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ラブコメ波動は突然に

「んん……バウッ!!おは……よう!!」


「どわぁ!?」


 うるせえ!!


「失礼、アタシ朝は目覚めと共に内なるお淑やかさの獣が起きちゃう…の!」


 マジで?隣に住んでる人とか毎朝モーニングオカマコールなわけ?下手な精神攻撃より早く発狂しそうだね。


「獣……じゃあ仕方ない」


 アキタイヌ、それでいいのかアキタイヌ、獣だからか?虫は駄目か?


「アタシが寝てからどのくらい経ったかし…ら?」


「2つ半です」


 あ、そうそうこの世界の時間の概念は大きくは変わらないみたいね、それも仕方ない、世界時計なんてものがあるのかは知らないけど大概こんなもん程度の基準さえ機能していればいいからね。


 ちなみに2つ半ってのは水瓶にゆっくり水を流して一杯になるまでの時間で計測したからあやふやだけど二時間半くらいに考えてみよう。


 ハリガネさんが眠れたかって?……ハリガネさんはね、眠れないんだよ。


 ハリガネムシだからかな、睡眠に関しては必要なのかすらわからないけど夜が長くて仕方ないよ。


 しかも何が怖いってラブハート氏の瞼が閉じてると私も見えないことだよ、TPS視点もーどとかが今後のアプデで追加されればいいのに。


「何を言ってるのかさっぱりだ…わ…」


 だろうね、ハリガネ公用語だ。


「哨戒班は、変わりないわ…ね?」


「無い!」


「眠い!」


「…気配すら無い、匂いも」


「もうこの分じゃ一旦切り上げて別の方法を探したほうがいいかしら…ね」


 早えよ、二日目だよまだ。


「いいえ…こんなに想定外の事が起きてるなら正直帰って立て直しを図ったほうがいい…わ」


 まあそれもそうか……でもこいつら街に連れてったら大問題だしなあ。


「むん……難しいわ…ね!」


 うぉーい!!グラトニカー!!遊びに来たぞ!!!って叫びながらラブハート氏が走り回る?


「絶対にやることはないと思うけれど人語が通じる以上通用しかねないのが嫌…ね」


 「人の家の前でそんなことされたら楽には死なせんがな」


 山奥に住んでる生き物なんて毎日が動物達のオーケストラだろうよ、気にするなって。


「……ん?」


「誰だ!!」


「どこだ!!」


「いつだ!!」


 何時はおかしいだろ。


「……盗み聞きとは感心しないわ…ね!」


 そうだそうだ!親の顔が見たくなるぜ!!


「……お前等が我の寝てる間に我の家で野宿しておったんだろう」


 ラブハート氏……声、どこから聞こえる…?


「……地面」


 だよね、くぐもってるせいでよく聞こえないもんね。


「……相変わらず喧しいムシケラが…よくもそんなチンケな入物で満足しているな」


 っ!!後ろに飛べ!


「ふんぬら!!」


 刹那、私の眼…厳密にはラブハート氏のだけど、ともかく映ったのは人に近いようだが皮膚は浅黒く、まあ所々に硬質を思わせるような甲殻を纏う腕だった。


「避けるな、危ないだろう」


 盛り上がった地面から突き出した手を支点にモリモリと飛び出してこようとするその物体。


 所々は人の範疇に見えるのに本質に全く別の何かが存在してる事を否応なしに理解させられる。


 お前……ムカデか。


「そっ…随分小さくなったよう…ね」


「気付くまでが遅いわ、来るのもな」


 だって次会ったら殺す言ってたやんけ!


 今回だってなるべく来たく無かったわ!!


「ほう………じゃあ寝る、帰れ」


 ごめんなさい、話は聞いてください、マジで、閣下。


「相変わらずの事ながら下手に回るのが早い…わ」


「我が恋しくなって来たかと思えば、その化け物(ゲテモノ)のほうが良いのだろう、ならば話すことなど無いわ、疾く失せよ」


 そんなことないよ!!私だって君に会いたかったさ相棒!思い出すよな!昔鹿狩りしたときのこと!!


「ああ、我が、戦っている最中に身中で喚き立て集中を乱した先の戦いか」


 いやもう本当にすみませんでした、旦那の成長があったからこその命でございやす。


「……牙の一族か、それに……わからん、何だ貴様は」


 私も知らないけど化け物の類だよ。


「愛の…伝・道・者」


「そうか、ね、不快だ、面が」


 やめてください閣下、この人落ち込まなそうと見せ掛けて結構ナイーブだから。


 ええと…まずはその、初手で殺さないで頂けたのはありがたいと言いますか…


 避けたから生きてるだけであってちょっと遅れたらまあ普通に御陀仏だった可能性があると考えると不満はあるといいますか…


「………そやつか」


 ……はい?


「……その化け物がそんなに大切か、貴様」


 いや…まあ仲間ですし…死なれると私も死ぬのでそりゃあ…


「……」


「む…ラブ・サーチ!」


 おわあびっくりした!?どうした化けも…ラブハート氏。


「波動を感じた…わ」


「アンタ…アタシを狙うとき手を開いていたわ…ね?」


「………」


「つまり一刻も早くアタシのハラワタからハリガネムシ(コイツ)を取り出したかったんじゃなく…て?」


 だとしても怖えよ、わかるかそんな高度なツンデレ。


「お黙り!察知できず男女心(オトメゴコロ)を踏み躙るなら理由がどうあれ大罪…よ!」


 変換おかしくなかったか今。


「辞めよ!そうでない!」


「……ほら、言うことがあるで…しょう!」


 ええと…遅くなってすみませんでした…


「ちっがぁう!(ラブ)を!愛を答えなければ!!」


 ピンときてねえんだよ今のところ!


「…もうよい!」


 わけわかんねえよ!何だこの急なラブコメは!テコ入れか!?


「ゆっくり…話しなさい、心行くまで」


 どわっふ!?お前今何で自分の腹殴っおぉ!?


「ッペ」


 …嘘だろこいつ、そんな雑な射出方法あるかよ。


 わー、何だか久々の土…乾燥しちゃうから水辺に行きたい…


「……こっちに水たまりがある、来い」


 優しくつまんで…優しくつまんで…


「わかっておる…黙れ」

 

 見た目…はかなり人だよな…男女はわからんけど随分イメチェンしたじゃない。


「貴様は変わらぬ、軽口も、見た目も…弱さも」


 相変わらずのおんぶにだっこで生きてるからね。


「……あの化け物にか?」


 娘の体借りたりもしたさ、あとはそうだね…何にでもなれる霧とか。


「本当に貴様は相変わらずだ……さっぱり何を言っているのかわからぬ」


 そんな分かりづらいかね、もしかして話さなかっただけで昔も煩いと思ってた?


「……それで別れ際にあんな捨て台詞がな…」


 うん…それは仕方ない、私が完璧に悪いわ。


 ……仲直りしよう?


「もうよい…許す」


 ありがとう。


 ……ごめん、ずっと気になってたんだけど聞いていい?


「…何ぞ」


 


 ……お前メス?

お嬢ちゃん=女の子


ブレ子=外側は女の子


ラブハート=心が女の子(???)


よし、実質ハーレムラブコメだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 【朗報】 ムカデ氏、ハリガネさんのこと結構お気に入りっぽい
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