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拾い者

「……ってなわけよ」


「成程ね、まあ傲慢王はある程度知ってたけどね」


「やっぱ有名なの彼奴?」


「傲慢王はその傲慢さから自分の攻撃方法とか能力とか全部教えてくれるからね」


馬鹿野郎じゃねえか。


「しかし…しばらくの間に代替わりしてたんだね、僕が前見たのとは違う奴だったね」


「戦ったことあったの?」


「まさか、遠巻きに眺めてただけだね、まあ吸血種だったりあの回復速度見てる限り先代の血縁だろうね」


「確かあの時は……ああ、そだね」


「これからいく国の王様と喧嘩して粉々にされてたね」


 ほほう、傲慢王を粉々に、ふんふん。


「進路変更しない?」


「急に日和るね?」


 日和りたくもなるだろうそんな化け物がいるところ。


「んー、まあでもあの頃の王様は死んでるし……今はまだ本当の王が現れてない筈だから大丈夫だと思うね」


「……本当の王様って?」


「僕は癇癪持ちの権化みたいな姿しか見たことないね」


「自分の攻撃が外れたら怒る、避けても怒る、当たって死んだらつまらんと怒る、生きてたら何故死なんと怒る……まあそれはそれはもう傲慢王と相性が悪かったんだろうね……」


何その理不尽の結晶体!


 野に放っちゃ駄目だろうそんな奴。


「でもそれは怒ってる時だけで…普段は優しいって聞いてたがね?」


「見たことないんだろう?じゃあ実質噂じゃないかそんなもん……ヤンキーが雨の日に子犬拾った程度で優しいって言われてんだよそんな奴」


「ヤン…?」


「気にさないでください、虫けらの妄言です」


 パパに対する扱い酷くなーい?


『それならば父親らしくしろ…』


「それで本当の王様ってのはあれだね、所謂……転生?」


 転生とな、どっかの宗教国家だかのトップとかみたいな感じで亡くなったらすぐに転生しているであろう子供を探す感じか…


 いや……違うか、本当の王様の後継……つまり。


「ユニークスキルを持った子供がまだ産まれてないのか」


「……おお、あってるよそれで」


「厳密に言うとあの国で暮す人間…まあその中でも成れるのは子供が大半だがね、全員に等しくそのチャンスはあるんだよね」


「僕ももうしばらくはあの国にゃ行っちゃいないが……そうだね、近いうちに祭りがあるとか聞いたし楽しんできたら良いんじゃないかね?」


「確か前回の国王も祭りの中で覚醒したって聞いてるしね」


「いや何も遊びに行くわけじゃないんだよ私達は…旅立つ前にちょっと興味深い話を聞いてさ?」


「あー、キラウシからかね?」


「ああ、私が元の姿…それか最低限人になるには恐らく神、またはそれに類する力が必要だって事でね」


「なんて言ったか…」


「〈舞踏王 ナタ〉ですお父さん」


「それだ、ダンスの王様でありながら喧嘩も強い、人から慕われてるって聞いたもんだから修行も兼ねて…というわけさ」


「舞踏王……舞踏王?」


「およ、知らない?」


「……駄目ださっぱりわかんない、何か引っかかってる感じはするんだけどね」


「まあ、キラウシが紹介したなら大丈夫だね、あいつあの国から出ないからかなり不安な情報源だけどね」


「一瞬のうちに矛盾すんのやめてくれない?どっち?信用できるの!?できないの!?」


「まあまあ、ほら…見えてきたよ」


 お?マジで?皆甲板に上がろうか。




「あれが新天地かー!」


「はしゃいで海に落ちないでくださいよミリア……儂の甲冑じゃ助けに行ってもトドメにしかなりませんからね」


 沈むだろうなぁ…諸共…沈んでいくんだろうなぁ……


『ふん……美味そうな匂いがしてきたな』


「言われてみれば何かいい匂い……カレー?」


「お、知ってるのかね?」


「私がまだ人だった頃にいた世界じゃポピュラーな食べ物だったよ……ん?」


 香辛料が盛んで貧富の差が激しく場所により飢えている……で、カレー。


 あこれインドか。


 いや位置関係どうなってんだ!かなり方向違うじゃねえか!


『なんぞ知っていたのか?インド……という名前には聞き馴染みが無いが…』


 まあ…多分元になった国を…


 と言ってもどこまでこの知識が役にたつかも知らないけどね、地理すら曖昧だぞハリガネさんは。


 でもここまで届くカレー…というかスパイス臭って凄いね?


「あ、これは土地の影響でね…風向きが常にこっちに向いてるせいだね」


「港に船を付けたいところだけど……さてあの国今どういう動きなのかね?」


「ん?どゆこと?」


「いやほら、その時のまあ…仮の王様としようか、その仮の王様が例えば貿易や他国との交流を好んでた場合このまま入って問題は無いけど…」


「ははーん、鎖国みたいにしてたら近付いただけで沈められかねないってことだなこれは」


「帰るか」


「傲慢王に会ってから随分及び腰じゃないかね?」


 強くなると決めたとはいえまだなってないんだから不安はあるだろうよ!!


「んー、と言っても近付いただけで砲撃は無いと思うよね、少なくとも敵国だと視認するまでは」


「……レプンカムイ、この船って定義上はどうなるの?」


「向こうの受け取り方次第だが…良くて冒険者、悪くて海賊かね?」


「まあ海賊だと思われたってすぐに殺されやしないさね、捉えられて檻には入れられるかも知れんがね」


「流離いの者から御役所務め…そして牢屋ですか、儂等も出世したものですね……」


「短い旅立ったなぁ……」


「へい娘っ子よ、遠くを見るのはやめなさい、まだ慌てる時間じゃない」


『……おい、向こうから小型の船が来るぞ』


「お…本当だ、あの船こっち向かってきてるよ」


「王国の船だろうね、確認しにきたのさ」


 んーと…この場合は代表として私が行くほうが良いのかな。


「(一番大人な儂が行きますか…まあ、仕方ないでしょう)」


「(旅のガイドとして僕が話しつけるのは当然だよね……)」




「てめえ等大人しくしやがれ!少しでも暴れたらこの船を沈めちまうぞ!」


「こんにちはー!」


「我々は旅の者です、武器の類は」


「あー、入国申請をしたいんだがいいかね?」


「「「………ん?」」」


 あれ……この際三人被ったのは良いとして……思ってたのと違うぞこの人。


「レプンカムイ、これってもしかして所謂海賊とかそういうもの?」


「や、この類は場所を選ばないしシンプルに()でいいと思うね」


「何だ物取りでしたか……気を張って損しました」


「てめえら何ふざけたこと話してやがる!!ぶち殺してやろうか!」


 やめとけ、描写すらできないくらい無惨な姿にされ……ねえな、別に皆血の気が多いわけじゃねえもんな。


 てかよく見たら子供じゃないの…お嬢ちゃん達の種族とかも街で見かけるようになってから小さい人間に違和感無くなってたけどこの背丈はどう見ても……12とかかな?


 服もボロっちいし爪も薄汚れてるところを見るに苦労はしてそうだな…


「君……静かに」


 っと…危ないから後ろにいなよお嬢ちゃん。


「大丈夫………ねえ、座って?」


「何だこの……うっ…」


「お、大丈夫かね?随分ふらふらだね?」


「うる…せぇ…」


「……ご飯食べよっか、ブレさん…お水でパングズグズに煮て来て、お出汁もお砂糖も使っていいから」


「か、かしこまりました!」


〔ハリガネさんこの子、もう数日何も食べてなくてこの強盗失敗したら死んじゃうって…ずっと怯えてる〕


「……わかった、取り敢えず中に入れようか」


「レプンカムイ、一回船も停めちゃお」


「おー、まあ僕が止まってればこの程度の船ならびくともしないよね」


 安心と信頼のアンカー要らず、便利な操舵手だこと。


「うちの娘に感謝しなよ坊っちゃん、助けてくれるってさ」


「………いいよね御二方?」


「まあ、折角だしね……僕ちょっと魚取ってくるからついでに皆ご飯にしようかね」


『我は構わぬ、この姿になってからはさして燃費も悪くないのでな』


 娘が優しく育ってくれちゃってハリガネさん泣きそう。


『貴様はミリアの成長に関わってないがな…?』


 親はなくとも子は育つものだね……


『たわけ、貴様がいない間は我とブレ子で教育したわ』


 本当意外なとこで面倒見いいよな君。


『………ふん』


「ハリガネさん、怪我とか見れる?」


「ハリガネさんにそんなスキルは……あるわ、『拡張解析LV.10』」



状態 [飢餓][栄養失調][感染・危険中程度]


 感染の部分の詳細。


状態 [創部より菌が入り込んだ事による炎症][放置すれば破傷風発症のリスク大]


 んー……破傷風ね、破傷風




 ……抗生物質とか無いんだけど詰んでない?


Q.グラさんの進化先って拡張解析で見れないの?


A.進化ツリーの正当な進化先の方向もそこから外れた暴食王の項目も黒く塗り潰されてなくなってるから今のところ何もわからない、ただし今見えているのか全てというわけでもない。


Q.2次創作したい!


A.いいよ!

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