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俺にはヒロインが必要だ!  作者: たの字の人
9/9

俺にはヒロインが必要だ!

8-2 遊ぼうぜ!



「じゃあまず、近くのモールに行こう!」

近田くんが元気に声をあげる。


ゴールデンウィーク中、今回は土日を挟んでの五連休。今日はその初日だ。 バイトをしていない自分は今回五日間暇だが、次のゴールデンウィークの時はどうなっているのか。

まぁ今の所それはそれでこれはこれで、となるが。

今は思い切り楽しもう。



今回集まった人数は自分を含めて7人である。

メンバーは男子6人、女子1人である。

男子メンバーは、僕田嶋と、近田くん、渡辺って名前の人と、峯って人、それと柏木さんと、白田くんである。

唯一の女子は、今川ちゃん。最初見たときは、余り特徴のない地味な子だったが、定時制における自由な環境で一気にギャル風に大変身した子である。インパクトが強くてすぐに覚えてしまったのである。


女子が来るなんて思わなかったよ。しかも今川ちゃんだった。マジで意外だ。


続いて男子グループのちゃんとした整理と見た目だ。


まず、渡辺くん、体が大きい。ややぽっちゃりしていて目が細い。


峯くん、クラスの中で背が一番高く、眼鏡をかけている。あと皮肉屋だ。


白田くん。アニメオタクでバックはキャラストラップだらけ、オマケに学校でもいつも痛Tシャツである。あとルックスがイケメンである。


柏木くん。自分と雰囲気が似ている。無口だが、顔はいい。


全員なかなか個性的な面々である。

横に並んで歩くと絵になるだろう。ギャグマンガとかみたいに。

そんな個性的なメンバーで、余り乗らないバスに乗り、モールへ向かっていった。


さて、モールについた訳たが、ショッピングモールというのは大変なものである。

理由は簡単で団体行動に向いてないのだ。当たり前だと思う人もいるだろう。


モール内の専門店、それぞれ何処に行きたいかなんて人それぞれなのだから。

だが今回、そういうのがない。友達だから皆一緒に行動というのが、僕を除いた地元組の人達の特徴、というよりも中学校も同じ人だったために、なんとなくわかる、つるみやすいのだろう。


その地元組だが、近田、渡辺、峯、あの三人が勝手に名付けた地元組だが、互いに愚痴を言い合えるような友人が本当に羨ましかった。


自分もあんな風に友人や女子に声をかけられたらなぁといつも思う。



「やっぱうめぇよな〜ポテト〜」

「同じなんだから変わらねぇだろ」

近田くんが言ったあと、峯くんが呟いていた。

僕たちはモール内のレストラン街でハンバーガーとポテトをかじっていた。

時間は昼間、皆迷わず最初に飯を食べたいと思ったのか、最初何処に行くかで、満場一致でモール3階のレストラン街に行くこととなった。


久しぶりのポテトは美味しいものだった。

こういうご飯を食べる間というのは作法がでてくるもので、自分みたいに周りを自然と観察してしまうもの、携帯をだして検索しだすもの、好きな話題をペチャクチャ話す。

席を囲んでいるだけあって差がでる。見てるだけでも面白いものだ。

携帯をいじりだす柏木、メイクが落ちてないか小さい手鏡で確認する今川。アニメとツイッターのことを大声で言う渡辺と峯、白田。 もっきゅもっきゅとハンバーガーを頬張る近田。

個人個人何かを思いながら、腹を満たし、次の時間を過ごす。


大抵、モールで高校生が飯を食べた後行く所は大体あそこだ。レストラン街の隣にあることの多い、ゲームセンターである。


みんなそこへ行く。みんな大好きだ。自分もであるが。


「さて、なにやろうか?」

「普通、あれやろうぜというものじゃないか?」

近田と峯の二人が言った。彼等は腐れ縁のコンビみたいな受け答えを繰り返していた。


ゲームセンターで大人数で来たときみんなでやるのはレースゲームか、音楽ゲームのどちらかになる。

シューティングゲームのアーケードが減ってきて悲しい。


「あれはどうだ?」

「え~あれ〜どうしようかな〜」

ここには一人女子もいる。なんで女子はプリクラに行きたがるのか自分にはわからないが、唯一来ている女子の今川はそこそこ楽しそうだ。

つけ狙っていそうな人がいそうな雰囲気は全くないが、この先どうなるかを邪推しながら考えてながら辺りを見回すと存在感を放つそれがあった。


音楽ゲーム、しかもダンスゲームである。


意外とこれが好きなのだ。自分は踊るのは嫌いではない。好きである。

人前で踊るのは恥ずかしいと思うが、白熱してやっていると何も感じなくなる。


他の人を気にせずにダンスゲームの方に駆け寄り、硬貨をいれていた。


「ん?田嶋?」

自分がせっせと移動し、ゲームをやろうとしたのを近田くんが見ていたらしく、他の人もやって来た。

ぞろぞろ集まってくるが、気にせずに進める。


「楽曲を選択来て下さい!」

ゲームの女性キャラが可愛い声で言い、好きな曲を自分は選ぶ。

有名アイドルの楽曲である。ダンスが特徴的で男が人前で踊るのは結構恥ずかしいものだが、今の自分には羞恥はない。

さて、鈍ってないかな。ゆっくりと腕を伸ばし、ポーズをとる。



それからは爆笑の渦だった。自分が見かけによらず、アイドル楽曲の可愛いポーズをとる度に笑いが起こり、次の楽曲はそこそこ動きがカッコいいと話題のダンスを踊ること、計9曲。


その後も、レースゲームで峠を下るなり、ピアノ演奏と空間を切り裂くゲームを皆で交代交代やり、またダンスゲームで、躍りかたを知っている曲を交代交代で一緒にやるなりして、あっという間に時間が流れた。

気づけば午後5時ぐらいになっていた。


「イヤ〜マジで楽しかったよ。ありがと田嶋」

「ホント笑ったよ。ありがと田嶋」

メンバー全員が次々に、二ヤツキながら礼を言ってきた。

本当に快感だった。こんな気分を味わうのは久しぶりだった。


それと同時になにか大切な物を失った気もするけど・・・まぁ大丈夫だよな。


駅に戻るバス内で、連続で踊ったことによる疲れなのか、ウトウトしていると声がかかった。


「ねぇ、田嶋くん?」

声の主はギャルの今川ちゃんである。

「なんだい?」

「田嶋くん、今日なんとなくついてきたんだけどホント面白かったよ!マジでありがと!」

笑わせてくれたことに対してだと解釈し、少し恥ずかしくなったが、さして気にせずに声を出す。


「あっ・・ははは・・。ありがとう、まぁ誘ったのは自分じゃないけど、楽しんでくれたのは嬉しいよ」

そう言うと、彼女は可愛い笑顔を見せた後、前の席へ行き、スマホをいじり始めた。


彼女との受け答えで眠気は吹き飛び、前の席の方へ行った彼女の背中出はなく、窓の方を見ていた。


夕焼けに沈んでいく町中を見ながら思った。

楽しかったなぁ。久しぶりだよ、こういうの。またこんな風に遊びたいな。


明日も休み、次はどうしようかな。

今までになかったような気持ちを味わいながら、バスを降り、駅の改札を抜ける。

改札を抜けた後、音楽プレーヤーとイヤホンをだし、好きな曲をかける。


ちなみにだが、大切な何かを失った気がするとモールで思ったが、その大切なものというのはプライドとかではない。

金のほうだ。





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