第30話 -ほん-
「本当に、太陽みたいだね。風斗」
俺はそう答えると、グッと眉をひそめてこちらを見下ろす目に力を込める。
「ちゃかすな。」
「ふっ、茶化しているわけじゃないよ。
有難いよ。本当に。
でも、もう遅いんだよ。俺は、もう心が死んでいるんだと思う。
こんなにありがたい環境にいてもどこか寂しくて。
星のない夜空は、どこか寂寞としているだろ?その雰囲気と同じ気持ちなんだ。」
俺の言葉に風斗はため息をつき俺からどける。
そして静かにこっちを見るとゆっくりと口を開く。
「なぁ、せきばくってなんだ?」
「…ぶははははっ!」
真剣な顔で言う風斗に思わず吹き出してしまう。
「そんな笑うなよ!!お前と違って、国語嫌いなんだぞ!俺!」
ムキになって言い返す姿にまた笑いがこみ上げる。
「あぁ!!!もう面白くない!」
「ごめんごめん、ふふっ」
ふてくされる風斗に涙を拭きながら謝る俺。
「もうわかったと思うけど、俺は馬鹿だし、難しく考えるのは嫌いだから言うけど!
お前がお前が嫌いだろうが、俺に離れてほしかろうが、どうだっていい!!
俺は、お前とこんな世界で出会ったけど、友達だと思ってるし、嫌いになることも絶対にない!これは言い切れる!
だから、諦めていろんな奴に可愛がられとけ!」
よくもまぁ、簡単に言ってくれるよ。こいつは。
「ふっ、ん。そうしてみる。」
俺の言葉にわかりやすくご機嫌になる風斗。
海晴さんも優しく微笑んでくれていた。
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海晴さんから、綺星さんと桜夜さんが出掛けたことを聞いて
暇になった俺は、馬鹿広い屋敷を探索していた。
風斗は寝不足だからと俺の布団と自分の布団の上で大の字になって寝ている。
「本当に、でかい家だなー」
きょろきょろと見渡しながら歩く。
そして気付けば、迷子。
似たような廊下がつながる日本家屋の洗礼を受けた。
「うわーどこだここ。」
まるで人気のない場所に行きつき適当に扉を開ける。
「うわぁ。」
そこは多くの本で埋め尽くされている。
書庫のようだ。
学校の図書室くらいでしか本は見ることが出来なかったが、恐らく俺は本が好きだ。
読んだ本の内容はほとんど記憶しているし、国語の教科書の物語もすべて読んだ。
だけど、本と触れ合う機会があまりなかった。
そんな人間にとってこの場所は、とても興奮する場所だ。
一歩ずつ足を踏み入れると、埃と本の匂いがする。
ざっと見た感じでも、様々なジャンルの本がある。
「すげぇ」
「あなたも、本が好きだとは驚きました。」
「っ!?」
突然聞こえた声に驚き、思わず振り返る。
「驚かせてすみません。もう起きて平気なんです?」
立っていたのは、朔月さんだった。
「朔月さん…ごめん、今回迷惑かけて」
「まぁ、いいですよ?珍しい、ものが沢山見れたので楽しかったですし。」
笑う朔月さんは、まるで本の読み聞かせをしてくれるように
ぽつりぽつりと、話を始めた。




