はじめに
皆様、「藤子F不二雄のコピペ」と呼ばれるコピペをご存知でしょうか。
え? 知らない? ええ、もうかれこれ五年くらい前に出回ったものですのでね、ご存じない方がいたとしても不思議じゃありません。
まずアウトラインから説明させていただきますと、2007年ころに突如としてインターネットの海に現れた千文字にも満たない文字群です。さらに、バージョンによってその名言の前には宮崎駿さんや冨野さんといった方々の発言を乗せられ、それに反駁するような形での「編集」がなされたものもありました。一時はウィキペディアにも載ったことのある有名な文章です。詳しくは、「藤子F不二雄 殻に閉じこもってる落ちこぼれ」でググってみてください。
それにしても、このコピペ、いいこと言っているように見えますよね。さすが藤子F先生、と思わず膝を叩いてしまいそうです。
でも、これがもし、藤子F先生の発言でないとしたら、どうでしょうか。
筆者は昔から藤子F先生のファンです。全集が出る前から藤子先生の作品をひたすら集めて読んでいました。
実は筆者、これが出回った当初は藤子先生のお言葉だと本気で思っていました。そして、自分の座右の銘にしていたのはここだけの内緒です。でも、そのうち、藤子先生の作品を知るごとに、「これは藤子先生のお言葉ではないんじゃないか?」という疑問に駆られ、今では確信に至っています。でも、あえてこのコピペが本人のものでないということを発表してなんになる? という疑問に駆られ、特に何もしていませんでした。
そんな筆者がこれを書こうと思ったきっかけは、2013年の5月頃にツイッターなどで回ってきた某ブログの記事でした。F先生のコピペを提示したうえで、論を進めていらっしゃったのですね。
他人様の書くブログの内容に一々突っ込むつもりはありません。でも、このコピペが出回って早五年あまり。その間、ずっとデマだデマだ怪しい、と言われ続けているにもかかわらず、こうして命脈を保っているというのもすごい話です。
このコピペの作者問題は、事実上の悪魔の証明に至っている(悪魔が存在しない証拠が提示できない以上、悪魔が存在しないとは言えない、というジレンマ。悪魔が存在しない証拠なんて見つけようがないですよね)のです。藤子F先生の全著作を調べたところで「もしかしたら講演で喋った内容をだれかが採録したんだ」とか言われかねないわけですし、最悪、「二人で喋っているときに藤子さんが……」なんて言われた日には、もはや追い掛けることなんて不可能です。
でも、このコピペは怪しい。というよりも、藤子F先生の人物像を歪めかねないテクストです。
そこで、藤子先生の死後の弟子を(勝手に)名乗る筆者が、このコピペについていろいろと迫ってみようかなあ、というのがこの短いエッセイの狙いとなっています。
もしよろしければ、お付き合いください。




