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受け×受け  作者: ピチャ
6/8

放課後の買い食い

 下校中、町田さんと帰りが一緒になった。

特に合わせたわけじゃなく、偶然というやつだ。方面が同じなので、会えばそのまま一緒にいることになる。

こんなことは良くあることだ。僕も何でもなく彼女を受け入れているし、彼女も何でもなく近づいてくる。誰かに見られて冷やかされると、逆に意識するのでやめてほしい。僕はこのままが居心地良いのだ。


 「今日は、コンビニに寄ってから帰ろうと思う」

「買い食いじゃん」

「学校ははっきり禁止しているわけじゃないからいいの」

「そういうもんかなあ」

良いですか、と聞いたらダメと返事が来るだろう。

だけれども、緊急事態でもダメですか、と聞いたら返事に困りそうだ。

これは、しれっと寄ってもお咎めなしだろう。

「なんでまた、今日は寄ろうと思ったの」

「アイスが食べたいから」

「適当だなあ」

「その気まぐれがいいんじゃん」

彼女はコンビニの看板を見つけて、指を差す。

少しだけ暗くなった景色に明かりがほわんと漏れている。

アイスには時期が早い。


 僕もついでだから飲み物を買った。

そばにある公園で一休みして行こうと提案し、「それがいいね」と返事をもらった。

どこかが寄付してくれたのか、名前の書いてあるベンチに腰掛ける。

ペットボトルの蓋を開けると、シュワっと炭酸の音がした。

町田さんは袋の中を漁っている。

アイス以外にも彼女はいろいろ買っていた。

「割れるアイス買ったから、半分あげるよ!」

「いや、いらないよ」

「もらってくれないと、半分こできるアイス買った意味がないよ」

半分にできるアイス、ちょっとかわいそう。

でもせっかく買ってくれたんだしな。

嫌いなわけでもないし、大人しくもらっておこう。

「ありがとう」

「どういたしまして!」

ソーダ味のアイスだ。

一口食べると、口の中でみるみる溶けてゆく。

寄り道して食べるアイスはいつもよりちょっとおいしい。町田さんもおいしそうに食べていて、なんだか微笑ましい。

彼女は楽しめることがたくさんあっていいな。

「おいしかった!友だちと食べるアイスは最高だね!」

「そうだね」

「じゃあ次は新作スイーツの賞味といきますか」

「まだ食べるの」

「勿論。たくさん買ったもん」

一人で食べるよりは二人で食べたほうがおいしい。そのために支払う数百円は安い。

でも、やっぱりアイスにはまだ早い季節だったな。

ちょっと冷えた身体がぶるっと震えた。


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