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罰当たりパニッシュメント

「真っ暗だね…ハヌさんいなけりゃいよいよ大変だったなこれ」


「離れるなよ、いいか?」


 まあハリガネさんとて怖いけども……それはそうとて傍から見たら心霊スポットにデート感覚で来た人だなこれ、祟られそう。


 グラさん、無理のない範囲で拡張解析かけ続けてくれる?


『やってる、敵性存在は確認できない……どうやら本格的なダンジョンにはなってないようだが油断はするなよ』


 とても油断ができるような精神状態ではないけども……本格的なダンジョンって?


『ダンジョンは大まかに3つある、古代の技術が野晒しにされた物、ダンジョンそのものが意思を持ち養分(・・)を誘う物、そして何者かが主として建てた物だ』


 なるほどね、ここは?


『あるとすれば墓荒らしに対策した罠が仕掛けられているか…神秘に惹かれた善からぬ者(・・・・・)が集まっているか、だな』


 悪霊とかか…まあいるよね多分、墓だもの。


 ……はて、私等は今霊的なものに対抗する手段が無いのでは?


『大概の場合霊は無力だ、我等が奴等に触れられぬようにな』


 ならいいや、大概の場合に当てはまらない奴がいたら困るけど。


『……待て、何かいるぞ』


「止まろっかハヌさん、何かいる」


「ひゃい!?」


 光に照らされた先、シルエットだけなら人っぽいけど……侵入者相手にこんなガシャガシャ音立てて歩いてくるなら人じゃないだろうね。


「そこで停まれ、さもなくば攻撃を始める」


 ……返事は無しか、それもそうだよね。


 だって目に見える限り声出す器官がごっそり無いんだもん、(ハリガネムシ)とは別方向で。


「……スケルトンとかガイコツ剣士とかそんなそんな感じかな?」


「に、逃げるか…!?」


 さて……グラさん?


『蹴散らせ、所詮命無き物を動かしているに過ぎん』


「ハヌさん、私から離れないでね」


 ホアッチャアー!


「うーん……罰当たり」


「…は、はは……一撃か、何だビビって損したな」


「見た目はグロいし気分は良くないけどね、しかし拍子抜けするほど弱いな」


 ていうか脆い、軽く蹴っただけで粉々じゃないか。


『ああだが……もっと砕いておけ、でないといずれは復活するぞ』


 よっしゃ踏んづけとこう。


「おりゃおりゃ、土にお還り!……ちょっと感触が楽しい」


「アンタすげえな……色んな意味で」


 多分これかろうじて褒められてないな。


「しかしこれが例の先人達かね?可哀想に」


 ……グラさん、こいつらって多分普通の人間…それこそブレ子とかでも素手で対応できるレベルだよね?


『ああ、そうだな』


「ふむ……よしハヌさん警戒しよう、少なくともこいつらを死体にした(・・)奴がいる可能性が出てきた」


「お、おう…!」


 しっかしこれ……霊廟っていうよりは本当に洞窟だな、階段とかは人の手が入ってたけど今いる通路は無造作に掘っただけにも見える。


「……これ中酸素通ってるよね?」


 世の中の入っちゃいけないって言われてる洞窟の大半は入り組みすぎて出てこられないとか酸素が無いとか昔聞いた覚えがあるのよね……


『我はしばらくなら酸素がなくとも活動できるが…』


 それ私等はともかくハヌさんは死ぬんじゃない?


「……ハヌさん呼吸苦しかったりとかしない?」


「え、いや…大丈夫だが…」


「ならいいんだけど一応気にしてね」





 しばらく進んだけど何もないね、所々ガイコツがいるくらいか。


「……行き止まりじゃん」


「あ、あれ…?」


 これが本当の無駄骨か……


「落盤でもしちゃったのかな?ちょっと掘ってみ…おん?」


 何だこの壁グニョってして……うお!?


「ハヌさん!下がってて!掴まれてる!」


「うわぁああ!!くそ何だこれ!?」


 グラさーん!!何これ!?


『わからぬ!スキルには何も写っておらぬぞ!』


 うお…何だこいつ!力強いな!?


 ……でも別に力負けはしないなこれ。


「ハヌさん、前に私をふっ飛ばした風出せる?」


「お…おう!『暴風の寵児』!!」


「『無双腕・百』!!」


 風に怯んで緩んでるぜ!!


 からの『拡張解析』!!


[種族名 ミラージュオクタ


「アクティブスキル、『擬態(ミミクリー)LV.10』『偽装墨(ギミック・インク)LV.10』


 パッシブスキル『気配遮断LV.10』]


「見えた!タコだこいつ!」


 ハヌさんは……下がってるね、ていうかずっこけてるけど。


「よし、ちょっとだけ『魔王の吐瀉LV.10』!」


 ……殺ったかな。


「……何だ今の技…」


「胃酸だよ、ちょっと強めだけど」


「壁まで溶けてんだぞ……」


 いやー……びっくりしたね、気配感知とか拡張解析にも引っかからないスキルかぁ……


『すまぬ……』


 しゃーないしゃーない、私も気づかなかったし。


「行き止まりに扮して壁に触れたやつを食べるタコの化物……って感じ?」


「こいつ自体はたまに見かけるが……こいつまだ子供だな、住み着いたのは最近か…」


「何にせよ道は開けたわけだし結果オーライだね、ところでハヌさん……大丈夫?」


「すまん……腰が抜けた…」


「……まあびっくりもするよね、うん」


「……悪い…」


 仕方ないし抱えていこうかね、いよいよ扱いが松明みたいだ。


「おわっ……重くないか…?」


「割と力持ちなものでね、何なら以前片手で君を持ち上げた事もあったろ?」


「ああ、あの時か」


「ちなみに多分今咄嗟に襲われたらぶん投げるから受け身の準備だけはしててね」


「……おう」


 そんじゃ改めて…進もっか、先がどの程度あるかわからないけどゆっくりもしてられない。




 ……この蛸持って帰ったら誰か食うかな?


『貴様は娘達を何だと思っておるのだ……』

Q.グラさんの魔王の吐瀉って本当に吐いてるとしたらハリガネさん死なない?


A.あれ厳密には口腔内で発生させた酸の塊を吹き付けてる。


Q.猿人ってどんな種族?


A.手先が器用でバランス感覚や身軽さが売りの種族、なまじ人類種族に近いせいで迫害の対象だったり迫害されないまでも笑いものにされたりしてる種族。


でもこいつらまだマシな部類。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 霊廟編のタイトル統一感あってよきよき [気になる点] 霊廟のスケルトンは、霊廟に忍び込んだ人間が霊廟に棲む何かによってスケルトンにされて何かに操られているってこと? 元から霊廟にいるのでは…
2022/08/19 08:02 退会済み
管理
[一言] いいね、ゾクゾクする。 ハリガネサン、虫食ってた頃の感覚が抜けてないの笑う。
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