第24話 -となり-
俺は、人を殺したのだろうか。
周りの雑音が遠くに聞こえる。
俺が撃ったことで倒れた男にだけ意識が行く。
じっと見つめるその視線に、気付けば隣にいてくれた桜夜さんが気付く。
「どうしたぁ?」
何もなかったかのようにいつものように、首を傾げて聞く桜夜さん。
「あの人、死んだのかな。」
「んー?あぁ。」
興味なさそうにその男に近づく桜夜さん。
〈パンッパンッ〉
そのまま何のためらいもなく撃つ。
銃弾の威力によって微かに揺れ動くそれ。
「いつまで生きていたかは知らないけど、今、あいつは死んだよ。
だから、蒼空は誰も殺してないよ。
澪のことは一応連れて来た、うちの専属の医者が見てくれているから大丈夫だろうから安心して?
ねぇ、蒼空?」
桜夜さんが俺の名を呼ぶが特に返事はしない。
「蒼空が思い描いていた作戦通りにはいかなかったかな?」
「桜夜さんって、性格悪いよね。」
「んふふ、初めて言われたぁ」
「ふはっ、んー俺なんかが考えた作戦なんて、桜夜さんや朔月さんが考える作戦の足元にも及ばないよ。
結局、何一つも成功しないで終わるし、自分で誰かを撃つなんて考えもしていなかった。」
そう、あの瞬間は全く何も考えずに、気付けば人が倒れ、火薬の匂いがし、腕全体が痛くなっていた。
「お前、命拾いしましたね。」
振り向くと朔月さんと海晴さんの姿があった。
「桜夜さん!ある程度終わりました!残りは下の奴らに任せます!」
「おっけー、海晴お疲れ様ー
で?今の発言はどういうこと?朔月?」
そう、わざとらしく詰め寄る桜夜さんに朔月さんは小さくため息をつく。
「ここに来る前だって、綺星さんも桜夜さんも全く意見変えないから、すごい空気でしたし。
結論、蒼空に危害を加えた奴と俺達に迷惑かかる結果にした奴は迷いなく撃て。
もし、蒼空がそいつらについて行くようなら殺せ、蒼空が死んでいたら
やった奴殺して、死んだ蒼空が気に食わないから殺せ。
なんて意味の分からない作戦でしたもんね。」
なんて物騒な作戦なんだよ。
「とりあえず、蒼空?」
朔月さんの説明は一切無視をしこちらに話を振る桜夜さん。
「はい?」
「いろいろ言いたいことも聞きたいこともあるし、澪のことも何にも片付いていないけど、とりあえずおかえり。」
桜夜さんの声が優しくふってくる。
それに続くように、海晴さんも朔月さんも「おかえり」と言ってくれる。
こんなに迷惑をかけても、返事をしていいのか迷ってしまう。
その様子を察してか桜夜さんがもう一度「おかえり」と呟いてくれた。
「た、だいま。」
そう返すと、皆微かに笑ってくれた。
その笑顔の奥から、綺星さんの姿が見える
俺は、生きるのが申し訳なくなるくらいここで温かい時間を貰った。




