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空を飼い慣らす星の鎖ーステラドックスー  作者: Liar.


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第16話 -えがお-

太陽の光に照らされて走る外は、様々な感情をリセットしてくれるような

清々しい気持ちになれた。


俺は、風斗ふうとに手を引かれて兄貴さんがいるという車庫へと走りながらそんなことを

思っていた。


「あ!あそこあそこ!車いっぱい止まってるところ見えただろ?

多分あそこに、兄貴居るんだ!」

「ちょ、っと待って、風斗ふうとっ。」


俺は、引かれる手を引き留めた。


「ん?どうした??体調悪い?」

「いや、違くて。その、初めての人に会うのは緊張するから…その、」

「ええ?!そんなこと?大丈夫大丈夫!!俺いるから」


そう言ってまた手を引かれて、歩みを進める。

…いや、そういうことじゃないんだけどな


俺は意を決して、車庫の中へと入った。


「あーにきー!!おーい!」

「んあー??なんだーでかい声出して」


風斗ふうとの呼びかけに、車の影からひょこりと顔を出す男性。


「俺の、友達連れて来た!来週から学校では友達兼護衛対象の蒼空そら

んで、俺の兄貴の海晴かいせいさん!」

「ああ!綺星あやせさんが拾って来たっていう奴か!

よろしくな!蒼空そら!」


まるで太陽みたいに笑うその人は俺の前に手を差し出してくれた。


「えっと、初めまして。蒼空そらです。」


おずおずとその手を握り返す俺に、海晴かいせいさんはまた更に笑ってくれた。


「ねぇ、風斗ふうと。今、友達って…。俺、さっき会ったばかりなのにもう友達なの?」


素朴な疑問を風斗ふうとに投げかける。


その問いに、風斗ふうと海晴かいせいさんも、きょとんとした表情をしている。

多分、この人たちは俺とは全く違うタイプの人たちなのだろう。


別に、嫌いとかではなく今までの人生を送っていたら出会えなかった人たちだろうな

と直感的に感じた。


「わかりますよ、その気持ち」


ふいに同意の言葉が聞こえ振り返ると、1人の男性が立っていた。


朔月さつきさん!」


風斗ふうとにそう呼ばれたその人は、俺のことを見て会釈をするので

俺も慌てて頭を下げた。


「初めまして、蒼空そらくん。《《黒崎組》》、綺星あやせさんの部下に当たります。

朔月さつきといいます。慣れない場だとは思いますが、どうぞよろしくお願いします。」

「あ、えっと。蒼空そらです。こちらこそ、よろしくお願いします。」


丁寧にあいさつを済ませると、海晴かいせいさんが朔月さつきさんに近づく。


「お前さぁ!かたっ苦しいんだよ、同じ組にいる身なんだもっと楽に行こうぜ?」

「はぁー、近付くな。汗臭い。

人類皆友達みたいな考えのお前らと一緒にされたらたまったもんじゃない。」


露骨に嫌そうな顔をする朔月さつきさん。

そして、さっきの挨拶の時より砕けた物言いになっている、


「えー?でもだって、少し話して嫌な奴じゃなかったら、基本友達じゃないすか!」


2人の脇で、ニコニコでそんなことを言っている風斗ふうと


この人たちは本当に、そういう星の元に生まれているんだろうな。


「よくもまぁ、そんな主人公みたいなこと言えますね。

ねぇ?そう思いません?」


うんざりしながらこちらを見る、朔月さつきさん。


「まぁ、確かに。そもそも、そんなに他人と関わっててよく疲れないなと思う。」

「同感です。」


そう言いながら、朔月さつきさんはこちらを見ながら笑った。


「こいつと俺は、同い年でここ来たのもほとんど同じ時期なんだよ!

だから、仲良しっていうわけ!」


微笑む朔月さつきさんの肩に手を回し、教えてくれる海晴かいせいさん。


「仲良しになった記憶はないよ、残念だったね。」


そんな事を言い合いながら、笑い合う2人とその様子を見て楽しそうに笑う風斗ふうと


その様子を見ながら俺は、無意識に笑っていた。

ここに来るずっと前から笑った記憶が無い。


なのに、こんな、普通に笑えている。

そんなことに気付いた俺は、思わず空を見上げるが、そこにはあまりにも美しく広がる

澄んだ青だけだった。

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