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DAY1-1

 変わらない日々、終わらない日常。


 6時30分に起床、朝食をとって、制服を着て、登校。

 おおよそ7時15分に最寄り駅に着き、15分程電車を待つ。

 2つ目の駅で電車を降りて、10分くらい歩けば学校があって、2階の1年3組のクラスに入ると40ほどある机に7、8の生徒。


 キーンコーンカーンコーン


 8時00分、いつもとは違うタイミングでチャイムが鳴る。

 無機質無機質な音に続いて無機質な声が流れる。

「1300万人の皆様、おはようございます。」

 教室のスピーカーからだけじゃなく、ケータイからも、ミュージックプレイヤーからも、テレビからも、一斉に同じ声が、同じ言葉が流れる。

「これから皆様には一年間殺し合いをしてもらいます。残り人数が100人になれば終了です。フィールドの範囲はT都、フィールドから24時間離れると失格です。それでは今からあなたの能力を設定します。」

 数秒の間ノイズのような不快音が流れる。

「あなたの能力は…」




 左からから2列目、前から3番目の机に座っていた少年が立ち上がって、近寄ってくる。

「君の能力は…何だった?」

 照明が付いていない、薄暗い教室で、少年の目は眼鏡越しにもはっきりとわかるほど輝いていた。

「僕はね…ハハッ、凄いよ、見て驚かないでくれよ、いや、絶対驚くと思うけど…」

 そう言うと少年は黒板に向かう。チョークを持つと黒板に何かを描き始める。描いてる途中で少年の首が宙に舞った。

 少年の身体が音を立てて倒れる。

 切り口から血が流れ、タイル張りの床を赤黒く染めていく。

「あと1299万9899人殺せばいいのよね?24秒で1人殺したからぁ…あと3億1199万7576秒…あ~、10年もかかっちゃう、26とかもうババアじゃん…」

 と、少女は言って泣き真似をしてみせる。

「まっ、」

 顔覆う指の隙間からくっきりとした二重の目を覗かせる。

 少女が左腕を振り下ろすと立て続けに3人の首が飛んだ。

「こうすればもっと早く終わるんだけどねー♪」

 少女の眼には可愛らしい口調とは裏腹に異常なものが宿っていた。




 8時00分、S駅

 通勤ラッシュの最中に流れた意味不明なアナウンスにより、駅構内では、いや、構内だけではなくT都全体でパニックが起きていた。

「さっきの…何?」

 ポカンとした顔でナギが尋ねる。

「さぁ…リクはどう思う?」

 カズキも戸惑ったよう表情を浮かべる。

「どうって…俺に言われても…」

 リクトも概要を飲み込めていないようだ。

「殺し合いとか能力って…絶対ヤバい宗教かなんかの…」

「キャーッ!」

 リクトが言いきる前に悲鳴がホームに響く。

 振り向くと腕が異常に発達した中太り中年男が女子高生の首を掴み、持ち上げている。

 半分白目を剥き悶え苦しむ少女の喉に過剰に発達した指が食い込むと、失禁してバタバタと宙を蹴っていた足も動かなくなった。

「ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!死゛ネ゛死゛ネ゛死゛ネ゛死゛ネ゛死゛ネ゛死゛ネ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛エ゛!」

 男が野獣のように叫ぶと指はより一層深く食い込み、ついに少女の首が潰れた。

 首から流れる赤い筋とスカートの奥から滴る透明な黄色い雫が灰色のコンクリート上で合わさって、何とも言えない狂気的な空気が流れる。

 あちこちで悲鳴が上がり、人が波のようにホームから流れ出る。

 カズキは恐怖の余り立ち尽くしていた。

「殺゛ス゛殺゛ス゛殺゛ス゛殺゛ス゛…」

 中年男がカズキに近寄る。

「先輩…もうやめましょうよ…ねえ…ダメですよ…」

「オ゛前゛ウ゛ル゛サ゛イ゛」

 止めようとした男は太い腕で払われて、壁に頭から打ちつけられた。

「殺゛ス゛殺ス゛…コ゛ロ゛コ゛ロ゛コ゛ロ゛コ゛ロ゛コ゛ロ゛ォ゛!」

 野獣のような鋭い眼孔が小刻みに震えるカズキに向けられる。

「あぁ…嫌だ…嫌だぁ…」

 カズキは尻餅をつき倒れた。

「ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛!」

 男が腕を思いっきり振り下ろす。

「カズキィ!」

 リクトがカズキの手を引っ張る。

 バレーボール程の大きさの拳は空を切り、コンクリートにヒビが入る。

「ハァァァッ!」

 ナギの回し蹴りが男の延髄を捉えると、男はバタリと倒れた。

「立てるか?」

 カズキは未だに目を見開いて怯えている。

「ここヤバいわよ、まだ何人もこんなのがいる…早くどっか逃げなきゃ!」

「ああ」

 そう言ってリクトはカズキを背負う。

 2人は出口まで全速力で走った。




 7時30分、総理官邸

「もうすぐだねー」

 少年は部屋中をほっつき歩いて時々こう呟く。

「ああ、もうすぐだ」

 部屋の一番奥、年期の入った重厚な椅子に腰を掛けている男も時々こう返す。

「そんな神妙な顔するなよー、まるで僕達が悪いことをしてるみたいじゃないか」

「悪いこと…か…」

 男の心境は複雑だ。

 本当にこの選択は正しかったのか?

 果たして奴の言ってることは本当なのか。

 だがそれ以上に心配なことがあった。

 家族の安否だ。

 妻と子供2人。

 どうか死んでくれ…

「本当に、予定通りにやってくれるんだな?」

「うん、開始直後にS駅に上位能力者10人だろ、それくらいはなんてことないよ」


 長い沈黙が流れる。

「もうすぐだねー」

「ああ」

 開始まであと5分。

 内閣総理大臣朝倉和仁にはこの5分でさえ苦痛な時間だった。

gdgdですね、はい…

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