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チュートリアル:世界観説明

タイトルがタイトルだけどちゃんと本編です。

プロットが脳内のみなのでちょっと遅れた。

森に囲まれていた湖を抜けると山々が並ぶ壮観な景色が立ち並んでいた。

景色を楽しむ俺に反して、二人は見慣れた景色を気にせず歩く。森を抜けてすぐの坂を下ると慣らされた道に入った。


「タツキ様! こっちですこっち!」


カメルはとても楽しげだった。

選別者と言う存在に会えてとても嬉しいらしい。

一方クメラは半ば諦めがついたようで態度がやや柔和になった。

ふと気になってカメル達に選別者が彼女ら異世界の現地人にとってどう言った存在なのかについて聴いてみた。


「選別者様は主神戦争での神様の代行だってバロス様がいってました」


「……神様は不老不死で不死身の存在。でも神様同士は例外。神様が殺し合って大勢が死んだら世界は終わる。だから代理で選別者に戦ってもらう。そう言ってました」


……神様の代行か。代理戦争の名の通り彼女ら現地人にとって選別者は本当の意味で神の代理なのか。

だが今の発言、なんか妙だ。


「なんだか、二人の口振りだとバロスって神様が直接二人に会って話をしてたみたいだな」


「そうですよ?」


「え?」


「選別者様はこの世界のことについて本当に何も聴いてないんですか?」


「……お恥ずかしながら」


直接呆れ気味のクメラの視線が痛い。ちょっと、俺神様の代行なんだよね? 神様(代理)に対する態度ですかそれ?

選別者のこと怖がるのは分かるけど流石に傷付くよ?


……コホン。

そう言えば、この世界がどう言った世界なのかを聴いていなかった。突然神々の代理戦争に駆り出され、ルール説明だのを中途半端にしか聴かず来てしまったせいでろくにこの世界の世界観を理解していない。

溜め息を吐きながらクメラは説明をしだす。


「この世界は始祖神ミブラ様によって作られ、以降様々な神様が生まれ、この世界を存続させ、人類を守り、導いておられます。神々は世界のあらゆるものを司っておられ、世界中にその権能を轟かせています」


「バロス様は水をつかさどっているんですよ!」


「この世界では神様は身近な存在です。実体を持ち、それぞれの定めた居場所で我々を見守っておられます。……この主神戦争以外は」


「ほう?」


この代理戦争、いや主神戦争では神は姿を消す、と言うことか。


「と言っても、全員と言う訳ではありません。定員が100名と限られていて、主神戦争に参加しない神様は変わらず地上に居られます」


「キシャ様……えっと、バロス様の奥さまは村に残ってますよ!」


参加していない神様も居るのか。しかもこれから向かう村で会えるのか。

なら一層楽しみだな。本物の神様。

……オクノメ? はて、あれは夢だし。胡散臭いし。ノーカウントです。


「へぇ。じゃあ、参加してる神様はその間どこに居るんだ?」


「天界、だそうです」


「天界か……」


と聴くとつい上を向いてしまう。

空に浮いている島か何かあるかもしれない。そんな感じに。

天界と聴くと別次元の異世界か空に浮かぶ島だろう。

後者だったら、と考えてしまう。

まぁそんな都合よくはないのだが。


「天界ってお月様のことらしいですよ」


「いやあるんかい!」


「きゃあ!?」


「あはは、タツキ様おもしろいうごきしてる~!」


思わずズッコケた。

クメラは驚きカメルは爆笑。


「もう、何なんですか!」


「悪い。ある意味予想外だった」


「……異界の人は変です」


ハハハ、異世界人が変なのは当たり前じゃないか、常識が違うもの。


「まぁ、なるほど。この世界は今も神様が支配してるわけだ」


「言い方……。でも間違ってはいません。支配と言うより共存と言った感じですが」


共存ね。死ねば世界が滅ぶって表現をして共存とはどういう事かしら。いや神にとっては滅亡なんだろうな。

そこを人間が支えていると考えれば確かに共存なのだろう。


「そして選別者様ですが、……説明要ります?」


ジト目である。普通は本人が知っておくべきものなんだろうが神様の講義をブッチした俺が知っているわけもない。

ここは見栄を張って要らないと言うべきだろうか?

いや、後で後悔はしたくない。聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥だ。


「お願いします。お姉さま」


「あなたのお姉さんじゃありません!」


「タツキ様はお兄ちゃんなの?」


「カメル、今のは冗談だから気にしないの!」


クメラは溜め息を吐いて話を続ける。苦労をおかけしますお姉さま。

ところで、ここまで話聞いた限りだとクメラはしっかり者だ。大人びていて会話も子供には難しい言葉をさらりと使い、言葉遣いもいい。テンションが高いカメルを見守りつつ俺との距離感もそろそろ掴んできているようだ。とても十歳前後とは思えず感心する。すごいな。お姉ちゃん。

閑話休題。


「……選別者とは先ほど言った通り神様の代行です。主神戦争のために異界から召喚される100人の戦士である、とバロス様は仰ってました。それぞれ特別な力を持ち、最後の一人になると担当する神が主神となられます。その時点で主神戦争は終了し、神様も天界から戻ってこられるそうです」


ふむふむ、ここは何となく既知の内容だ。


「選別者様はあくまで異界の住人。異界の人は神様ですら手綱を引けない危険な者も居ると聴いています」


「……ヒトツメマサムネとか?」


確か先ほどクメラが危険な選別者の例として挙げていた名前だ。

名前を聴いた瞬間クメラはビクリと震える。

しっかり者の印象だが童話や伝承で怯えるのは純粋な子供の反応だから正直かわいい。


「そ、そうです。ヒトツメマサムネは前回バロス様の代行だったらしいのですが、見るも無残に人々を切り殺し一国を滅ぼした悪鬼だと聞いてます。最終的に他の選別者達に討伐依頼を出し、無事討伐されたそうですが」


「討伐依頼……、指名手配か」


そう言えばオクノメが「現地人の大量殺人は禁止」と言う内容のルールを語っていた。つまり破ればペナルティを負うと言うこと。

そのペナルティが指名手配、つまり他の選別者から狙われる事なのだろう。

と言うかバロス様、前回伊達政宗を呼んで今回はテセウスを呼んだのか。引き強いな。


「タツキ様は、そんなことしませんよね?」


「……し、しませんよね?」


「しませんよ」


それにしてもヒトツメマサムネ……伊達政宗が一国を滅ぼした、か。

にわかには信じられない話だ。戦国時代を生きた独眼竜と名高き武将伊達政宗。

戦乱の時代で多くの武士を斬り倒した男だ。必要なら簡単に人を殺すだろう。

しかし、一国を「下した」、「取った」ではなく「滅ぼした」である。ルールに障ったのなら文字通り民を殺し回ったのだろうか? 伊達政宗が。

少なくとも国取り合戦をしていた武将に使っていい表現ではない。


「そう言えば、タツキ様は誰の代行なんですか? 肩の紋様を見る限りバロス様ではなさそうですが」


「ん、ああ、俺の担当はオクノメって神様だよ」


「え、オクノメ様ですか……?」


「『森』の神様ですね!」


首をかしげるクメラにカメルが割り込む。


「『森』? ……なるほどな。だからこんな模様なのか」


俺は肩の痣を見て納得する。木のような模様が三本描かれているが、まさか本当に森を表していたとは。


「……でもオクノメ様って、確か……?」


クメラは何か引っ掛かるのかうんうんと唸る。

そんな彼女に気を引かれたが、カメルが手を引きはしゃぎ出した。


「タツキ様! そろそろカラム村ですよ!」


「お、あれが……ん?」


歩いて数刻、そこは山々に囲まれた盆地の田舎村だった。

急な坂や曲がりくねった道が目立ち、傾斜も気にせず建てられた木造建築の建物は田舎の祖父の家を思い出す。

だがふとその事に違和感を持ち、気付く。


「和風建築……だと?」


驚いたのはそこだ。

俺が記憶している日本の古い木造建築、それに酷似していた。

しかしこの世界の家を見るのは初めてだし、ここが日本と似た風習や土地なだけなのかもしれない。

だがカメルとクメラの二人はどちらかと言うと西洋的な洋服を着ていて、少々困惑してきた。


「……深く考えるのはやめよう」


そもそも違う世界だ。いちいち気にしていたらきりがない。うん。


「タツキ様?」


「ああ、いや、建物の作りに見覚えがあってな」


「ここは木材が豊富に取れます。山や木々に囲まれてますから。それにキシャ様は『植物』の女神。木材や植物の活用などの知識を豊富にお持ちです。タツキ様が代理をなさっているオクノメ様の姉君に当たります」


へぇ、姉君。アイツ姉弟居たのか。


「お~い! カメル! クメラ!」


村に近づくと、姉妹を呼ぶ声が響く。

声のする方向を見ると、なにやらタキシード姿の男が走りよってくる。いやよく見ると胸が膨らんでおり、細くしなやかな体型から女性だと分かる。線が細く端整な顔立ちで華があり、さしずめ男装の麗人と言ったところだ。


「あ、キシャ様!」


カメルが先ほど話に出た女神の名前を呼ぶ。

どうやら彼女が『植物』の女神キシャらしい。

女神と言うには服装が現代的でイメージからややかけ離れているが、言われて見ればどこか神々しく感じる気がしなくもない。

そう言えば弟くんも燕尾服でしたね。納得です。


「ただいま帰りました!」


クメラもキシャの元へ行く。


「ああ、お帰り。また無断で湖まで遊びに行ったのか?」


「う、ごめんなさい……」


キシャはしゃがんで優しく抱擁すると(ほが)らかに笑いかけた。


「フフ、まあいい。ちゃんと戻ってきたからな。でも、遊びに行ったにしては随分と早かっ……たな?」


彼女は抱きつく二人から視線を上げると俺と眼が合った。


「えっと、こんにちは……浅野龍生って言います」


キシャ神は笑顔をひきつらせ、溜め息を吐いた。


「まったくこの子たちは……」

龍生君はただ単に子供の世話とかを積極的に行う子供好きであってロリコンだのペドフィリアだのではない。進路相談で保育園の先生か小学校の教職を希望してる。

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