第8話 とある双子の再会
『"一夜"!!』
追い付かれる――
そう"一夜"が覚悟をした時、聞き覚えのある声が彼の名前を呼んだ。
その声を聞いて、"一夜"は弾かれたように振り返った。
そこにいたのは、行方不明のはずの兄、"千夜"だった――
***
「……何このドラマ展開」
「水を差すなこの馬鹿」
一応確認しておくけど、これってホラーアドベンチャーなんだよね? いや、面白いよ? 面白いけどさぁ……
「神隠しって何だっけ」
「……」
僕の呟きに、一夜は無言で返した。多分知るか、って思ってるんだろう。
ていうか、一夜何気にこれにはまってない? 水を差すな、なんて言われちゃったよ。
「ねぇ一夜、このゲーム、全く話が見えないんだけど。どうすればいい?」
「黙って続けろ」
僕は仕方がなく、一夜に言われた通りに画面に向き直った。
***
『"千夜"……? 無事だったのか……?』
"一夜"は、行方不明だったはずの兄"千夜"が、突然現れたことで混乱していた。そんな"一夜"を見て、当の"千夜"はきょとんとしている。
『よく分からないけど…僕は大丈夫だよ? このとおり、怪我もしてないし。それよりも"一夜"の方こそ大丈夫だった? ひどい汗だよ』
"千夜"はそう言って、心配そうに"一夜"を見た。そんな兄を見て、"一夜"は安心して脱力し、その場に座り込んだ。
『良かった……"千夜"が無事で……』
『心配かけてごめん……』
床に座り込んでしまった"一夜"に、"千夜"は申し訳なさそうに謝った。その表情はなぜか虚ろだった。
『なぁ、"千夜"……おまえは今までどこにいたんだ? 俺、ずっと捜して……』