第27話 -なみだ-
きっとこれは俺にとって都合のいい夢だ。
俺が、この世界を望み過ぎてこんな妄想みたいなことを言って貰えている。
頭の中ではそんな風にぐるぐる考えるのに、心はそれに追いつかない。
純粋に言われた言葉を受け取ってしまう。
「ははっ、そんなに泣かないでよぉ蒼空ぁ」
桜夜さんに言われて初めて自分が泣いていることに気付いた。
慌てて涙を拭う。
「というか、僕は寂しいよぉ蒼空。出会ってからここまで時間としては短いかもしれないけど、ある程度大きな存在になっていられてると思っていたけど、自分の命と天秤にかけたとき、負けちゃうくらいの存在だったなんて…。」
そう言われてそんなことはないと慌てて桜夜さんの方を見ると
ニヤニヤしながらこちらを見る姿があった。
「ふふっ、焦った?僕のこと甘く見た罰だよ。」
そう言いながら笑ってくれる桜夜さんにまた、涙が溢れる。
自分の意思に反して。
「えぇ、ちょっとー何で泣くのぉ」
少し困ったように笑いながら言う桜夜さんに俺は首を横に振る。
「ちがっ、俺、もう皆に笑いかけてもらえないと思って、いたからっ。
そのっ、嬉しくて、ごめん、なさいっ。」
必死に伝える俺の言葉に、皆優しく笑いかけてくれる。
「蒼空。」
綺星さんに呼ばれ、声の方を向く。
やっぱりこちらを見てくれている綺星さんがいる。
「蒼空が生きたいように生きればいい。
何か道を見つけて、ここから出たい時はいつでも出て、歩めばいいし。
戻ってきたくなったら、戻ってくればいい。
この世界は普通とは違うから、自らこちら側に来なければこっちから誘うことはしない。
ただ、一緒に時を過ごす仲間として、好きなだけここで過ごせばいい。
わかったな?」
静かに紡がれる言葉は、俺にとってあり得ないほどに大きくて、温かい。
これ以上何も望まないから、ずっと欲しかった言葉。
それをこの人は、この人たちはさも当たり前のようにくれた。
俺は黙ってうなずくしかできなかった。
「ただ、一つ問題があります。」
場が落ち着いたころ、朔月さんの落ち着いた声が響く。
その言葉に皆が耳を傾ける。
「澪たちのところは、組を持たない集まりでしたが
対立する組はきっとこれから蒼空をより大きな力を持って、探し出し欲しがってきます。
その場合、蒼空を危険な目に合わせたり、これまで以上に動きを制限したりする可能性が出て行きます。
蒼空には申し訳ないですが、現状蒼空にとって不満材料として募っていくでしょう。ただ、そこは蒼空自身んを守るため、組を守るため必要な事です。
その点は、今まで通り理解してもらえます?」
朔月さんが問いかけてくるから、大きく首を縦に振る。
「ふはっ、元気ですね。」
朔月さんは、笑いながらストッパーが壊れたように泣き続ける俺の涙を拭ってくれた。
お兄ちゃんがいたら、こんな感じかな。
なんて思いながら俺も、ふっ力が抜けたのを感じた。




