表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/105

54グナイゼナウ子爵、人間をクビになる

さて、今日にでも一番末の娘、アーニャを抱こう。鬼畜…グナイゼナウ子爵は今日、自身の娘を暴行するつもりだった。そして、長い間、彼の性のはけ口として使われた上の娘ミラを処分…殺害しようとしていた。しかし、


「あなた、お父様がいらっしゃいました。お支度をして下さい」


何故か硬い表情の妻。


「何? 義父上が? 突然どうしたのだ? そうか! この領地を繁栄させている事をねぎらってくれるのか!!」


彼は本気で自身の領地経営が上手くいっていると信じていた。しかし実は最悪だ。配下の役人は腐敗し、賄賂を当然のように要求し、私利を肥やす。子爵が無能な事をいい事に、レポートの数値を都合のよいように改ざんする。無論、素人でも見抜けそうなものだが…


「義父上! 突然どうされたのですか? これはやはり、日ごろの領地経営をねぎらって頂けるのですな!」


「何を言っておる! 貴様の目は節穴か! 今、どれだけ領民が苦しんでおるか! それだけではない! リーゼロッテから聞いた。貴様! 自身の娘に何をした!」


「い、いや、わ、私はあの三人に絵本を読み聞かせたり、その、親子の愛情を深めておりました!」


彼が深めようとしていたのは、地獄に堕とされても仕方がない絆。


「上の子、ターニャを一体どこへやったのだ? 昨年訪問した時は留守と言っていたが…」


「い、いや、ターニャは嫁にやりました! あの子も年ごろです。当然でしょう!」


「祖父の私に挨拶もなくか?」


「…い、いや、それは…」


子爵は焦っていた。悪事がバレたか? 彼は婿養子だった。子爵より位が低い男爵の次男坊、その位置は家庭内では低い。義理の父に真実がバレたら、一体どうなるのか?


「全てはリーゼロッテから聞いた。この子も悩んだのだろう…。だが、人として許される事ではないであろう?」


「な、何を言っておられる! わ、私には何の事だか、さっぱり! ターニャを黙って嫁にやったのは、申し訳ございませんでした。以後気をつけます。ご容赦を!」


義理の父はため息をつくと、


「ターニャは死んだ。お前は彼女をアレの元に送ったのだろう? 調べはついている」


「ア、アレ…一体何を! わ、私には何の事だかわかりません」


「これが何だかわかるか?」


義父は薄汚れた一冊の本のようなモノを懐から取り出した。


「ほ、本?」


「……日記だ。ターニャのな……こんなにボロボロなってしまって……たくさんのターニャの涙を吸ったのだろう……私はこれを読んで涙が止まらなかった」


グナイゼナウ子爵は焦った。このままでは本当の事がバレてしまう!


「お前は実の娘のターニャを慰みものに…、いや彼女だけでない。他の二人もだろう?」


「めっそうもございません! そのような事は断じて! 誤解なのです!」


おろおろと狼狽える子爵。しかし、


「…お前のした事はミラに話してもらおう。ミラ、出ておいで」


「ミ、ミラ! 頼む! 私の無実を証明してくれ! 頼む!」


そんな訳がないだろう。自身のした事がわからないのか?


「…ミラ、辛いだろうが、言っておくれ。お前はこの男に乱暴されていたのか?」


ミラは辛そうな顔で、血の気は引いていたが、何かを決心したかのような表情になった。


「ミ、ミラは毎日のようにお父様に犯されていました…。ミラには隷属の奴隷の魔法がかかっています。逆らえば、激しい痛みと…更に逆らえば…し、死んでしまうとぉ……」


ミラは腕を前に突き出した。腕には隷属の魔法の証、魔法陣が描かれていた。


そして、ミラはすすり泣き始めてしまった。惨めな自分が悲しくなったのだろう…


ミラの証言を聞くと、祖父は大きく目を見開き、歳からは信じられない程の大声で言った。


「お前の血は何色だ!! お前は人間などではない! お前は! お前は人間をクビだ!」


「ええっ!?」


人間をクビってなんだ? と、突っ込まないで欲しい。


「そ、それは一体どういう事で?」


子爵が恐る恐る、義父の真意を確かめる。


「お前の実家、男爵家とも話はついておる。お前はアレの元へ送る」


「や、止めてくれ! そんな無茶な! それでは私が死んでしまうではないですか!」


子爵は自身が子を殺害した事を失念しているのだろうか? 子の命は軽く、自身の命は重いとでも?


「お前に最後のチャンスをやろう」


「い、一体? どんなチャンスを頂けるのですか?」


普通、こういう時、チャンスである筈もないが、疑う事も無く嬉色を見せる子爵。シンプルに馬鹿である。


「ミラにお前の処遇を決めてもらおう。お前が本当に全うな親子の絆を育んでいるならば、ミラはお前を助けるだろう。だが、そうでない場合は……」


子爵は顔色が真っ青になる。流石にここにきて、マジで自身の身がヤバい事を実感した。


「ミラ、お前が頷けば、この男を殺人鬼の元へ送る。姉のターニャを殺したアレの処だ。アレは貴族社会の闇だ。貴族社会で問題を起こしたものの多くがアレの元に送られる。さあ、どうする? この男の命はミラ! お前の手の内だ!」


「や、止めろぉ~! 止めてくれ!! そんな馬鹿な! 私がそんな扱いを受けていい筈がない! 私は高貴な身分なのだ! そうだ! こんな事は国王陛下が許す筈が!」


「陛下の許可はとってある。我が家の恥…外部に晒す訳にはいかん。陛下の許可はとった。さあ、ミラ、頷いたら、この男を地獄へ送ってやろう。ミラはこの男を許せるのか? 許せないなら、ただ、頷いてくれ。本当に済まない。私が気がつかなかったばかりに…」


ミラの双眸に決意の火がともる。長い間、凌辱され、惨めに扱われてきた彼女の答えは当然。


ミラはゆっくりと頷いた。


「さあ、この男を連れていけ! アレに切り刻ませろ!!」


「ひゃ、ひゃあああああああああああ! ゆ、許して! 許してくれ!!!」


突然部屋に騎士が乱入してくる。子爵の家の騎士ではない。祖父の私兵だろう。彼らは子爵に皮の袋を頭からかぶせて視覚を奪い、更に両手、両腕を縛りあげ、連れ去っていく。


「やめてくれぇえええええええええ!!」


子爵の声がこだまするが、誰も気にしない。


祖父は孫のミラをしっかり抱きしめて、こう言った。


「この老いぼれを許してくれ。私がしっかりしておれば…こんな事には…本当に済まない…」


ミラは20年生きて来て、初めて安堵と家族の愛というものを知った。

連載のモチベーションにつながるので、面白いと思って頂いたら、ブックマークや作品のページの下の方の☆の評価をいただけると嬉しいです。ぺこり (__)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「ちょっと面白かった!」 「島風の新作を読んでみたい!」 「次は何を書くの?」 と思って頂いたら、島風の最新作を是非お願いします。リンクがありますよ~☆ 読んで頂けると本当にうれしいです。 何卒よろしくお願いいたします。ぺこり (__)
支援職、最強になる~パーティを追放された俺、微妙なハズレスキルと異世界図書館を組み合わせたらえらいことになった。は? 今更戻って来い? 何言ってんだこいつ?~
― 新着の感想 ―
[一言] 結局、このクズゴミは最悪の害虫でしたね。ただ殺すには生ぬるい! 殺した後はゾンビにして永遠にさ迷えばいいと思う。
[一言] くずはさっさと処分ですね。いいぞ、義父。娘がこんなのが夫だったかと思うと可哀想。父がしっかりしてるようなので、娘も大丈夫でしょうし。このくずはごまかすのはうまかったんでしょうね。今回みたいに…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ