第1話 -そら-
人って1人で生きていける?
『1人で生きている人間なんていない。
誰しもが知らず知らずのうちに支え合いながら生きている。』
なんて言う人間がいる。
なら、本当に誰もいない人は?
誰に支えてもらえばいい。
親も、友達も、頼れる大人も。
誰もいない。
高校2年の17歳。男。
クソみたいな施設で暮らしている俺はどうにか施設の金で高校には通えているが
来年には卒業となる。
その年には、施設も出て行かなければいけないし今しているバイトのバイト代は
施設にほとんど持って行かれていて貯める事も出来ていない。
どうせ持って行かれた金は、施設長の酒代として消えている。
おかげで、廊下にはいつもの酒の匂いが染みついている。
「あの、先生…明日はバイトが夜勤なので帰りが遅くなります。」
「んあ?あぁ、わかった。
しっかり稼いで来いよ?お前みたいな奴に無駄金出して高校行かせてやってるんだから、恩返しは当たり前なんだ」
俺はここに来たのが中2の頃、里子に出しても連れて行くような人間はおらず
施設側からしたら面倒な奴なんだろう。
ここに来た時から、先生は俺を嫌っていた。
機嫌が悪いときは殴られ蹴られ。
何か話しかければ、お前はクズだ消えろだ。
17歳までの人生はとりあえずクソだ。
そしてきっとこれからもクソな人生となるだろう。
バイト先へと向かう道で見た曇天に俺はくそったれと呟き、
その声は当てもなく消えた。
。
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「疲れたー。」
バイトを終えた俺は、施設への帰り道を全身を引きずって歩いていた。
さっきまでは、曇天だった空も今はすっかり暗くなり雲は消え星が輝いていた。
「むかつくなー」
すっかり疲弊した俺はまた、当てもなく言葉を放つ。
9月の夜はなんとなく寒く冬へと進んでいる気配がする。
冬は嫌いだ。
夜は来るし、孤独が隣り合わせな気分になる。
夜勤を終えた今は、もう日付を超えている。
進む道が真っ暗だ。
この時間に変える時は、通り道をして繁華街を避けて帰る。
補導なんかされたら先生に何をされるかわからない。
「帰りたくないな…。でも、明日も学校だしな。
学校…課題終わってない。時間もないしな。腹減った。」
ブツブツと呟きながら脇道に逸れ人気のない公園へと出た。
ベンチに座りバイト先で買ってもらったお茶を飲みながら空を見上げる。
嫌味なほどに輝く星が鬱陶しい。
目を閉じても訪れるのは闇だけで、怖くなり目を開ける。
「帰るか。」
そう呟いて逃げ出したい足を無理矢理動かし、大嫌いな場所へと歩みを進めた。




