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第3話 とある双子の考察(2)
「手紙の中の『姫宮くん』は、本当に俺か?」
一夜のその問いかけに、僕ははっとした。よく考えてみると、この手紙の中には『姫宮くん』、と名字でしか書かれていない。要するに、
「『Y』さんは一夜と想い人を間違え「んなわけあるか」……ですよね」
一夜に突っ込まれてしまった。なかなかレアな展開だ、とも言ってられない。これ以上ふざけたことを言ったら、本気で怒られてしまう。だめだ、自重しよう。
「冗談はさておき、姫宮なんて名字の男子は、多分僕たちだけだよね? 少なくとも一年は」
「……」
またしても一夜は黙ってしまった。だけれどそれは無言の肯定を意味している。それにしても、仮にその『姫宮くん』が一夜じゃなかったとすると、もしかして……?
「まさかと思うけど……それって、僕?」
僕は一夜が否定してくれることを半ば願いながらもそう聞いた。
「……」
一夜は無言で、お前以外誰がいるんだよ、と呆れたような目で訴えてきた。
……嘘だあ。