感度良好、通信開始
「……それは今聞くことなのか…?」
今でないとしたら多分聞く機会を失うからね。
「…どちらでもない、いや…厳密に言うならばどちらでもあるというべきだな」
お前も雌雄同体じゃねえか!!
パーティーの中で性別が厳密に決まってるのがお嬢ちゃんだけな現状が可愛そうすぎるだろ!!
「誰の何の話をしている貴様!?」
ちなみに私も雌雄同体だよ、イエーイ仲間。
「……生前は?」
何が…?
「とぼけるな、わかっているぞ貴様が転生体な事くらい」
あー…いや、それの記憶すら最近は曖昧かも。
大学生をやっていた男の記憶が薄っすらあるけど女子高生だった気もするし、そのどれもが夢で見た程度のどこまでが本当なのか全くわからんのよね。
「かっ、さぞ過去の貴様はろくでなしだったのだろうな」
えー、やっぱり呪われてる気がする?
「呪い…?阿呆、そんなチンケなものがそれが」
「呪いと言うのであれば貴様はそうだな、世界や運命にすら呪われている、呪詛の詰まった肉の袋だ」
まあそうでもなきゃ人生やり直しのチャンス(曲解)で無脊椎動物はそうそう引かないよね。
人間になれる日が来るんだろうか。
……お前何で人間になれたの?
「……貴様のせいだろうがっ!!」
えぇ…急にキレる…ただでさえ尋常じゃない重圧してるんだからいきなり凄んだら心臓が止まるぞ、私の。
全くを持って身に覚えが無いけど取り敢えず土下座しとくね、ごめんなさい。
「知っているからな、貴様がそのポーズに全くの申し訳無さも屈辱も抱いていない事を…!」
バレてら、それで私のせいとは?
「……貴様に肉体を奪われている最中…何度も何度も考えていたことだ」
「面倒くさいと、燃費が悪いと……」
そういえば…あったあった、ごめん気にした?
「違う!!我までそう思ってしまったのだ!!」
「我は!暴食王の名に置いてただ喰らう存在!言わば喰らうことのみの存在だ!!」
「それが自身のあり方に疑問を覚えたら……」
うお…泣くな泣くな…そんなに大事なのそれ?
「我はもう暴食王の地位すら無いのだぞ!!?」
それは……大事だわ。
えー…本当に申し訳ないことをしたねそれは…
「……いや…厳密には貴様の言葉はただの後押しだ」
「我とて…我とて大食いが面倒ではあった…」
「……それに強くなり過ぎた…神喰らいをしたからな」
あの鹿のあと滅茶苦茶強くなってたもんね。
「そうだ…我は自分の進化にすら介入出来るほどの力を得てしまった」
進化…私の時は無理だったけどあれだよな多分。
……あ、それじゃあお前が自分で作ったアバター的な感じなの?
どうりで違和感があると、もっと土臭い大男になるかと思ってたもがばばばば!!??身体が!?身体が石に!!?
「口が過ぎるな、貴様は本当に」
ごめんなさい…心の底から…何今の…?魔眼…?
「んん…それで…貴様、以前人類種と戦った時に捕食を葛藤しただろう…それで貴様の過去が人間であることはわかった」
まあね、結局食ったんだけどね。
「だからせめて人間の姿になってやろうと、体を作り変えるには時間がかかる…それまでには戻ってくるだろうと…」
「なのに貴様は遅すぎだぁ!!!」
仕方ねえだろあんなこと言われたら!!
そうじゃなくてもこちとらあの後即死したんじゃボケ!
「即死……誰にやられた!」
鹿、もっと言うならお前と一緒に倒した鹿の兄貴。
「ぬぅ…旧い獣どもめ…死した上でまだ邪魔をしおってからに…」
あ、てか知らなかったんだ私が死んでたこと。
「いや…半分気付いてはいた、貴様の気配が一定期間感じ取れなかったからな…とはいえ貴様のことだ、生き汚く死に損なっておると思ったわ」
あー、『一回休み』中かもそれ。
私死んでも多分卵さえ水辺に産んどけば時間はかかれど生き返れるっぽいんだよね。
「……そんな馬鹿な」
それは私も思った。
「我の種…というか暴食王ですら世襲制だぞ、子孫を通じて記憶や能力ごと魂を受継ぐなど」
めっちゃ喋るね、会ってない内に結構言葉練習した?
「聞け!?というか貴様より喋っとらん!」
しかしなるほど、大体わかったぞ。
「相変わらず…相変わらず疲れる…もう一度放浪させてやろうか」
勘弁してくださいよ旦那。
ところでダーリン、そんなに私にビッグな愛を抱えてるならお願い聞いてくれる?
「次に妙なことをほざく前に貴様の体を死なぬ程度に捻ってやろうか!」
さっきまであのオカマに入ってた後遺症だわ多分、たまにあるんだよねこういうこと。
「…仕方ない、我とて従者の願いくらい聞いてやる程度の甲斐性はある」
従者?マブダチって言えよ親友。
あ、ごめんなさい!ごめんなさい!千切、千切れちゃうよ本当に!?
「それで、あの畜生を喰らうのだな?」
ぐぅ…所々縮れた気がする……うん、話が早くて助かるよ。
「元よりあの畜生の血族なら見逃してやるつもりもない…と言いたいところだが…」
およ?
「……我はもう暴食王ですらない、この体になったのもつい最近の事だ…神殺しを成し遂げる等と大口を叩くわけにも行かぬ」
弱気だね…逃走本能でもまた機能してるわけ?
「……一人ではな」
途端に素直……怖いの?
「ああ、元来我は臆病な性格よ…本能に従えばそれも捻じ伏せてこれたがな」
無理にとは言わない、流石に私のために死ねとは言えないもん。
「ああ、それは御免被る…ただ」
ただ?
「……前の様に貴様と共にならば、この命預けてやってもよいぞ?」
……ごめんレベル足りないわ。
ああぁぁ!?いや!仕方ないじゃん!?両端から引っ張るのはやめ!伸びちゃう!伸びちゃうから!
……恐ろしい奴だよ本当に…三途の川でお母さんが手を振っていたのが見えた…
あれは限りなく他人だけども。
「我が乗り気なのに貴様はどうしてそうなのだ!」
いやそんなこと言われましても…レベルは仕方ないやん、上限解放のやり方さえわかってないんだぞこちとら。
ちなみに君が化け物って呼んでるあのオカマも乗っ取れちゃいないよ、ただ向こうが私を拒んでないから中に住めてるだけでね。
「……拒まなければ良いんだな、如何に貴様の見た目が醜悪であろうと最低限の親しみはある…ならば問題無かろう」
例が少なすぎて未知数だけどまあ消化されて最悪な再開を果たす事はないと思う。
「……あまり我の中で騒いでくれるなよ、次は本当に叩き潰してしまうやもしれん」
善処します……あ、もう飲む感じ?良いけどちょっと心の準……まあ何だかんだ体内が一番落ち着くから良いけどさ。
おお…口腔内も人間っぽくしてあるんだ…でも歯の並び方が肉食獣って感じ?
「ふぁやくすすめ!!」
そんじゃまあ…無理だろうけど寄生してみますか。
[生体侵食開始]
[侵食不可]
[侵食不可]
[ERROR]
[ERROR]
ん?
……何かおかしい、中止。
[外部より接触あり、侵食を中断します]
[ERROR]
[中断、不可]
[中断、中中ち断断だだ………
ムカデ、今すぐ私を吐き出せ、早く!
[注目度が上がりました]
[………]
[接触を行います]
[………やあ]
[面白そうなことをやるみたいだね]
誰だ、お前……
[直接力は貸してあげられないけど、少しだけなら気付かれないだろう]
[砕けた根幹の欠片と君の仲も悪くないみたいだし?]
何だよおい、何言って…
[いいかい、この世は認知だ]
[君達もそう、あり方は全てそう決まるようにできてる]
[それだけは忘れず持っていきなさい]
[とはいえジリ貧なのは変わらない、できることなら死なないでね]
[それじゃあ、これが終わればここでのことは殆ど忘れてしまうだろうけど最後に一つ]
[君、もっと自分を知るべきだよ]
[じゃあ良い旅を]
[■■■■−■■■■■■、偽りの根幹を崩す子よ]
待て、おい…もっと聞きたい事が
[接触を終了します]
Q.ムカデとハリガネはくっつきますか?
A.物理的には。