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空を飼い慣らす星の鎖ーステラドックスー  作者: Liar.


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第11話 -うみ-

暗闇から出口を見るとあまりの明るさに一瞬何も見えなくなる。

いつも暗闇に身を潜めていたからそんな感覚は、初めてに近くて目の奥がじりじりと

痛み、思わず目を閉じた。


目を開けると、すでにトンネルから抜け広がっていたのはどこまでも続く海が見える道だった。

きらきらと海面は揺れ、太陽が反射し、模様のように水面に浮かんでいる。


「え、海…?俺、初めて見た。」


俺の反応に、桜夜おうやさんは「そっかぁ」と呟くと海へと繋がる道に進んでくれた。

車が停まると桜夜おうやさんが降りたから、慌ててその後を追った。


「昨日いきなり全てが変わって、疲れているだろうから今日は休ませようかと思ったんだけどさ、天気も良かったし連れてきたくてぇ」


海の方へ歩みを進めていくと、波の音が大きくなっていく。

風には海の香りがまぎれ、まとわりつくような湿っぽさがある。


足元は、サラサラの砂で覆われていて歩きにくいし、こけそうになるところを桜夜おうやさんに支えてもらった。


「ありがとう。っ、こんなに歩きにくいんだね。」

「そうだねぇ、靴に砂入るし最悪だよねぇ」

「え、じゃあ何でここ連れて来てくれたの。桜夜おうやさん海好きなのかと思った。」

「海っていうかここからの景色が好きでねぇ、景色見たさにたまに来てたよ。」


波が打ち寄せるぎりぎりまで来た。


「僕も、蒼空そらと同じくらいの時に組に来たんだぁ。」


桜夜おうやさんが、一つずつ言葉を紡ぎ始める。


「俺は、父親も母親も別の場所に愛する人を作っている人たちでさぁ

離婚してからどっちも俺のことを引き取らないって言いだしたんだよね。


本当は、妹もいて、妹と一緒に施設送りにされそうになったんだけどそれが嫌で、《《黒崎組》》の下っ端の奴に喧嘩吹っ掛けてさぁ。


裏社会の人に顔が知れればどうにかして一人で生きていけると思ったからね。

でも、本当に殺されるなって思えるくらいには返り討ちにされてさ

そこからどうにか逃げている時にさ、同じく《《黒崎組》》に喧嘩吹っ掛けた綺星あやせ

出会った。


その後は色々どうにかなって、今ここにいる。

妹は、施設に入って色々あって死んだんだけど、まぁ、ここはつまらない話だからいいかな。」


海に声が吸収されながら桜夜おうやさんが話してくれた。


「…なんで、教えてくれたの?」

「んー、まぁ、蒼空そらのことはこっちで勝手に調べてるし、それじゃあ不平等かなと思ってね。僕も、今じゃまったく気にしていないから、話してもつまらないかなと思ったけど

こんな奴等が生きている場所だよ。《《黒崎組》》は。」


空から降ってくる光に、眩しそうに目を細める桜夜おうやさんの表情は、なんだか懐かしいものを見つめるように優しく、温かい表情をしていた。


まるで、海の上を揺れる光のようでどこか安心感を覚えていた。

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