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空を飼い慣らす星の鎖ーステラドックスー  作者: Liar.


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第2話 -あめ-

空には星が瞬き、道を照らす月明かりが俺の影を作り出しているというのに

地上には冷たい雨が降り出していた。


公園から施設まではそれ程離れてはいないが、

俺はその道を多くの時間をかけて歩く。


最後の曲がり角が見えてくる。

そこを曲がればまた、あの牢獄へと戻る。


吐き気を覚えながら、その曲がり角を曲がろうとした時。

目の前に人が現れ、避け切れずにぶつかった。


〈ドンっ〉


「っ!!」

「痛っ」


俺の荷物とぶつかった人の荷物が濡れたアスファルトへと散らばった。


「っすみません。…では。」


ぶつかったのはガタイの良い男性で、その人は散らばった自分の荷物を乱雑に拾い

さっさと走り去ってしまった。


アスファルトには俺の荷物が鞄から散乱しており、俺はため息をつきながら拾った。


「ん?なんだこれ、俺のじゃないな。」


粗方拾い終わると、見慣れないUSBメモリと手帳が落ちている。


「えー。なにこれ、さっきの人のだよな。

なんか急いでるっぽかったし追いかけても無駄だよな…。

遅くなり過ぎてまた、殴られるのも嫌だしとりあえず持って帰って明日考えよう。」


USBと手帳を適当に鞄に押し入れ牢獄へと帰った。


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次の日、俺は自分の鞄に入れた落とし物の事なんかすっかり忘れそのまま学校へと来ていた。

来たところで、特に友達はいないし先生たちも俺のことは腫物扱い。


居心地の悪い俺は立ち入り禁止を無視してよく屋上へとやってくる。

夜の雨が嘘のようにすっかり晴れ渡った秋の空は、昨日の星空の倍は鬱陶しい。


「腹減ったなぁ。」


考えてみれば、昨日のバイト前に賄いを食べた切り何も食べていない。

今日は先生の機嫌が悪く、朝は逃げるように出て来たから朝ご飯を用意できなかった。

次の給料日までまだ半月もあるが、財布の中はほとんど入っていない。


「帰ったら先生機嫌治ってるといいな。」


残りの授業を受ける気力をなくした俺はそんな事を呟きながら、下駄箱へと向かった。

午後の授業が始まっている学校の廊下は、誰もいなく所々の教室から人の気配を微かに

感じるくらいだ。


これだけの人間が、大人がいるこの場所で俺を助けてくれる人は誰もいない。


これから先のことを考えるだけで、真っ直ぐ歩いていられなくなる。

視界が歪み恐怖が訪れる。

だから俺は、未来の事を無視する。

もう、いいんだ。


最後は、こんな所から消えれば良いだけの話だ。


ぼーっとしながらもいつの間にか、校門を出て施設とは逆の方向へと歩き出す。

当てはないが帰るわけにも行かない。


「なぁ。」


俯きがちに歩いていた俺は、突然かけられた声に思わず顔を上げた。


すると目の前には、あまりにも冷たい目をした男性がこちらを見下ろしていた。


「あ、えっと。すみません。前を見ていなくて…。」


俺が邪魔したんだと思い、謝り道の端へと避けた。


「…少し、お前と話がしたいんだ。」

「……え?」


そう言われまた、顔を上げた。

よく見ると、とても整った顔をしている。


それと同時に、ふと鞄に入った昨日の落とし物を思い出した。


そしてその人は、乗ってくれと言ってすぐそばに停まっていた車の後部座席のドアを開けた。

明らかに従うべき状況ではないのはわかっているが、もうどうでもよかった。


俺は、導かれるように開かれたドアへと歩みを進めた。


先ほどまで晴れていた空はまた泣き出したように、アスファルトを濡らし始めた。


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