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俺にはヒロインが必要だ!  作者: たの字の人
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俺にはヒロインが必要だ!

5章 変化


定時制高校での生活で、一週間が過ぎた。

一週間、一週間である。長いようで大変短くあっという間に過ぎるものである。そしてこの一週間で大きく自分と回りの生活は大きく変化した。


意外とこのような生活も良いものだと思ってきていた。まず、遅く寝ても起きても多少は大丈夫だと言うことだ。

もうひとつは、午前中はどうしても時間が空くが故に自由な事だ。

その為、定時制の生徒は大体バイトをすることになる。実際に学校の方もバイトを推奨している。一部の高校ではバイト禁止の所があるが、自分の高校はそういうものはなかった。

自分自身は今のところ夏休みぐらいまではバイトなどはしなくていいと、親から許可を貰った。

劇的に変わった環境故に許してくれたのだ。


自分の家族が仕事や学校へ行っている間、僕が家事をしっかりやることになったが、中学時代の頃から行っていた為、大きな問題は全くなかった。


やるべきことをやったら暇になるので、ゲームや小説で時間を潰す。この暇は最高の贅沢だった。

詰まっていたゲームをしこたまやり込み、積んでいた小説をじっくり読み込める今の状況は悪くない。


眠くなったら遅刻しないよう調整すれば昼過ぎも全然寝れる。おかげで学校の授業中は全く眠くはなかった。


そして自分の環境が変われば、他の人も変わる。そんなもんだろう。

実際に自分のクラスでも変化が大きくなってきた。

定時制は全日制と違い、学校指定の制服でなく、服装がある程度自由だ。実際に自分も普段と全く変わらないジーンズとチェックのシャツで登校している。


その変化というのが化粧だとか、ピアスだとか、髪型と色の変化である。

全日制だと変な髪型にしたり、キツイくらい明るい色に髪を染めれば、無論学校側がやめろなど言ってくる。だが定時制にはそう言った規則は緩い為、次の日から髪型と色を大きくさせて来る人は珍しくない。

実際に自分のクラスでは最初からそういうのがいたから、いい例だと言える。


もうすでに、いつものようにと言うようになった登校。自転車で駅まで向かい、電車を乗り継いで、目的の終点まで向かう。残りは徒歩で向かい、最近覚えたスーパーへ向かい、さっさとコーヒー飲料と清涼飲料を買ってから学校へ向かう。

だが自分自身まだ学校へ向かう途中にすれ違う下校中の自校の生徒に対して、羞恥などの気持ちがあった為、前をまだ向けない。その時だけ下をうつむいたまま、顔を見られないように歩くのだった。変な目で見られてないか、内心、バカにされていないかで心配で仕方なかった。


学校へ到着し、さっさと教室へ向かう。時間は4時30分。いつもの時間となった。


図書室から拝借した本を読みながら時間まで待っていると、クラスの皆がゆっくりと集まってきた。

名前を覚えるのが苦手な自分だが、顔を覚えるのは得意なのである。もうすでに耳にピアスを着けた者もチラホラと増えてきた。髪を染め出す者もだ。(金髪ではなく茶髪であったが)


自分は髪を染めようだとかそういうことは一切思わない。理由らしい理由なんてなく、なんとなく嫌だから、それだけだ。

自分の顔がどうなっているかは良く分かっている。自分の顔に明るい髪の色は似合わない。

ピアスも嫌いだ。耳に穴を開けるというのが無性に怖くてたまらないから。

何であんなものを平気で出来るんだと思っていると閉まっていた後ろ側の教室の扉が勢い良く開き、可愛らしい甲高い声が響いた。




「やっほ〜おはようございま〜す」


声のした方見て、僕は絶句した。効果音が鳴っているのなら、某有名ステルスアクションゲームの発見音が鳴っていただろう。


そこにいたのは信じられないぐらいイメチェンをした自分のクラスの女子だった。髪を綺麗な金髪に染めて、濃い化粧をして、肌面積の多い服を着てその子はやって来た。


自分のクラスは全員で20人。そのうち3人が女子である。

そのうち一人は最初に会った時からまさに今時のギャルみたいな出で立ちをした、土方って人。

もう一人は動物の毛皮みたいなもふもふした服を良く着ていた、石田って名前の人だ。

多分今、変身と言うほど劇的にイメチェンをしたのは今川という名前の人だった。

まだ全員の下の名前はちゃんと覚えられない。だけど3人しか女子がいなかった為、ある程度簡単に覚えることは出来た。


3人の中でも一番地味な子という印象が強かった。

最初の入学式の時もちゃんとしたスーツ姿だったうえ、クラスの中でも比較的に真面目に授業を受けていた為、ずっと真面目で個人的にいい印象を持っていた所でこれである。

なにが彼女を心変わりさせたのか知らないが、劇的な変化に動揺を隠せなかった。

同じクラスの男子の大半が自分と同じ反応をした。

まだちゃんと喋ってはいないが前の席の男子が振り替えて僕を何度もチラチラ見ては今川の方を指差した。


「なぁ、えっと田嶋。あれって今川だよな。すげぇ大変身だな、あれ」

「うん。一体なんであんな一気にあんな風になるんだろう」

会話はあまり続かず、そのまま前の席の男子(名前はまだ覚えられない)は元の位置に戻った。

他の男子も、グレたのか?や大変身などの言葉を呟き始めた。


だがここは定時制。髪を染めても変に何か言われたりしないし、女子の化粧が濃くても、いちいち文句を言われたりはしない。

実際に一年、二年上の先輩の中にもそういう人は実際にいた。


担任の先生もやっぱり慣れているのか、大きく変化した今川のことを何回か見たが、いつもの様子でホームルームを始めた。


僕は軽いショックを受けながら、今日の授業に身を投じていくのだった。


何が理由で、人を変化されるのだろう?

気になってしょうがなかった。






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