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プロローグ

説明回って物語と直接関係ないけど欠かせないから、どれだけ引っ張ってやれば良いのか分からないなこれ。

 ある夏の夜。明かりのついていない部屋の中、一台のスマートフォンが静かにバイブレーションを鳴らした。


 差出人:魔法捜査研究所

 宛先: 灯帖茜

 内容:明日6月10日の午後5時に、カフェdelizioso(場所は添付ファイルを参照)に行ってください。詳細はその時に追って連絡します。持ち物は特に必要ありません。





 ピピピピ、ピピピピ。

 朝6時30分。

 いつもの時間に携帯のアラームが鳴る。


 目を覚ました私は、手早く学校の制服に着替えて、カーテンをシャッと開けて朝日を浴びる。

 明るい太陽が雲一つない青空にキラキラ輝いていて、暖かい夏を感じさせるいい天気であることを感じさせる。

 すこしだけそのままぼけーっとしていると、部屋の外から大きな声が聞こえてきた。


(あかね)!朝ご飯できたよ!」


 今のはお母さんの声だ。

 すぐさま「はーい!」と返事をして、部屋からばたばたとでてリビングに行く。

 テーブルの上には、美味しそうな目玉焼きやソーセージなどがのった皿が、私と母と父の3人分所狭しと並べてある。

 私は早速「いただきます!」と言って、ご飯を食べ始めた。




 もくもくと食事の最中、テレビから流れるお天気お姉さんの明るい声が聞こえる。

 今日は6月10日だとか、天気は晴れだとか、気温は高いだとか、そういうことである。

 やはり特に気になるのは雨が降るかどうか。

 これを知らないと、今雨が降っていなくても、下校時に雨が突然ドサっと降ってきたら大変なことになるからね。


 っと、聞き流す所だった、

 テレビによると今日は6月10日。

 つまり、私の16歳の誕生日であるようだ。

 そしてこれは、ちょうど私がこの世界に転生してから16年が経ったことを示すことになる。


 そう、何を隠そう、私はどこにでもいる一般チート転生者だ。

 歳をとる節目ということもあり、なんだか懐かしくなった私はこの世界に転生する前後のことを思い返していた。




 私はいわゆるテンプレ転生者と呼ばれるものである。

 前世は他の人より少しだけ数学が好きだった普通の男子大学生で、日々たくさん数学の勉強をして、少しの合間に趣味であった携帯小説を読む。

 そんな日常を繰り返していたある日の大学の帰り道のことである。


 青になった横断歩道を歩いて渡っていると、突然横からトラックが減速もせずに突っ込んできて「俺」を跳ね飛ばしたのだ。

 もちろん「俺」は即死である。

 宙を舞っている間に少し続いた意識の中で、「こんな横断歩道を渡っているときに暴走トラックに轢き殺されるなんてテンプレなら、神様どうか最強チートモテモテ人生を次にください」と願ったらあら不思議。

 少しの意識の断絶の後に、いつのまにか訳もわからず泣いて叫んでいた自分という赤ん坊がいたのだった。


 この瞬間、あ、本当に転生したんだと直感した。


 その後、少しの日数を泣くことと寝ることで消費し、耳が音を拾うのに慣れてきた頃に気づいたのは、「あ、これ異世界転生じゃなくて現代転生だわ」ということである。

 聞こえてくる言葉は紛れもなく日本語で、しかもテレビがどうのパソコンがどうのと聞こえたからだ。

 もうこれは確実に現代転生したなという感じである。


 そう、異世界冒険者S級成り上がりルートはこの時点で潰えたのだ。

 しかし、まだギリギリ未来転生系ルートもあったのだが、今日は2001年のうんたらかんたらというテレビの音が聞こえてきて、未来ディストピア機械支配ルートもなかったことが確定した。


 さて、そんなこんなで異世界TUEEEEと未来YABEEEEが出来ない事が分かったのだが、そんなことよりももっと驚くべきことが自分の身に起こっていたのである。


 それは、自分の性別が男から女に変わっていたことだ。

 初めに気付いたときは「ハーレムルートがなくなってしまった…」とこの世の全てに絶望して何日も暗い雰囲気を纏っていたのだが、今ではその考えを払拭して、前向きにTS百合ルートを目指そうと画策している。


 さて、そんなこんなで日々を過ごしているうちに、じゃあそのルートに入るにはどうすれば良いのかを考えた結果、天才美少女になるしかないという結論に至った。

 なぜなら自分にはコミュ力がないし人を纏め上げる能力もないからだ。

 年齢イコールデートすらしたことない歴をなめてはいけないのである。

 つまり、自分から何もしなくとも、周りの人から話しかけられるような強個性を持つ必要がある。

 そのための手っ取り早い近道としては、やはり勉学しかありえない。

 学生がみな避けては通れない話題で常に先をひた走っていれば、自ずと人気がでるというものだろう。

 我ながら、天才的な発想であった。


 そんなこんなで幼い頃から勉強に明け暮れ、現在高校1年生の夏。

 全国学力テストで不動の1位を取り続けているのが今の私である。

 まさかそこまで頭が良くなれるとは思わなかったのだが、おそらく頭脳チートをもらえたのだろう。

 現代転生ではむしろ当たりの方な気さえしてくるので、今のうちに居るかもわからない転生神にお礼を言っておこう。ありがとう、頭脳チート!


 しかしどうやらモテモテチートは貰えなかったようで、どれだけ勉強できたとしても寄ってくるのは一握りの人達だけ。

 付き合うどころか友達と呼べる人すら少ない気もするが、前世よりは確実に多いのでとにかくヨシ!の精神で今を生きている。

 いや、やっぱつれーわ。


 そうそう、勉強ついでに知ったのだが、どうやら現代転生系とは言っても、前世とは違う現代に転生したようである。

 初めにそれに気付いたのは、私がまだ幼女であったときだ。

 その日たまたまテレビを見ていると、「みんな使える生活魔法3分スクール」なるテレビ番組がやっていたのだ。

 すわ、私の知らないアニメかと思ったがそうではなく、どうやらこの世界では魔法というのが一般的に使える技術として広まっているようで、何もない所から小さな炎がでたり、水を温めたり、少し開いた傷を治したりということが出来るらしい。

 私も初めて知った時は驚いて、そのテレビの真似をしたら本当に魔法が使えてさらにびっくりして、すごいすごいと言いながら家の中を走り回ったものである。


 そこで勉強の話に戻るのだが、どうやらこの世界の魔法は科学的に研究することができる対象であるらしい。

 正確にこの世界風に言えば、魔法科学と呼ばれる分野だ。

 前世での、いわゆる自然科学とか社会科学、形式科学と言ったものたちに加えて、今世では魔法科学という一大分野があるのだ。

 つまり、魔法という一つの技術体系があって、それらなら勉強をすることで誰でも使えるようになるのである。


 実際あのテレビで紹介されていた生活魔法は、学術的な分類としては簡易魔法と呼ばれていて、意味を理解せずとも手順さえ正しければ発動するというレベルの魔法であった。

 だからこそ、真似ただけで魔法を使えたのだろう。

 その分起きる現象は大したことではないというのが難点だが。


 ちなみに、しれっと生活魔法は簡易魔法に分類されるとは言ったが、実際のところどういう部分に着目すればうまく魔法を分類できるのかについては、未だに議論が分かれる所だったりする。

 魔法はその発動方法とその効果が多岐に渡るために、なかなかコレといった分け方がないらしい。

 やはりうまい分類というのは、どの分野でも難しいようだ。


 話がそれたが、とにかく、そういうわけでこの世界での魔法というのは、いわゆる包丁やライターといったものの認識と同じであり、使い方を間違わなければ便利な道具であるという程度の存在なのである。

 だから、魔法を勉強したいと言えば普通に親から気をつけてねと言われつつも教えてくれるし、家の本棚には魔法について書いてある本が無造作に置いてあるし、極め付けには学校の授業の内容として魔法学なるものがあるくらいには周りに魔法がありふれているのだ。

 

 ちなみに、魔法は使いすぎるといわゆる魔力切れという状態になり、軽い頭痛から始まって、腹痛、吐き気、鼻血といった順番で症状が出る。

 通常これらの症状は1日休めば復活するが、直ぐに治したい場合は「魔力タブレット」という魔力を貯めた薬を飲めば数分で回復したりするので、何かの要件で魔力を使い過ぎたからといって死んだりはしない。

 ところで、魔力タブレットは普通にCMで流れるくらいにメジャーな製品で、「マタブ」という名前で常備薬として販売されている。

 私はどうやら魔力チートもあるのか、これまでマタブにお世話になったことはない。

 今度、何の意味もないけど味を見るために飲んでみようと思っている。


 そんなこんなで、毎日普通の勉強と魔法の勉強(この世界の人からみれば、どちらも普通の勉強なのだが)をしていると、気付けば誕生日を迎え、高校1年生の16歳になっていたわけだ。

 ちなみに私の名前は灯帖茜(とうじょうあかね)。黒髪セミロング魔法使い系ピッチピチぷるぷるTS美少女JK1年茜様と覚えてくれればよい。




 そんな事を考えていると、用意された朝ご飯を全て食べ終えていたようだ。食器を片付けた後に、身支度をした後、充電していたスマホをもって、教科書などが入ったカバンを背負って、家を出た。




Tips

まほう【魔法】

1.魔力を用いて現実の事象を改変する技術のこと。

2.自然科学では説明できない事象のこと。


出典 黒猫国語辞典第六版

多分書くの遅いタイプだわ。

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