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擬態は弱さを隠すだけじゃない

「成る程…やるじゃない」


「……それだけ…?」


「いやめっちゃくちゃかっこよすぎて言葉に悩んでる、うちの娘すっげえな……」


 冗談抜きで殲滅力高すぎない?タイマンならグラさんのが上だろうけど数百のコウモリを言葉だけで…?


 えー、どうしよう…どう褒めよう……


「……何で?」


「……何でだろう…」


 思わずそっと抱き締めてしまった、相変わらず撫で心地のいい髪だな、ワシャっとこ。


「ねえ……髪ぐしゃぐしゃにしないで…おい」


「はっ……ごめん丁度良く意識が遠くに」


「……タイミング…」


「しっかし本当に凄いね……なあミリア、アンタ何者なんだい?」


「……冒険者志望の…町娘」


「え、君3年間で職業更新しなかったの?」


「……とくに名乗りたいもの無かったから」


『汝との思い出だから戻るまで変えないと聞かなくてな、おかけで手に入るスキルも少なく修行に苦労した』


 いい子だぁ…


「ええ、儂も師としては鼻が高いです」


「……行くよ、早く……あとブレさんは姉……を名乗る不審者」


「なぬっ…!?」


「よし……まあ慎重に行こうか、相手があのタコ(・・・・)の親玉ってなら何かに擬態してる可能性が大いにあるからね」


「ええ、儂が初めて見た時は岩に擬態しておりましたね…父さん達が言っていた巨大タコがいる場所までは行きませんでしたが、恐らくサイズに応じて強化されていると思われます」


 んでも実際問題長老級って言われてもさ、あの洞窟(・・)の帰り道で天井に張り付いてた奴くらいなら別に私達だけでも勝てるだろうしあんまり心配はしてないんだよね。


『……一応言っておくが、あれは(・・・)長老級ではないぞ?ただ食事をよく食べたからぶくぶくと肥え太っただけだ』


 え、あれ親玉じゃなくてただのデブ?


『ああ……長老級などあの時の我等では分が悪いことこの上ない相手、あのような雑魚ではないわ』


 まあ…正直あの時はすっからかんだったし正面からは御免願いたかったよね。


「……うぉお…めっちゃコウモリ浮いてる…」


 かなりホラーな…衛生環境ヤバそう。


 あ、硝石とか取れるかな…何やかんやすれば火薬が錬成できた気がする。


 ……いや殴ったほうが強いか。


「お、陸地っぽくない?」


「良かった……儂が海に落ちた場合上がってこれる気がしなかったものですから」


 何で来たんだこいつ。


「ほらほら皆転ばないようにね、シャルヴが罹ってた病気どころじゃない事になるよ」


 コウモリの糞が堆積した場所で転んだら雑菌で死ぬって聞いたことある気がする、それ言ったやつそこで飛び跳ねながらコウモリ屠ってたけど。


 しかし実際問題破傷風とかの危険性があるんだったらあの薬(・・・)も節約しないとだよねえ…何とかして増やせないかな。


「……もっかい行くか…」


「ハリガネ…アンタ今度こそ死ぬんじゃないかい?」


「お、ついにモノローグを読む技術を得たね?」


「アンタの考えてることがだんだんツラでわかるようになってんだよ」


「えー、そんなに私の顔見つめてるのー?」


「違っ!変な事言うんじゃないよ気色悪い!」


 フォッフォッフォッ、可愛い奴め……ねえグラさん?


『ほう……他の女との会話を我に振るか貴様』


 え、だってツラの話になるならこの麗しきお顔はグラさんの物だよ?ま、私が出てるときは多少表情豊かかも知れないけどね、まったくこのイケメンはモテやがって……腹立つな。


『いや…はぁ……今日も汝の情緒が不安定で何よりだ』


 まあね。



「んで…お嬢ちゃん、タコは?」


「……ここらへんって皆言ってたけど…」


「それこそ隠れたかもね、高レベルの感知スキルにすら引っ掛からなかったんだからぱっと見わかんないのも無理はないさ」


 ……なんてな。


「『加速(アクセル)LV.10』!」


 砕けな!グラトニカパーンチ!!


 てめえが地面(・・)に擬態してることなんざお見通しなんだよ!!何故なら前に同じ事やったからね!


 何なら事前に報告済みだバーカバーカ!だって人語くらい理解してそうなんだもん長老級(お前ら)!!




「合わせな!『加速LV.3』『降魔舞踏LV5』!」


起きろ(・・・)大混夜叉(だいこんやくしゃ)……行きます、前座一刀『八方睨み』!!」


「……『剣撃(スラッシュ)LV.4』」


「おーし、畳みかけるよ!『無双腕・百』!」


 おお、効いてる効いてる……と言ってもまだゲソだけどね、片っ端から刈り取ってやるよ。


 おっと……やべ。


「……っ!退避!」


「シャルヴ!お嬢ちゃん!」


 近くの岩石ごと叩きつけて来やがった…デカくなった分パワフルだなやっぱり。


 ていうか……デカすぎじゃね?あのデブタコの倍はデカいよ?


「ハリガネさん……いいから一回降ろして」


「おっと失礼、巻き込まれない位置にいな、お嬢ちゃんは後衛でシャルヴはその護衛…いいね?」


「……うん」


「は、はい!」


「お前は不味すぎて食う気にもならないけど……立派な装備品にしてやるから大人しく…」


「父さん、悪役っぽすぎます……それから新鮮な内…それこそ生きたまま触腕に齧り付けば歯応えも相まってそれなりに…」


 おう、お前の方がよっぽど邪悪だよ。


「ハヌさん、潰されないようにね!ブレ子はできるだけ細かく斬って痛め付けてやれ!」


「あいよ!」


「お任せを!」


 おいおい……何だかとっても良い感じ(・・・・)じゃない。


「畳み掛けろ!」


 あ、いい事考えた…おっらぁ!


「目と目の間、だよね?」


 洞窟は尖った岩が多いから気を付けないと駄目だよなぁ!私みたいなのが圧し折って武器にしちゃうからさあ!


 うん…あの……コウモリの堆積物も含めてこの岩って考えるとあんま長く触ってたくないからもうトドメにしてやる!!


「くたばれや!!」


轟音、衝撃……やべ今ので洞窟崩れねえよな?




 てか……やった…?


「呆気無いねえ…ハリガネとグラトニカが桁違いなだけか?」


「流石父さ…何を今儂の服で拭いました?ねえ?父さん?」


「……私やることあんまり無かった」


「僕も……」


「まあまあ勝ったんだから……グラさん?」


『違う……違うぞ、コイツは(・・・・)…!!』


 


 ……え?


「っづぁらぁ!!」


 あっっぶねぇ!!?何だ今のどっか……


「…タコがいない、どこいった?」


「キャ…!地震かい!?こんな洞窟で…!?」


 ……違う…ただの地震じゃないよ…これ…


 洞窟の地面(・・)にくらい化けるなら……ありえなくは無かったか……くそ。


「全員舟に!私が食い止める!」


 洞窟その物(・・・・・)…私等が倒したのはゲソ(・・)の内の一本をタコっぽく見せてただけか……くっそ予想外に頭が良いな…


 これが…これが(・・・)長老級(エルダー)か…!!



「ふふ……上等(・・)!!」

Q.ハリガネさんが人間になったら性欲とか異性に対する感情は増すの?


A.んー、現状単為生殖できる存在だから人間になったとてその機能を戻すのかどうかよね。


Q.けむりんまだ?


A.貌無き者のことならまだだぜ


キャッチーなあだ名を付けるな、定着したら作中でその名前が出かねないぞ

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[一言] 情緒不安定やったぜ(?)
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