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そして神へと至る

 ………


 …………………


 ああ、相変わらずだなこれ。


 一歩踏み締める度に張り裂けそうなくらい力が溢れる、枯渇しかけてたスタミナも今じゃパンクしそうなくらいだ。


 発動した瞬間から心臓は高鳴り身体中の細胞一つ一つが産声をあげるみたいに漲る感覚、今すぐ吐き出さなきゃ身体が破裂しそうだった。


 そんで、我慢してたくしゃみを吐き出すみたく、三歩進んでぶん殴った、それだけだ、それだけなのに。


「はっは、ワンパンでこれかよ…」


 頭の中身がスッキリしてる、引越し前に部屋を空っぽにしたみたいな爽快感……実際前方数十メートルは跡形も無くなっちゃったんだけどさ。


 ユニークスキル、知ってたし一回体験済みだけど…これほあんまりにもあんまりに強過ぎる、ずる(チート)してる気分になるね。


 …………普通こういうのって転生したやつが使えるものだよな、やっぱり。


『おい、落ち込む隙があれば畳み掛けよ、まだ終わっとらん』


「知ってる知ってる、ただあそこまで離れられちゃうと……あそこまで走ったら今度こそ殺しちゃいそうだよ」


 と言ってもまあ、向こうもまだユニークを隠してるんだけどさ。


「おーい!会話は通じるかねー!」


「……『カント・オロワ・ヤク・サク・ノ・アランケプ・シネプ・カ・イサムLV《ERROR》』」


「げ……あいつ回復してね?」


『あの技……手下を呼ぶための物ではないのか』


「……天」


「……………天から役目なしに降ろされた物は一つもない」


 あーあ、ぴんぴんしてるわ。


「虫けらだって生きている的なあれかい?」


「…いいえ……今の我の力の名に与えられた意味です、貴方達には…わからないでしょうが」


「我が御業の大きな一つ…あらゆるカムイの力を借り降ろすためのもの…つまりこれも全てが天より遣わされた役目(・・)なのです」


「…ウェンカムイ、もう…やめにするかい?」


 ま、答えは何となくわかる。


 ぶっ飛ばした衝撃で落ち着いたのかも知れない、会話は成立している。


「……まずは感謝を、しかし……戦いは終わりません」


 だが駄目(・・・・)だ。


「君は異形の子だ」


「…カムイを穢しすぎた君達を生かしてはおけない」


「君は生きていてはいけない存在なのです」


「それは違う!」


 うわっち、だから代わるなら言えって……おん?


「我は確かに人も大地も木々も…この森の命をあまねく喰らった」


「だが此奴はな、食わぬなら殺さぬ、必要なければ奪わぬ」


「我等の中でも爪弾き者の異端者よ」


 ………そんな良いことばっかしてないけどね。


「……ああ、根幹の欠片…それは違う」


「君は異形なんかじゃない(・・・・・・・・・)…」


 ………まあ、暴食王は元々この世界に存在してたし、突然現れた異形の群れ、その一人っていうと…私だよね。


 なーんとなくさ、寄生してた外側のせいかなとか色々誤魔化してたけど、やっぱり私この世界の共通の敵っぽいなり


「………だが彼が異端ということは認めましょう、奴等…罪深き異形共は人を助けたりは決してしない」


「いえ、あるいはするのかも知れない…だが彼のように人を慈しむ事はしないでしょう」


「ならば…!」


「天から役目なしに降ろされた物は一つもない……彼の存在が、例え世界の異形により狂わされた秩序を直すとしても」


「それは我等の役目です」


「我等は、我は……穢されたカムイ達の分まで奴等を鏖にしなければならない」


「そして君が異形である以上、殺す」


 まあ正気に戻しても、私への憎しみはあるよね。


「……それで言うなら…娘はどうなるんだい、ウェンカムイ」


「君の後にすぐ…痛ぶり弄ぶことは無い、必ず痛みも感じさせずに送って差し上げます…約束しましょう」


「…お前が正気に戻った上で…私だけなら、まあぶっちゃけ仕方ないとは思えたんだよね」


「家族皆殺しにされて、自分の役割をこなさんとするお前は立派だとも思うよ」






「……でも…悪いな、親は子を守るものなんだ」






「だから殺されてはやれないよ、俺の仲間…まあ同種の何者かが酷いことをしたのも、知ったことじゃねえんだよ」


「そいつ等の事なんて知らねえし、私も私で背負ってんだ、わんころ達との約束もあるしさ」


「…なら、我を殺しなさい」


「……我の中の異形は眠っています、先程の一撃が余程応えたのでしょう」


「だが時間が経ち、目覚めればまた我はありとあらゆる事への憎しみに操られる」


「そうなれば……カムイですら無くなってしまうかも知れませんね」


「なので、君が負ければその前に異形を鏖にします、それが我の役目なのだから」


「……わからず屋め」


「譲れぬのは同じ事でしょう…」


 違いねえ、グラさんまだ行けるよね?


『暴れたりぬで八つ当たりしてやろうかと思っていたところよ、存分にやれ』





「……『我は至る黄金の世界(カムイ・モシリ)』」


「『更に先へ(プルス・ウルトラ)』!」



 金ピカの鹿……いや、だけじゃないか(・・・・・・・)


「イメチェンかい?ウェンカムイ」


「堕ちて尚力を貸す誇り高き(カムイ)よ、大いなる大地、空、我がなる偉業をご照覧ください……」


 さっきまでの半透明で真っ黒な雑魚使い魔だけじゃねえな、特にあの大熊と狼、それにあれは蛇……いや、竜?ともかく威圧感がまんまウェンカムイ張りじゃねえのよ。


「はは…天変地異かよ……勝てるかなー…」


『はっ、怖いのか?』


 さっきの意趣返しかこの野郎……


「……誰に言ってんのさ」




「何匹来ようが、地に伏せさせてやりゃあいいんだろう?」

Q.何でムカデをヒロインにしようと思ったの?


A.初期プロットでは鹿がヒロインでしたが気がついたらこんなことに。


Q.ハリガネさん、娘さんを僕にください


A.持ってけ泥棒!


Q.今後登場する予定の虫はいますか?


A.ウデムシで調べてみ

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