今はまだ小さな心なれど
ねー、どこまで連れて行くつもりだい?
「黙れ、貴様から言い出したのであろう」
まあね……
やあテレビの前の皆、今ハリガネさんは色々ありすぎて相棒が寂しい思いをしてたからデートの提案をしたら行き先すら告げられずにひたすら森さ。
「誰に話しておるのだ誰に…」
多分私をここに送り込んだ神様、ちょくちょく話した記憶はあるけど内容がまったく思い出せないのよね。
「神と言いつつも張り倒したではないか」
あれもまあ神様だったけど……多分なんかもっとこう、次元が違うんだろうね。
「ふむ……わからん」
だろうね、グラさんとて元々こっちの住人だし。
「そうではないのだ、理解ができぬ」
「存在として、そういうものがいる、ということを考えようとすると思考が抜け落ちる……それに貴様に言われなければ考えることすらしなかっただろう」
なにそれ怖い。
「……すまんな」
いやいや、何でグラさんが謝るのよ。
「我にもっと力があれば貴様の手助けにもなれたやも知れぬ…」
十分でしょ、頼りにしてるし…十分助かってる。
……んでどこまで行くつもり?
「ん…ああ、まだわからぬか?」
……あれここって。
あ……
「そうだ、貴様と初めて会った場所だ。」
うっわ懐かしいね、体感時間じゃそんなに経ってないのに……こここんな綺麗に残ってるんだ。
ここあれだ、鱗ドッグを溺死させた…
「あの時喰らってやった者の思念が残っておるからな、知の無い者は勿論人すら近寄らぬさ」
本当は私が目覚めるまでの間手入れしてたとかでなく?
「…………」
ごめん……繋がってるから言わなくても伝わってきちゃう……
「ワスレロ!!」
発音に差し支えあるレベルの感情なの今?いやぁ愛されてるなハリガネさん。
……愛といえばラブハート氏どうした?あの人のことだから死んじゃいないだろうけど。
「ああ…あのゲテモノは貴様が消滅してから数日後に招集がかかったと言ってそれきりだ」
そう言えば曲がりなりにもあの人勤め人だったね、多分私等とこの街の話やらなんやらで呼び出されたのは想像できるわ。
帰ってきてないところを見るに結構真面目に働いてんのかもね。
「……なあ、汝」
ん?
「……今後はどうする気だ?」
まあ……元に戻る方法を探しながらかな…
「旅立つのか?」
一応ね、ただまあ……お嬢ちゃんは辺境伯のとこで頑張ってるみたいだし…ブレ子はわかんねえけど。
のんびりまた放浪の旅になるかなーとは。
「……ふん、貴様と二人では頭がおかしくなるな」
……いや、グラさんには街に残ってもらおうかなって。
「………え…」
カムイ達がいるって言っても……心配になっちゃうのが親心ってものでね。
……君なら安心して任せられるんだ。
「い……」
「嫌だぞ…!?」
「そんな…!せっかくまた…」
うん……わかってるよ、ごめんね…
「うるさい!謝るな!」
「聞きたくない……!」
……グラさん。
「どうして離れようとするんだ…!」
「我が嫌いか!我は…!」
グラトニカ!!
「っ…!」
……ごめんね、そんな気は無いんだ。
ちょっとどうかしてた……もう少し考えるから…
「どうして一人で考えるんだ!あの時だってそうだっただろう!」
「貴様が犠牲になるなんて…我に相談していれば絶対にさせなかったのに…!!」
ああするしかなかったんだよ。
「うるさいうるさい!貴様が犠牲になる理由なんぞあるものか!!」
「貴様が犠牲になるくらいならば世界なぞ焼けてしまえばいいのだ…!」
「だから……頼む…もうやるなあんなこと…」
………
「この3年間…何度となく考えた……」
「貴様の気配が消え行くあの時…止められたんじゃないか…どうして動けなかったのだ我は、と」
グラさん……
「……我は…そんなに頼りないか?」
いや……
「ならもっと話してくれ……いつか見る果の先に貴様がいないなど我は耐えられん…」
「貴様が神への叛逆を望むなら……共に全て背負ってやる」
うん……
グラさん。
「……何だ」
ありがとう。
「…うん」
土壇場でやるときは見逃してくれる?
「……貴様は…考えるより先に身体が動くからな」
「善処しろ、そうすればなるべく守ってやる」
そうするよ。
「さて……そろそろ帰るぞ、代われ」
「おっと…帰りは私かい、良いけども」
『汝』
「ん?」
『いつか、人の姿を取り戻したら…』
『…………何でもない』
「全部筒抜けだけどね?」
『グハァッ!?』
学ばないなこの子は。
「いやまあ……ふふ、いいよ」
『言ったな?聞いたからな?違えるでないぞ』
「勿論、元魔王に嘘つけるやつなんていないって」
『ふん…』
『…………ちなみにだが、もし我のような者が増えるなら、それも相談せよ』
『…………隠したら強めに躾けるからな?』
はい、肝に銘じます。
「まあ……ハリガネさん別にモテるわけじゃないし君がだいぶ奇特な趣味をしているだけだと思うけどね」
『ん?貴様から異性的な魅力は一切感じぬぞ』
「ちょっとまって地味にすっごくショックだよそれ」
『……そもそも性別すら存在しとらんだろう、我もそうだ』
「………はっ!」
『……貴様の魅力はそこではない、故に辞めよとも言えぬ』
『……だが一番は我だ』
「こだわるね随分…」
『ふん、当たり前だ』
『そこは誰に譲る気も無いさ』
今回書いてて滅茶苦茶楽しかったですね、皆グラさん好きでびっくりしちゃう。
「強烈なラブを感知!!!遠い…わ!!」