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墓荒らしムースリアム

「それじゃあ私&ハヌさんでお薬調達に、君等は食事を買いに」


 任務に物凄い差があるのはまあこの際良いだろう、適材適所ね。


「それで僕はこの船の見張りと非人(あの子)の護衛だね、君等もまあ神様を贅沢に使うもんだよね」


「使えるものは何でも使うのがうちのモットーだからね」


「そういえばレプン、今回最終的には引っ叩く事になるであろう蛇の毒は神様専用のとんでもない酒らしいよ?」


「ふほ!?マッジで!?」


「いいね、いいね、こっちの酒はあんまり気にしたこと無かったけどそれ楽しみにして待ちがてらなら護衛だってウキウキだね!」


「取り敢えず本体小躍りするのやめようか、酔うから」


 お嬢ちゃんが静かに青ざめていく……


「ですが父さん、現段階で敵の本拠地に攻め込むとなると…やはり不安があるのでは?」


「ふふ、勝算なくしてこのハリガネさんが動いたことがあったかね?」


「ありました」


「……あったよ?」


『何ならそればかりだ』


「………わかった認めよう、ハリガネさんは行き当りばったりです」


「だが!だがしかしだよ!えー……今回はまあハヌさんもいるし、最悪見た目さえ隠してさえいれば目撃されても問題ないだろうし…」


「つまり行き当りばったりで行くんですね、今回も(・・・)


「そういうことだね、うん」


『…………』


「いざとなったら『更に先へ』で逃げるから良いもん!!一瞬だけの展開ならそこまで削られないしさ!!」


「逃走手段が強引な盗人ですか…」


「………強盗?」


 うるせえやい、ハリガネさんの頭脳じゃそれしか浮かばなかったんだい。


「国を救った英雄が遠い地では強盗かぁ……」


「やめてレプン、そういう言い方されるとすごく残念悪いことをしている気分になってしまうから」


 悪いことではあるか。


「ところで薬ってどっから盗むの?病院?」


「いや……バイ…シャ?まあ何とかって大昔に古い神々がいてな、その中の薬の神様の弟子だか弟子の弟子だかって奴の墓からだな」


「強盗かと思いきや墓荒らしですか……」


「………外道」


「手段を選んでいられる時期は過ぎました!!!」


 冗談とはいえ実の子供達に言われるとなるとぼちぼちに心に来るものがあるなこれ。


「お墓か……掘り返す感じだったら結構得意だけど」


「いや、祠って言うかその……霊廟だな、表の施錠は甘いから俺でも開けられるが……問題は薬があるのが地下だって事だな」


「地下か……ダンジョン的な?」


「さあな……どうなってるかまでの伝承はない、たまに入るやつはいるが出てくるやつがいないんだ、もしかしたら楽園みたいなお花畑で帰ってくる気持ちも無くなってるかも……なんてのが非人共の描く夢物語にある程度なもんだ」


 ほほう……ほうほう。


「その霊廟の奥地にあると…」


「いやそれもわからん、そもそも薬の形すら知らないんだからな……」


「大丈夫大丈夫、『拡張解析』カンスト勢の私からしたらそこにある(・・)って情報さえ確かなら見つけ出せるさ」


 多分。


「まあ入り口までは案内してやる、そこからは頑張れよな」


「あれ?中まで一緒に来ないの?」


「あー、俺はほら…えー…その、な?」


「ふむ、霊廟の中が怖いと見た」


 ホラーは駄目なタイプかな?可愛いね!


「怖くはない、怖くはないけどやっぱ墓だからな、土足で踏み入るには抵抗があるんだよ、そうだろ?」


「いいよ無理しないで、それに幽霊やお墓が苦手でも可愛いじゃないか」


「ちげえし!全然行けるし!じゃあいいよ行ってやるよ!」


 よっしゃあ!戦力ゲット!


『……あ、あー……我も霊と聞くと身震いが…』


 武者震い?勇ましいね、流石グラさん。


『………』


 冗談だよ、冗談、可愛いね。


『……ふん』


「よし、それじゃあ早速行くか!」


「もうか!?いや、勿論構わない…だが今日の今日となると少し準備がだな」


 はっはっは、何も聞こえないなぁ。


「船と客人は任せたレプンカムイ!甘いものが食べたいです娘達!!じゃあ各々自分の仕事に取り掛かってくれ給え!!」


「ああ畜生…!協力者を間違えたかな…」





「ついた……ここだよ」


 何気に時間かかったせいでそれなりに暗いな…まあどうせ地下なら変わらんか。


「っとしまった……灯りが無いな」


『松明でも作るか?可燃性の液体も確か出せるが…』


 うんにゃ…地下で火を焚いたら何に引火するかもわかんないし……そうじゃなくても一酸化炭素で死ぬ。


「仕方ない…出直すか」


「父なる神の名よ、暗きを照らし光の恩寵を与えよ…『ディーパ』」


 野球ボールくらいの光の玉…微かに温かいけど決して熱くはない…となると燃えてるわけじゃないのか、これなら……!


「君結構便利なスキル持ってるじゃん!いいね!最高」


「ああ……まあな」


「それ、どのくらい出し続けられる?」


「1日くらいなら苦にもならねえよ……はぁ…自分の便利さで首を絞めてる気がしやがる…」


「……ハヌさん、実は私も結構怖いんだけど…手握っててくれない?これならいつでもお互いの異変に気付けるしさ」


「え……おお、しょうがねえな…!」


 ……ごめんグラさん、君の肉体に色んな面倒くさい人間関係を築きつつある。


『話しているのが貴様なのだ…そういうこともあるだろう、我の心は貴様にある故に問題なぞ無い』


「ほら行くぞ、アンタ手が冷たいんだな?ふふ…」


 乙女な顔してんなー…グラさんにフラグが立ってしまった…家系図がややこしくなってしまう……


「……外観は綺麗だな…あった、この扉かい?」


 レンガや石の切り出しかな?割と凝った造りになっていてお墓ってよりは教会とかって言葉がしっくり来そうだね。


「鍵か…待ってろすぐに」


 ばぎょんっとね。


「……アンタ今金属の鍵片手で捩じ切ったか?」


「古くなってたんじゃない?」


 おや?腕を組んできた、積極的だなー…


「……驚いた拍子に握り潰されたら俺の手が咲いた花みたいになっちまう…これでいいだろ?」


 違った、至極真っ当な代替案だった。


「あの棺桶…あれを横にずらしたら下に階段があるらしい……行くぞ」


 組んだ腕が震えてる……散々な修羅場を乗り越えはしたものの実際に来てみると怖さってそこにはない(・・・・・・)よね。


「これを横に……ふんぬっ!」


 あ、やべ何か今棺の中ガラガラっていった、崩れた?


「……アンタ本当なんの獣人なんだ?その細さなのに……怪力だな」


「内緒、と言っても…正直に話そうが信じないさ」


 まあムカデって多分数ある虫の中でも力強い方だもんね。


「ふぅん……俺の腕を絡めたままへし折らないでくれよ……だが離すな、絶対だ」



 ……面倒くせえな。

質問箱より


Q.グラさんは何歳?


A.10歳くらいじゃね?


Q.グラさんはつまりここから胸が育つ可能性がある!?


A.ハリガネさん次第な部分ある、彼がまともに雌雄を確立して好みの見た目の女性が巨乳だったらワンチャンってくらい。

多分初代クロックタワーノーヒント初見クリアできるくらいの難易度。

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