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秘密共有クラフティ

 途中から妙にガイコツが減ってタコばっかり出てくるようになったな。


「……アンタ手際が良くなってないか?」


「さっき目と目の間を強めに攻撃したら死ぬことを思い出したから楽々よ、使い捨てにはなるけどスケルトンの太ももの骨使えば手も汚れないしね」


「あの化けタコの腕力に対応してるのもおかしな話なんだけどな…」


 一人傍らに抱えたまま紙切れみたいにタコを放り投げて眉間を穿つ、5匹もやったらプロみたいな手捌きになってしまったよね。


 開業するか……たこ焼き屋。


「小麦粉とか卵はともかくマヨネーズがネックだよなぁ……」


「……何だそれ?」


「私の故郷の調味料だよ、卵と油や塩をよーく混ぜて……作れそうだな」


 鶏卵……代わりになるなら何だっていいけどドラゴンマヨネーズとか作ったら色んな方面から怒られそうよね。


「……アンタの故郷ってどういうとこなんだ?」


「んー、便利なスキルが無い代わりにテクノロジーが発展した国……かなぁ」


「まあ結局のところ発展した技術にあぐらをかいたような人間が増えたせいで半ば衰退してたけどね」


「……家族は?」


「……さあね、今は娘達が家族さ」


 そう、家族だ。


 考えてみれば私だって人の子だった……はずだから家族くらいいる、さっぱり思い出せないけど。


 お母さんやお父さん、兄弟もいたかもね……もっと最初の内は覚えてた気がしたんだけどなー……


『……汝…』


 気にすんねぃ、覚えてないから悲しみも何も無いさ。


『……我とて母親の顔など覚えておらぬ、父親なぞ見たこともない……だが今は…汝がいる』


 慰めてくれるのかい?優しいね。


「なあ……聞いたらまずいことだったか…?」


 おっと、変なタイミングで黙ってたらハヌさんが不安そうにしてしまった。


「いんや全然?それよりハヌさんは家族は?」


「……覚えてねえな、明確に親って言えるような奴は…」


「何だ私と同じじゃん、捨てられた感じかい?」


「……いや…何回か前の祭りで非人まで落ちかけた事があってな……その時多くを忘れた…」


 ……まあ薄っすら察してたけども。


「それってこれからどうにか取り戻す方法はあるの?」


「さあな……でも、祭りで勝つことに関係がある…気がする」


「気がする?」


 気がするで命賭けか……まあでも、ある日突然自分が何者かとか全部忘れて周囲はまともじゃないアル中だらけ……そんな気がする(・・・・・・・)にすがりたい気持ちにもなるわな。




「……歌と踊りが好きだった…宴も……それからそうだな……周りで人が笑ってる、そんな場所が俺の居場所だった……そう感じる」



 グラさぁん……どうしようこの人…ちょっと助けたくなってきたよ。


『……元よりそのつもりであろう…我は構わん』


 まあむしろ君が助けたいと思っているから私もそうなってるとも言えるんだろうけどさ。


「……頑張ろうか、薬であの子治して非人の人達纏めて、そんで蛇の仲間たちは祭りでボコボコにして…全部終わったら宴をしよう」


「私には何が悪で何が善かなんてわからないからさ……奴等からしたら私等こそ侵略者の大悪党かもしれない」


 実際やることほぼ海賊の所業だし。


「だからせめて私の気に入った人達が最後に笑っていられるようにするよ」


「それにうちの娘達も宴会は好きだからね、あとシャチも」


「……ハヌさん?」


 え、泣いてね…?


「……ごめん……散々一人だったから……」



 ……非人にはなりきれず、アル中とも相容れず…か。


「アンタ、良い奴だな……」


「今から俺が言うこと、黙って聞いてくれ……信じなくてもいいから」


 お?


「……俺はさ、昔多分神だったんだ」


「…………」




「……お前今頭おかしくなったと思ったろ」


「黙って聞いてんだからそこは掘り出さないでくれないかな!?」


 思ったけども。


「以前話してた神着ってやつ?あの時は詳しく聞かなかったけど……何なのそれ?」


「文字通りだよ、神が現世の人間の身体を借りて現れる……王様の目覚め方と同じだな」


「確かに……じゃあハヌさんはもしかしたらいつぞやの王様だったりしたのかもね?」


「かもな……」


「もし本当に王様だったら金銀財宝期待しちゃおっかな」


「…………俺が欲しいよ」


 なけなしの金だったんやろな……私等に貸してくれたやつ。


 しかし次に国を動く時は換金方法も考えないとまずいな、今度から通貨より価値のわかりやすい物とかで持ち歩くか。


「……それよりアンタ手疲れないか?そろそろ降りるよ」


「お、了解」


 まだまだ大丈夫だけど単純に危ないから降ろしとこう、さっき間違えてハヌさんを武器代わりに叩きつけそうになった。


「……重くなかったか?」


「はは、タコと力比べで勝つ私のパワーを甘く見ちゃいかんよ」


『そう言うことではなかろう……』


 ハリガネさん雌雄同体だから乙女心とかわからない。



 ……っと、お?


「何かあっち薄っすら明るくない?」


「……本当だ、ゴールかもな」


 結構長かったー…!ていうかここあれだろ、洞窟の上に霊廟のガワ置いただけだろ。


 霊廟名ばかりの海辺の洞窟じゃねえか、凝れよ、内装を。



「おい早く行こうぜ、少したりとも洞窟(ここ)にいたくねえんだよ」


「同意見だなぁ…さっさと薬盗んでトンズラこかせていただこう」


 はやる気持ちに足取りも軽くなっちゃうね…おお、広間になってんだ。


「わーお広……こんだけ下方向に空間あったら地盤沈下とか起きそうなものだけど何とかして耐えてんのかな?」


「さあな……あの建物じゃないか?」


 お誂え向きな感じの若干和風建築っぽい小屋があるね、まあお宝あるならあそこだろうよって感じ。


 ただその前に……何でこんなものがここにある…?


 筋骨隆々、手には変なフォークみたいな道具、硬く超重量を思わせる石の質感。





「……金剛力士像…?」

Q.この世界に可愛い哺乳類っている?


A.可愛いい生き物はいるが可愛いだけの生き物はいない。


Q.この世界で一番でかい生物って何?


A.何とも言い難いけどグラさんの家族くらいのサイズの生き物を常食するやつがいる。

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