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トラストミー・マイラブ

「グラトニカ!!」


 おやハヌさん、手脚は大丈夫……そうでもねえな、結構真っ赤だし皮膚が剥けちまってる。


「馬鹿だなハヌさん……こんなボロボロにしちゃって、せっかく綺麗な腕してんだから無茶しちゃ駄目じゃない」


「アタシはアンタを心配してだな!?でも……無事で良かった…」


 おっぷす……抱き締められちゃった、へっへっへモテますなぁグラさん。


『こ、困る……いや危機感を持つべきか…?』


 持つな持つな、どうせこの国にいる間しか関わらないんだから仲良くしときなよ。


 しかし……粉々だね。


「やっぱりただの石…よりかは硬かったかね」


「アタシの蹴りで壊せなかったんだから何らかの強化はあっただろうな……何だったんだこの石像」


「ヴァジュラって名乗ってたよ、それからまた会おう(・・・・・)とも……ま、多分本体は別にいるんでしょ」


「……そうだそれで思い出した、アンタ…暴食王って」


「そうだった勢いでバラしたんだった……うん、そう…元だけど暴食王です」


「アタシこの国から出ないからあまり詳しくはないんだが……人だったか?」


「いや本当は大きなムカデだよ、わけあって人っぽくはなったけどね」


「ムカデ……そうだったのか」


「………ハリガネさんってのは?」


 お前結構ちゃんと私等の話聞いてたんじゃねえか……


「……あだ名だよ」


「アタシには教えられない事か?」


「聞かないほうがいい、あんまり良い秘密とも言えないからね」


「教えてくれ、アタシの事だって話したんだ…全部知った上でアンタを信じたい」


『……教えてやれ、困ることでは無かろう』


 ……面倒くさい事にならなきゃいいけど。


「私は……厳密に言うなら暴食王グラトニカの身体を借りているだけの、寄生虫(・・・)だ」


「君の前でグラトニカだったことは一度もないよ、まあ…最初はグラトニカの真似をしてたけどね」


「……ごめんね、何か騙しちゃった感じだったかも?」


「……アタシを助けたのはアンタだろ?…なら関係ない」


「あら…信じるんだね?」


「こんなとこでそんな突拍子もない嘘付いても仕方ないだろ……それにアンタが何者でもアタシが助けられたことには変わらないんだからさ」


 強いなぁ…私だったらびっくりしすぎてしばらく混乱するけどね、下手すると信じないし。


「これからはハリガネって呼ぶから…いいだろ?」


「勿論構わないよ?でもグラトニカのが呼びやすくない?」


「それは別の奴なんだろ、だからこれからはそう呼ぶ…アタシのこともハヌって呼び捨てにしろよな」


「んー、まあいいか」


 ……良いかな?


『………好きにしろ』


 ……拗ねんなよ。


『……喧しい』


「さて、じゃあボスキャラっぽい石像も倒したことだし薬を……薬…ドロップ品じゃないのかな?」


「あそこの小屋、光ってないか?」


 おあ、ホンマや光ってる。


「……ここまでやってハット(あの野郎)の罠だったとかないよな…ありませんように」


 ……あ、普通にアイテムっぽい、随分凝った装飾の箱だな、それでいて別に豪華というわけでは……何となく質素ですらある。


「お洒落な小物入れじゃん、気に入ったかも……んで中身は普通の薬か」


 『拡張解析LV.10』


[バイシャジュヤグルの薬壷]


[高名な薬師バイシャジュヤグルの弟子の一人が師より受け継いだ薬壷]


[弟子の一人は最期まで己を育て上げた師を愛し、この薬壷を人に渡すことはできなかった]


[故に隠したのだ、己の眠る霊廟の底に]


[故に護らせたのだ、在りし日に師の元で共に育った友に]


[旅人よ、どうか忘れるな]


[旅人よ、どうか使い道を誤るな]


[旅人よ、どうか我が師の愛したこの世界を護りたいのならば、必ずや薬壷を正しく使え]




[バイシャジュヤグルの秘薬]


[ありとあらゆる病を退ける効能をもたらす丸薬]


[バイシャジュヤグルは晩年思い悩んでいた、何でも治す薬なぞ、作ってしまっていいのかと]


[それは全ての人間から奪う(・・)行為に他ならないのではないかと]


[しかし、作らずにはいられなかったのだ、奪わずにはいられなかったのだ]


[私もまた、知に取り憑かれた愚者であったのだ]


[弟子よ、私の可愛い夜叉達よ、これより私は永き眠りに入る]



 ……ちゃんと使うさ、間違わないように。


「よっし、お薬無事ゲットだね」


「お、おお!やったな!」


「いやー…これで娘達にしばかれなくて済む…」


「ハリガネ……アンタ身分が低いね…」


「父親の身分なんて家庭内じゃ下の下もいいとこさ…この前も正座させられたしね」


 父親の権威なぞ無い、そもそも食わせてもらってる身だった上に3年間放置してたわけだしまだブレ子が私を父と呼んでくれている事自体凄いと思うよね。


「……って、アンタが寄生虫ならあの二人は…誰の子だ?」


「そこら辺複雑なのよ……まあ帰り道でのんびり話してやろうじゃないか」


「さて……灯お願いします」


「……すまん、アタシさっきの攻撃でかなり消耗しちまって……ちょっと明かり弱い」


 わー、豆電球みたい、可愛いね!


 可愛いじゃねえよどう帰れというのだこれは。


「……仕方ない、覚えてる限り気合で帰れるとは思うから脚下照らすのをメインにしてて、私も今さっきボカボコにされたから然程力が入らないし…ゆっくり帰ろう」


「あー……そうも言ってられないかも…は、ハリガネ……」


 ……わ……よく見たら天井に張り付いてるのデッカイタコじゃん。


「……あれ行きで倒したタコの…親玉?」


「ああ……あの石像が倒した人の肉を食ってたんだろうな……だからこんな洞窟であんなサイズに…」


 ふーん。


 ふふん……よし。


「逃げるよハヌ!あいつ餌場を荒らしたと思って怒ってる!」


「わかってるよ!」




 あのタコ、ブレ子にチクってやるからな、食われるまでが寿命だと思えよ。

Q.主要キャラの好きな食べ物は?


A


グラトニカ、肉


ブレ子、宿の親父さんのスープ


ミリア、ミルク粥


ハヌ、果物


ハリガネさん、口が無いぜ

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