双子と元凶と猫と私。
栗色の髪を指に絡ませ、くるくると弄んでいる姉さん。
んだよ、可愛い子アピールかよ!!
どうせ私は双子のくせに地味ですよ!
「あれぇ。この前の感じ悪い他人だぁ」
「なっ」
「・・・・・よく見たらカッコイイかも」
そりゃ攻略対象だからね。
とんだビッチ発言いただきました!
この出会いも無いよね。
イベントが狂ってんのかな・・
「虹花、行こうぜ。」
「あ、うん」
「ちょっと待ってよぉ!あのねぇ、天月くんたちが会いたいっていうのぉ」
天月?
・・・天月って、あの?
性悪アニオタ双子だ。
顔は天下一品だが、性格がものすごく悪い。
女を手玉に取って、遊ぶだけ遊んだら捨てる
そういう子だ。
「私なんかに会いたいわけないよっ!猫実くん、行こう」
「おう」
双子のルートは、どちらも遊びから始まる恋だったはず。
ただのオモチャとして遊んでいるだけだったのに、いつしか・・・
私は双子のルートがあまり好きではなかった。
けどま、いっか。
「だーめっ」
「なんで逃げるのー?」
嫌な汗が噴き出した。
この聞きなれた声優さんの声。
あぁ、どうしよう
捕まった。
猫実は右手首、私は左手首を掴まれ何もできない。
年下のくせに力が強く、猫実より小さいけど私より大きい。
双子は猫実には全く興味を示さず、私を値踏みするように凝視した。
会長と同じく嫌悪感しかわかないのは許してほしい。
どうせ「うわ、地味」とか「似てない!」とか思ってんでしょ。
当たり前。姉さんと私は二卵性ですから~!
「虹花を見てんじゃねぇ!」
「なに?先輩、この人の恋人?」
「違う」
「虹花、即答とかひどい!」
私も行動に出ることにしよう。
双子が私を凝視するのと同じく、私も双子を凝視した。
そして何となくだが分かったことがある。
猫実を掴んでいるのが琉絆空で、私を掴んでいるのが雅龍だという事。
琉絆空は、私を姉さんの妹として見る目をしているが、
雅龍は私を新しいオモチャになるかな?という目で見ている。
殴りたい。
物凄く殴りたい。
どうせ愛でも囁いたら、すぐに股開く女だと思われてるんでしょ?
私どれだけ尻軽なの。
正直ね、私イケメン好きじゃないし。
恋人にするならフツメンって人だから。
それに、姉さんがすでにオモチャなら私は要らんだろう。
「虹花ちゃん、この二人はねぇ、琉絆空くんと雅龍くんだよぉ」
「あ、そうなんだ!」
知ってます。
紹介とかいいです。まじで。
私の中の関わりたくないランキング二位と三位たせからね、君たち。
ちなみに関わりたい人ランキング一位は優羽くん。
「ふーん・・・へぇ・・・そう・・」
「なんか、姫蘭梨先輩の妹先輩、まじかる少女☆くるみのくるみちゃんに似てね!?」
知るかー!!
雅龍の方は思いっきり値踏みしてんのに、
弟はアニオタ発揮中かよ!
てかまじかる少女☆くるみってなんだよ!くるみって誰だよ!?
つか姫蘭梨先輩の妹先輩って呼び方長い!
しかも意味不明言語になってるし!
「俺をおいていくなぁ!」
「は?何?俺男に興味ないから。女だけだよ?俺が優しくすんの」
「うぜぇ!」
「うざい男は僕達の半径5mに入るの禁止って、法律で決まってるんだよ?」
どっちもどっちです。
つか法律って・・・
猫実も何も言い返せていないようだし。
ってこら姉さん。
口元をひくつかせない。
どうせ「あ、私取り合われてる!」って思ってるんでしょ
大きな間違いです。
「くるみ先輩がどんな人かもわかったし、帰ろ!姫蘭梨先輩っ」
「そうだね。行こう姫蘭梨ちゃん」
「うふふっ、わかったわぁ」
あー、むかつく。
そのにやけた顔!!
私ってばモテモテとか考えてんでしょ
くっそ・・・!
「大丈夫、虹花には俺がいるだろ」
「いらない」
「ひどっ!」