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オタク少年の想い人

「で、なに。アンタは私のなんなわけ?」

「信者?・・でもねぇな。うーん・・・ファン?初恋の人?」

「あーうん。もういいわ」


猫実霧生。

彼は謎が多い。

正直言って、まだすべてを信じられないしね。


「・・そう初恋!初恋の人!」

「は?」


こうやって、たまに突拍子の無いことを言う。

馬鹿か。

ゲームの中の人間に恋をするなんてそんな事・・・


「・・・お前オタクだったの?」

「失礼だな。否定はしない」


否定しろよ。

つかお前は乙女ゲームすんなよ。


「お前に特別だから教えてやるよ、俺と虹花ちゃんの出会い」


無性に腹が立つが、そこはおいておこう


----------------------------------


俺の初恋は虹花ちゃんだ。


前世を思い出したのは小学一年生の頃。

思い出した瞬間、また虹花ちゃんに夢中になった。


前世の俺がこのゲームを知ったのは、たしか中学二年生の時。

一つ下の(オタク)が、そのゲームをやっていた。

正直そのオタクにウンザリしていた。

その恐ろしい理由

それは、エンディング(特に会長)をクリアする度に狂喜乱舞し、

俺にその喜びを分かち合おうと強要する。

前世の俺の顔が霧生似だと分かった次の日には

俺のクローゼットの中に俺の服は無かった時は泣いた。

俺は猫実霧生の(コスプレ)を着るつもりは毛頭ないのに。

ひどい、あれはひどすぎた。


おまけに、ゲームの様なイケメンになれと俺に命じ

挙句の果てには甘々でベタベタで、キスシーンまであるエンディングを、

ソロ充の妹は非リアの兄に見せつけるのだ。

あまりのひどさに悔し泣きしたことを覚えている。

妹よ、兄をいじめて楽しかったか?


愛に恐怖を抱いた俺は、妹のゲームへと手を伸ばす。

もちろん好奇心でだ。

そして、そこで運命の出会いをした。


『もうっ!お姉ちゃん遅刻だよっ』


虹花ちゃんである。


女性プレイヤーに地味と言われる黒髪はドストライクだし

それをわざわざ耳の下で二つ結びにするのも可愛い。

霧生の事になると耳まで真っ赤にするとこはヤバイ。萌え死ぬ。

虹花ちゃんendでは、一度だけ「姫蘭梨ちゃん」と呼んでくれる。

前世の俺は、幻の鼻血を吹いた。


俺が虹花ちゃんに惚れた理由は、それだけじゃない。

その理由は、霧生ルートの中にある。


『お姉ちゃんも、猫実君が好きなんだね。

 そっか!うん、なんとなくわかってたよ

 お姉ちゃん本気なんだよね。

 私諦めるよ。

 あの人だって、お姉ちゃんが良いにきまってる。

 お姉ちゃん、頑張ってね』


そう言って、虹花ちゃんは部屋へ逃げて泣く。

そのスチルがまたいじらしい。


俺の予想では、霧生と虹花は両想いだったのだと思う。

霧生ルートに入ると、虹花は思いっきり霧生を避ける。

そのたびに、霧生は辛そうな、哀しそうな顔をするのだが、それは虹花ちゃんも同じだ。

一度だけ「虹花!」と名前を呼んで腕を掴むが、

虹花ちゃんは泣きながら拒否る。

落ち込んでいる霧生に、主人公が声をかけるのだ。

くっそ、主人公の位置を虹花ちゃんに譲れ。


「俺も虹花!って言って腕掴めるかな」

「それは無いから安心なさい」

「ひっど・・」

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