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友好共生

「……あり?」


『何だ、どうなった……出来てるではないか』


 できちゃったね…寄生。


 何で?


[特殊実績解除]


 どわぁびっくりした!?


[それは、力を欲し利用し合う者達が、共に歩んでいこうと己に課した1つの認知(カタチ)]


[卑しき虫よ、汝が望むのならば我は全てを差し出そう]


[だからどうかもう一度見せてくれ、壁を越えたその先の世界を]


[君がくれた私だけの可能性を]


[アクティブスキル、『共生LV.1』を獲得]


 あー…『拡張解析LV.10』


[特殊条件下に置いてアクティブスキル『寄生』におけるレベルキャップの上限を撤廃]


[及び生体の持つ一部権限の同調]


[生体と己の想いの丈により成長]


[現在使用中]


「……ら、ラッキー…?」


『そんなものでは無かろう!何かしらの作為を感じるぞ!』


「いやそれは私も思うよ…何かと会話した記憶もあるし…何かこの世の認知症がどうとか…少子高齢化社会かな」


『我はそれを聞いておらんが貴様が適当をほざいているのだけはわかるぞ…』


「あらあらあら、もう新しい身体(カラダ)に乗り換えちゃった…の?」


「気色悪い言い方すんなや…うん、意気投合…というか仲直りしてね」


「アンタ、レベル足りないって言ってなかったかし…ら?」


「今スキルが発現した、詳細は…」


『黙っていろ、効果だけ言えばいい』


「……めっちゃ寄生される側が協力的な時だけ諸々の制限が無くなるみたい、あと多分切り替えられる」


「気になる間の部分に波動を感じたけ…ど、まあいいわン…好都合…ね!」


「うん、怖いくらい今のところ順調だね……」


「どうした…の?」


「……いや…普段よりかなり深く寄生してるって言えばいいのかな…ムカデが考えてることだけじゃなくて感情とかも全部伝わってきててね…私の感情にもある程度反映されてるみたいで」


「その…凄く…いたたまれない…」


『黙れ貴様!喋るな!我に身体を明け渡せ!』


 うん……いいよ。


「気まずくなってるんじゃない!!」


「!?」


「…ああ、いや、問題無い」


「入れ替わったのかし…ら?」


 そうかあ…君…うん…知ってたとはいえ…そうかそんなにも…


 ……チョロいんだなお前。


「〜〜〜ッ!!」


 お、今は怒りを感じる、便利。


「…覚えておれよ…」


 まあラブレターを相手の前で第三者が朗読したようなものだもんね…


「その不快な表現をやめぬか!!」


「ラブさん、あれどうしたの、ハリガネサン、は?」


「愛よ…愛」


「違ぁぁぁう!!」


 落ち着きなよ、半矢の獣でももうちょっとおとなしいよ。


「ぬぅぅぅ!殺す!できるだけ惨めに殺してやるぞ!!」


 誰を…?アナウンスさんの大元?多分神かなんかだよそれ。


 ほら、気が済んだら一回代わってくれ、そんでもうしばらく大人しくしてな。


「……あ、代わった」


「お騒がせしたねエブリワン!今まではラブハート氏越しだったけど今日からしっかり仲良くしようぜ!」


「ハリガネサンなの!おね…おに……ハリガネサン!」


 おうマメシバ、お前わからなかったから誤魔化しただろ。


 まあわからないが正解なんだけどね。


「ハリガネさんだよマメシバ!」


「マメ…?」


「細けえこたいいんだよ、ちょっと耳モフらせて」


 ヒョイッと抱えあげてマメシバの耳やら首やらをモフる、これだ…これなのだ…癒やしとは…!


「あー!肉体があるって素晴らしー!!」


「……ラブさん、どうしてハリガネサンこうなっちゃったの、戻して」


 うむ、幼子は正直者だね!遠い目をしている。


「……よく耐えたアタシ…」


 何だよ、皆でハリガネさんを除け者かよ。


「ラブハート氏、暴食王は」


「ええ、どういうわけか…あの可愛い子が暴食王ってわけ…ね!」


「あ、それなんだけど今もう違うみたいだわ」


「なぬ…!?」


「色々あって暴食王になり得た可能性が無くなったみたい、この姿はその副産物」


「ちなみに大体私のせい、モテる男…男…?モテるハリガネムシはつらいね!!」


『黙らんか!』


「何だかよくわからないけ…ど」


「計画には問題無い…の?」


「何か一人だと厳しいけどハリガネさんがいてくれれば戦えるってさ」


「まあ、熱烈…ね!」


『あ゛ぁぁぁ!!』


 落ち着こうぜ相棒。


「それで暴食王じゃないっての…は!?」


「そのまま…ちょい待ち、変わったほうが早い」


「……暴食王はもういない…潰えた可能性だ」


「そこにある我の身体(抜け殻)が、そのまま巨大さと食欲を追求すればそれも成ったが…我はもうなれぬ」


「今となっては百足の街道で知られた我等が種族、大百足(ヘカトントレイル)の正当な進化からも外された半神(デミゴッド)だ」


 神なのお前…


「厳密には違う…神への反逆を行ったがなりかけ(・・・・)の雑魚だったせいで大したリソースは奪えなかった」


「あらまあ…予想はしてたけどデミゴッド…王都に話を通すのは問題無いかし…ら?勿論討伐を企んでのことでないことは信じてちょうだい」


「構わん、人ごときがどうにかできるものでは無い…それに今の我は貴様らを喰らうほど飢えておらん」


「しかし人間、暴食王という人類への災害は墜ちた、今後どうなるかはわからぬ」


 次の暴食王が産まれちまうってこと?


「いいや……もう暴食王は産まれぬ、今代はな」


「……ええそう、ユニークスキル(・・・・・・・)…ね?」


 あ…あれそうかマスターピースとか言ってたもんね……『更に先へ』って進化に必須な条件だったんだ。


 いや何か問題あるのそれ?


 人類側からしたら災害一個しばらく来なくなることが確定しましたやったーってなるかと思ったけど。


「そう簡単な事ではない、ここ世は全て巡りゆくもの…故に我が存在せぬ弊害は確実に降り注ぐものだ」


 参ったな、全然わかんない。


「……雨が降らねば大地は渇き、ヒビ割れ、生き物は死に絶える…しかしその代わりに渇きに強き者が産まれる」


「この世にある数多の災害の一つが消えたこととは、無数の可能性を消し去ったと同義」


 あ、ざっくりわかった、なるほどね。


 不味いね。


「だからそう言っておろうが…」


「まあ、良いじゃないの…アンタはハリガネムシ(その子)が人間に付いてる限りこっちに敵対することはないと見ていいでしょう…し!」


「調子に乗るでない、愚物が」


「我を誰と心得るか、我が味方だと?人の身で大きく出たものだな、物の数に入らん貴様等などこの場で皆殺しにしても構わんのだぞ」


「あぁらヤダ…怖いわ…ね」


「あくまで不敬を崩さぬか…おい、此奴は殺すが…止めるなよ」


 あ……やべえ。


 これは不味い、私に怒ってるみたいな可愛いやつじゃなくて本気の殺気だ。


 そんでもってラブハート氏受け止める気マンマンだ…何で?無理だろ流石に。


「後悔せよ、もう遅いがな……」


「何にせよ…あれと戦う前に見ておく必要があるわよ…ね!!」


 一触即発!えーとえーと……あ!


 やめろグラトニカ!


「ながば!?」


「あら…?」


 よし、成功だ!


 顔面から地面に叩き付けられてたけどまあ耐えるだろ頑丈だし。


「ききき貴様!急に真名を呼ぶとは何事だ!」


 え、駄目だった?一応今の身体の所有権が半分私にもある以上命令したら停まるかなって思った上での判断なんだけども。


 いや違えな、何照れてんだお前。


「黙れ黙れ黙れ!」


「貴様いい加減にせんと吐き出して踏み潰してやろうか!?」


 ごめんって、そんな怒らなくてもいいじゃん…まあでも反省したよ。


 悪かったね、もう言わないさ。


「そういうわけでは…んん…我も慣れるよう努力に努める」


 じゃあもう喧嘩はやめて次の行動に移ろうよ。


「む…わかった、代われ」


「よし戻った!さあ無事にグラトニカ(こいつ)のリクルートもできたことだしさっさと街に戻ろうか、そんで鹿狩りの準備だ…」


「……壁を越えたその先の世界、見に行こうぜ?」


「あら…何それ?」


『あ゛ぁあぁぁぁぁ!!!?貴様ぁぁぁ!?』


 うん、やっぱこいつ楽しいわ。

補足!!


グラトニカ、ユニークスキル発現し暴食王になれるのほぼ確定。

しかしグラトニカは暴食王にはならず、尚且ユニークスキル持ち逃げしたので他のムカデファミリーも暴食王になるための条件を満たせていない状況。

要するにグラトニカ消滅させれば解決。


ムカデファミリーがアップを始めました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] まさかのムカデくんが擬人化してヒロイン格になろうとは [気になる点] ハリガネムシさんは人化できる気配がないのが安心 [一言] 読み進め中ですがとても楽しませていただいております
[一言] 【朗報】 ムカデ氏、ハリガネさんのこと大好き 名前呼ばれるだけでめっちゃ照れちゃう やったぜ ハリガネさんは しっかり愛を察知できる ナイス雌雄同体に 進化した これ実質ムカデ氏との専用ス…
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