シーナ、おまえ…光って…」

 

「え!何で?」

 

気がつけばあたしの指先から頭まで黄金の光を纏っていた。

無意識に魔法を使っていた。

 

「やめろ!!来るな!」

 

イユの瞳が光を失った。

反対にあたしの体は光を増す。

あたしは段々意識が薄れていく。

 

「イユ…。」

 

イユの瞳に明かりが灯った瞬間、あたしはこの八年聞いていなかった声を聞いた。

 

「シーナちゃん!!」



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