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食後の談話
食事が終わり、一服つくためお茶を入れた。お茶を飲んでいる間に雑談をして、少しでもこの家に慣れて欲しいからだ。
雫は小学生の間で今何が流行っているのかを、思い出そうとした。
雫は何も思いつかなかった。彼女はブックワーム、所謂本の虫である。流行りに疎い学生だったのだ。
積んだ本を崩したような頭の中で、彼女が思いついた質問は、学校生活のことを聞くことだった。
「そのー…あー…翔くん、学科生活楽しい?」
翔は突然話しかけられて驚いていたが、返事は早かった。「…うん、楽しいよ」
会話が終わってしまった。
とてつもなく気まずい空気になった。雫は会話が苦手である。また単純に2人きりで会話をすること自体が初めてだった。昔遊んでいた時には親がいたからだ。この空気をどう打開すればいいのか、雫は頭の中の辞書を読みまくっていた。