教師って案外楽しそうですね
コツコツコツ…。
校長先生のヒールの音が廊下に響き渡る。
私、高倉凛。たった今職員室に向かっています。
そしてついに…!
「ここが職員室よ。」
見上げると、【職員室】と綺麗な札がある。
さすが創立5年しか経ってないだけあるなぁ、扉とかも傷が数カ所だけだ。
「それじゃ入りましょうか。」
「あっ、はい。」
ガラララッ
「皆ーおはよう!今日から桜風中学校に赴任してきた高倉先生が来たわよ!」
うっわぁ、校長先生ハイテンションだなぁ。
そう思ったと同時に職員室のざわめきがさらにざわめく。
そのざわめきの中で一気に私に視線が集まる。
…きっと、この感じは一生忘れないだろう。
そう思いながら校長先生の後をついていくと、そこにはまだなにも物が置かれていない状態の綺麗な机があった。
「これが、これがらあなたが使う机よ。」
ここで作業とか色々してね。と、私は言われた。
何も物がない綺麗な状態の机。
これって一年生のときに勉強机を買ってもらったとき以来のトキメキだなぁ…。
そんな事を思ってたら職員会議が始まった。
確か毎朝一回あったな。
「皆!今日から始業式です。生徒たちも進級して気持ちが入れ替わる季節です。私たち教師たちも気持ちを入れ替えて新しいスクールライフを送りましょう!」
「「「はい。」」」
教師一同張り切った声が聞こえる。
このなんか無償に飛び上がりたくなりそうになるドキドキも私は一生忘れないだろう。
「ここで今日から赴任してきた高倉先生に自己紹介をしてもらいましょう!高倉先生お願いします。」
はぇぇぇ!?ここでですか!まだ心の準備してないのにぃー。
「あっ…えっ、えーっと、きょっ、今日から桜風中学校にぃぃ、赴任してきましたぁー、たっ、たた、高倉凛です!よろしくお願いします!!!」
って、噛みまくりだぁぁ!
うわぁぁ!もう、おしまいだぁぁ!
なんてこと思ってたけど周りは違うかった。
「よくがんばったね!」
「分からないことあったら言ってね。」
「てか、結構君可愛いね!」
「担当科目何?」
とか、色々な声が聞こえた。
その瞬間ホッとして肩の力が抜けた。
ふと中井校長を見ると、バッチグー☆と言ってGOODサインを出した。
…教師って、私が思ってた以上に楽しそうです。