任務発生
「私達に何をさせたい?」
「……そう聞くってことは、興味くらいは持ってくれるんだな?」
「正直君の説明じゃわかりにくくて仕方ないから興味と呼ぶには微妙なラインではあるけどね、言うだけ言ってごらんよ」
「悪いな……端的に言えばアンタにやってもらいたいことはシンプルだ、奴等から次の王様が産まれないようにしてほしい」
「子供もしくは妊婦を殺すってこと?私流石にそこまで腐れ外道じゃないんだよ?子供だっているし」
「な…子連れだったのかアンタ…」
「忘れて、気の所為だったわ……複雑なんだ色々」
ていってもそういう事じゃないんだろうなとは思う、祭り開催20日後じゃん?となれば私がやらないといけないのは……
「ユニークスキル『輪廻転生』の覚醒を防ぐ、ってこと?」
「……あ、いや…『輪廻転生』は別にユニークスキルではないんだ」
「お前の説明わかりにくいんだよ!!」
「悪かったよ!?」
今日はハリガネさん駄目だな、予想したことが細かく全部外れていく、ウケる。
『情緒どうなっとるんだ貴様は……』
「……え、じゃあ『輪廻転生』って何さ」
「あれは…俺にもよくわからない、存在しているってことは知ってる、でも何でそれを知ってるのかはわからないんだ」
「しかも多分…俺以外も知らない…と、思う」
「思うとな、ハヌさんはあの辺…アブドゥル達とは仲間じゃないにしても紛れ込んでたならそれとなく聞け……ねえか」
あんなどこに地雷があるかわからないカルト臭溢れるラリパッパ相手じゃ探り入れるのも一苦労だわな。
「……わかってくれて助かるよ、正直アンタ等があの蛇野郎に殴りかかった時は思わず抱き締めたくなったね…」
「そう言えばその蛇野郎ってのは?アブドゥルはどう見ても蛇じゃあなかったよ?どっちかといえばカバとかトドとか……泥?」
「ここぞとばかりにボロクソに言うねアンタ……」
「彼奴等は蛇…っていうか蛇の手下って言うのが正しいんだ」
「あー、今の王様が蛇なのね?」
「……納得するんだな?」
別に驚きはしない、麻痺してるだけとも言えるけどね。
「それで、その蛇キングが皆を恐怖政治?それともそういう信仰?」
「いや、アンタも飲まされそうになったあの毒……いや厳密には酒なんだが」
「酒に入った毒だろ?」
てかヤクだろ?
「あー、その今の王様が『バースキ』って蛇なんだがな、そいつが昔神の酒の材料になる『ソーマ』って花を全部平らげちまって、それからしばらくして彼奴の牙にある毒はみーんなソーマの汁になったんだ」
バースキ…あのワインに入ってた毒の主か。
「何しろ神の酒の材料だからな、人間が飲んだらその濃度でも変わるが……大概は正気を失う…美味さでな」
「しかもこれは精製してないただの材料ってだけでだ」
「精製したちゃんとした酒なら?」
「そりゃあもう、二度と正気には戻れないくらいあれに陶酔しちまうだろうな」
ははーん、アブドゥル達はヤク中じゃなくてアル中だったってことか。
「……じゃああれか?あそこの踊るアル中達は酒欲しさにバースキって蛇キングに従ってると?」
「ああ…従ってるとも言い難いけどな、操り人形だあんなもん」
「そんでそのアル中達の中から真の王様が産まれるのを防いでくると」
行けると思う?
『あの場に立つ者を一人残らず擦り潰せというならば、可能であろうな』
やっぱ皆殺しルートか……
「ああでもな、俺が思うに奴等からは新しい王様は産まれないと思ってるんだ」
「ほう、その心は?」
「普通に考えて新しい自分の体がいくら強くて長年魂が受け継がれててもあんな奴等じゃ嫌だろ……まあ奴等はそうは思ってないようだけどな」
「ふむ……で結局のところ私の仕事は?皆殺しでいいの?」
「みなご……本当にアンタ物騒だな、今の話これだけ聞いて微塵も失敗するって疑ってない目だ…さっきの拡張解析といい何者だよ……称号だけでも見せてくれないか?」
「絶対駄目だよ、そんなに私に興味津々かい?エッチ」
「いやそんなつもりは…ま、まあ隠してるなら無理にとは言わないが」
「悪いね、企業秘密だ…それに秘密の多い方がモテるだろ?」
知らんけど、モテたことないし。
「……それでアンタの仕事なんだが…皆殺しは駄目だ、あんまりやりすぎると調整が入りかねない」
ナーフされんの…?
『ナーフ?』
運営に弱体化させられる奴、一部プレイヤーはブチギレるし一部プレイヤーは大喜びする。
『………』
む、思考の迷宮に入ってしまったな。
「調整って何?」
「俺も良くはわからない、ただ……そういう普通じゃないことを次々やる奴は何らかしらの措置を取られる……取り返しが付かない程のな」
「怖……バランスブレイカーはまあナーフされて然るべきか」
「えーつまり私の仕事は……ラリってるやつのふりしながら接戦を演じつつなるべく自分がやったように見えないように数を減らすように立ち回り、覚醒しそうな奴がいたらサクッと殺めると」
「そういうこと…だな」
「できるか馬鹿野郎」
「頼むよ…俺だって無茶言ってる自覚はあるんだ、だがアンタを腕利きと見てだな」
「腕云々の話じゃねえんだよもうそれは、そもそも判定がわからない制限も厳しいけど、いつ、誰が、どこで、どのように、どうやって覚醒するかもわからないのを止めるのは最早不可能だろ」
「うぅ……だよなぁ…」
「……まあでもやるけどさ、薬もいるし情報もいるし……」
戦って少しでも強くならないとだし正直私等の旅の目的としては正しいからね。
「え…ほ、本当にやってくれるのか?」
「やんなくていいなら帰るよ?」
全力でエンシスハイム戻ってあの子治すのに賭けるともさ。
「いや、是非頼む……礼なら何でもする」
「ほほう……何でも…ね?」
「う……何だ…ジロジロ見んなよ……」
ふーむ、そうなぁ……
『……汝?』
違うよ、助平心では断じてないよ、だからその静かなように見えてまともに浴びたらネズミくらいは殺せそうな殺気を収めるんだ。
「ま、それは仕事が済んでからということでね」
「取り敢えずまずは一回仲間に連絡してきていいかい?」
「ああ構わないけど……俺も行っていい?いやその疑うわけじゃないんだけどさ…」
「逃げられるか不安ってわけかね」
「………ごめん」
「あらやだ信用が無い……悲しいね、頼りにはしているが土壇場になって裏切るタイプの人間だと思われてるみたいだよ私」
『普通思うだろう…』
やかましいぞそこ。
「まあいいさ付いておいで、説明役も必要だしね……君のはとんでもなくわかりにくいが」
正座だよ、命からがら帰ってきた父に対して板の間に正座だよ。
「薬を探しに行った筈だけど……申し開きある?」
「どうして父さんは単独行動するたびに女性を連れて帰ってくるのですか?それも今はグラさんの身体で」
「いやー、ハリガネサンなかなかやるねー」
まさか仲間からの信頼も無いとはな………
Q.キラウシはどういう意図で舞踏王の事を教えてくれたの?
A.どういうわけかハリガネサンが人間の姿になりたがってたから神格くらい強くなんないと自分の体の変化に介入するの厳しくね?修行してこいや!って感覚。
Q.ハヌさん巨乳?
A.脚と尻の肉付きがいいタイプの貧乳。
Q.貧乳しかいねえのかこの世界
A.キラウシがヒロインだった初期プロットでは彼は金髪巨乳お姉さんになる予定でした。